精神保健における三次予防はどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第112回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・4番
解説
三次予防は、疾病がすでに発症している患者に対し、病気の進行を抑制し、合併症や機能障害を予防し、社会復帰やQOLの維持・向上を目指すものです。1の「うつ病患者のリワーク支援」は、うつ病の症状改善後に社会適応能力を回復させる活動であり、三次予防に該当します。4の「精神障害者の長期入院による自発性の低下を予防する」は、精神疾患の長期化に伴う機能障害の悪化を防ぎ、社会生活能力の維持を図るため、三次予防に該当します。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。三次予防は、すでに発症した疾患の再発予防や、病状の悪化・機能障害の進行を抑制し、社会復帰を促進することを目的とします。うつ病患者のリワーク支援は、社会機能の回復と再発予防を目指すため、三次予防に該当します。正しくは:この選択肢は三次予防の内容として適切です。選びやすい理由:リワーク支援が治療の一環と捉えられ、一次予防や二次予防と混同する可能性もありますが、病状の改善後の社会復帰支援は三次予防の重要な側面です。混同注意:一次予防は発症前、二次予防は早期発見・早期治療の段階と明確に区別して理解することが重要です。
- 2. 災害時の精神的支援ボランティアの育成は、災害による精神疾患の発症を未然に防ぐこと(一次予防)や、発症後早期に介入すること(二次予防)を目的とする活動を支えるものです。直接的な三次予防活動とは異なります。正しくは:これは一次予防または二次予防を支える活動であり、直接的な三次予防ではありません。選びやすい理由:「支援」という言葉から広い意味での予防と捉えがちですが、具体的な対象と目的を考えると予防段階が異なります。混同注意:ボランティア育成は、特定の個人が精神疾患を発症した後の再発防止や機能改善を目的とするものではありません。
- 3. 自殺企図者への希死念慮の確認は、再度の自殺企図を防ぐための早期介入であり、病状の悪化や生命の危機を防ぐための二次予防に該当します。すでに問題行動が顕在化している段階での介入です。正しくは:これは二次予防の一環として位置づけられます。選びやすい理由:「再度の企図を防ぐ」という点で三次予防と誤解されることもありますが、これは病状の悪化を防ぐ早期介入であり、完全に安定した状態からの社会機能回復とは段階が異なります。混同注意:三次予防は、疾患の慢性化や機能障害の固定化を防ぎ、社会生活への適応を目指す段階を指します。
- 4. 正解。長期入院に伴う自発性の低下は、精神疾患の慢性化や機能障害の一種です。これを予防する活動は、病気の進行や合併症を防ぎ、社会生活能力の維持・向上を目指す三次予防に該当します。正しくは:この選択肢は三次予防の内容として適切です。選びやすい理由:「予防」という言葉から一次予防と混同する可能性もありますが、ここでいう予防は「疾患の結果として生じる機能障害の悪化予防」であり、発症前の予防とは意味合いが異なります。混同注意:すでに精神疾患を発症している患者に対する、二次的な機能障害の予防は三次予防です。
- 5. 統合失調症のアンチ・スティグマ・キャンペーンは、精神疾患に対する社会的な偏見や差別を解消し、精神疾患を抱える人々が生きやすい社会環境を整備することを目的とします。これは社会全体への働きかけであり、特定の疾患の「発症予防」や「再発予防」「機能改善」といった三次予防の直接的な活動とは異なります。広い意味での精神保健推進ではありますが、予防段階としては一次予防的な側面が強いです。正しくは:これは精神保健に対する社会環境整備であり、特定の疾患の三次予防とは異なります。選びやすい理由:「偏見をなくすことで、精神疾患患者が社会参加しやすくなる」という間接的な効果は三次予防につながるように見えますが、活動そのものの直接的な目的は予防段階とは異なります。混同注意:三次予防は、患者個々の社会復帰や機能回復に焦点を当てます。この活動は社会全体の意識変革を目指します。
国試ポイント
精神保健における一次予防、二次予防、三次予防の定義と具体的な活動内容を正確に理解しているかが問われる問題です。特に「予防」という言葉が使われていても、その対象や目的によって予防段階が異なることを識別する能力が必要です。
混同注意
一次予防(発症前)、二次予防(早期発見・早期治療)、三次予防(再発予防・機能回復・社会復帰)のそれぞれの段階における具体的な活動の区別。特に、「予防」という言葉が使われると一次予防と混同しやすいが、何に対する予防なのか(疾患の発症予防か、機能障害の進行予防か)で判断する必要があります。
次に同じ論点が出たら
同様に、身体疾患における各予防段階の具体例(例:高血圧患者の合併症予防、糖尿病患者のフットケア指導など)についても説明できるか確認する。
関連知識
精神保健福祉法、障害者総合支援法、精神科リハビリテーション、地域移行・地域定着支援、WRAP(Wellness Recovery Action Plan)