Aさん(50歳、男性、会社員)は妻と高校生の息子との3人暮らし。仕事を生きがいに働き続けていた。慢性腎不全のため透析治療が必要になったが、本人の希望で連続携行式腹膜灌流法〈CAPD〉を導入することになり入院した。Aさんはこれからの生活がどのようになるのかを看護師に質問した。 Aさんは「主治医からCAPDの合併症に腹膜炎があると聞きました。腹膜炎に早く気付くにはどうすればよいですか」と看護師に質問した。Aさんに指導する観察項目はどれか。2つ選べ。
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出典:厚生労働省ホームページ(第111回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・5番
解説
腹膜炎の初期症状として、腹痛は最も典型的で重要な症状の一つです。また、CAPD腹膜炎の診断基準において、排液の混濁は必須項目であり、Aさん自身が早期発見のために観察すべき最も重要な項目です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。腹痛はCAPD腹膜炎の初期症状として非常に頻度が高く、患者が最初に自覚することの多い症状です。急性腹症を呈することが多く、重要な観察項目です。
- 2. 体重増加はCAPDにおける体液過剰、つまり液貯留の徴候であり、心不全や肺水腫のリスクに関連しますが、腹膜炎の直接的な初期症状ではありません。腹膜炎では発熱による脱水や食欲不振で体重が減少することもあります。正しくは:体液過剰の徴候であり、腹膜炎の初期症状とは異なる。選びやすい理由:透析患者にとって体重管理は重要であるため、選択肢として選びやすいですが、質問は『腹膜炎の初期症状』に特化しているため誤りです。混同注意:CAPDの液貯留による合併症と腹膜炎の症状
- 3. お腹の張り(腹部膨満感)は、腹膜炎の症状の一つとして現れることがありますが、腹痛や排液の混濁と比較すると、特異性や初期の自覚症状としての重要性はやや劣ります。ガス貯留や消化管蠕動低下など他の原因でも起こり得ます。設問は『早く気づくためには』という点を重視しているため、より特異的な症状を優先します。正しくは:腹膜炎でも見られる症状だが、腹痛や排液の混濁の方がより特異的で早期発見に重要。選びやすい理由:腹膜炎の症状の一つではあるため、選びやすい。しかし、より早期かつ特異的な症状が他にある。混同注意:一般的な消化器症状としての腹部膨満感と腹膜炎による腹部膨満感
- 4. 足のむくみ(浮腫)は、主に体液過剰、すなわち液貯留の症状であり、体重増加と同様にCAPD患者にとって重要な観察項目ですが、腹膜炎の直接的な初期症状ではありません。腹膜炎では、発熱や炎症に伴う血管透過性亢進で浮腫が生じる可能性はありますが、それは全身症状の一環であり、初期症状として足のむくみを直接観察する優先順位は低いです。正しくは:体液過剰の徴候であり、腹膜炎の初期症状とは異なる。選びやすい理由:透析患者は水分管理が重要であり、浮腫の観察も日常的に行われるため選びやすいですが、質問は『腹膜炎の初期症状』に特化しているため誤りです。混同注意:CAPDの液貯留による合併症と腹膜炎の症状
- 5. 正解。排液の混濁はCAPD腹膜炎の最も重要な診断基準の一つであり、患者自身が早期に視覚的に確認できるサインです。通常、透析排液は無色透明ですが、腹膜炎では白血球の増加により混濁します。これは、腹膜炎を最も早く、かつ確実に見つけるための重要な観察項目です。
国試ポイント
CAPDの合併症である腹膜炎の初期症状とその観察項目を理解しているかが問われています。患者指導の観点から、患者自身が気づきやすい症状を的確に伝えることが重要です。
混同注意
腹膜炎の症状と、CAPDの他の合併症(例:液貯留による体重増加、浮腫)の症状を混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、CAPD合併症の具体的な症状、特に患者自身が観察・判断できる初期症状(自覚症状と排液の性状変化)に注目して判断します。
関連知識
CAPD(持続携行式腹膜透析)は、自宅で実施できる透析方法であり、患者自身や家族が合併症の早期発見に努める必要があります。特に腹膜炎は重篤化するリスクがあるため、早期発見・早期治療が重要です。腹膜炎の診断基準には、腹痛、排液の混濁、発熱、腹膜液中の白血球数増加などがあります。