患者の選択権の行使を最も促進するのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第111回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
インフォームド・コンセントは、医療者が患者に対し、病状、治療内容、予後、他の治療選択肢、それぞれのメリット・デメリットなどを十分に説明し、患者がこれを理解した上で、最終的に治療を受けるかどうかを患者自身の意思で決定し、同意するプロセスです。このプロセスを通じて、患者は自らの価値観に基づいた選択を行い、自己決定権を行使できます。したがって、患者の選択権の行使を最も促進する概念であると言えます。
選択肢ごとの解説
- 1. パターナリズム(父権主義)は、医療従事者が患者の最善を考えて患者の意思決定を代理または制限する考え方であり、患者の自己決定権を尊重する選択権とは対立します。正しくは:患者の選択権を尊重するためには、医療従事者が患者の意思を尊重し、情報提供と共有に基づいた意思決定を支援する必要があります。選びやすい理由:医療従事者が患者を保護し、良い方向に導くという一見善意に見えるため、選択肢として考慮されがちです。混同注意:患者の意思決定能力が著しく低下している場合の代理決定や、緊急時の医療介入など、限定的な状況での医療者の判断と混同されることがあります。
- 2. 医師の自由裁量とは、医療行為において医師が専門的判断に基づいて独自の決定を下す権限を指します。これは患者の選択権を直接的に促進するものではありません。正しくは:患者の選択権を促進するためには、医師の専門的判断を患者に説明し、患者が理解した上で選択できるよう支援する視点が必要です。選びやすい理由:医師が医療の専門家であるため、その判断に患者が従うのが当然だと考える場合に選びやすいかもしれません。混同注意:医師の専門性に基づく判断の重要性と、患者の自己決定権の尊重という異なる概念を混同しやすいです。
- 3. アドヒアランス(コンプライアンス)は、患者が医療者の指示に従い、治療を継続することを指します。これは患者が自ら選択した結果として生じる行動であり、患者の選択権そのものを促進する概念ではありません。正しくは:患者の選択権は、治療の選択肢について十分な情報を得て、納得した上で治療方針を決定するプロセスに焦点を当てます。アドヒアランスは、その選択後の行動です。選びやすい理由:治療の成功には患者が積極的に関与することが不可欠であるため、患者の選択権と関連性が高いように感じられることがあります。混同注意:患者が治療方針に同意し、それに従う「結果」であるアドヒアランスと、同意に至るまでの「プロセス」である患者の選択権を混同しやすいです。
- 4. 正解。インフォームド・コンセントは、患者が自身の病状や治療法について十分な説明を受け、その内容を理解した上で、自らの意思に基づいて医療行為に同意することです。これは患者が医療における選択権を行使するための最も重要な前提であり、そのプロセスを直接的に促進します。
国試ポイント
医療倫理における患者の権利、特に自己決定権の基礎となる概念を理解しているかが問われています。インフォームド・コンセントは、現代医療における患者中心のケアの基盤であり、その意味と重要性を正確に把握していることが求められます。
混同注意
パターナリズム(父権主義)やコンプライアンス(アドヒアランス)は、一見すると患者のためになるように見えますが、患者の自己決定権とは異なる視点を持っています。これらの概念の違いを明確に理解することが重要です。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出た場合、選択肢が患者の「主体的な関与」や「自己決定」を重視しているか、あるいは医療者側の「指導」や「決定」に重心が置かれているかを判断基準とします。特に、プロセス(説明と同意)と結果(指示に従うこと)の違いに注意が必要です。
関連知識
患者の権利(自己決定権、知る権利、情報開示の権利、プライバシーの権利)、倫理原則(自律尊重、善行、無危害、正義)、アドボカシー、Shared Decision Making(共同意思決定)。