心臓の刺激伝導系で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
心臓の刺激伝導系は、洞房結節で発生した興奮が、心房、房室結節、His束、プルキンエ線維の順に伝わり、心室筋を収縮させます。選択肢5はこの正確な経路を述べています。他の選択肢は、洞房結節の位置、心筋細胞の脱分極イオン、心電図のP波が示す部位、および副交感神経が心拍数に与える影響について誤った記述を含んでいます。
選択肢ごとの解説
- 1. 洞房結節は心臓の拍動を司る自然なペースメーカーであり、右心房の上大静脈開口部近くに存在します。左心房ではありません。正しくは:洞房結節は右心房に位置する。選びやすい理由:洞房結節が心房にあることは正しいですが、左右の区別を混同しやすい点が狙われています。混同注意:右心房と左心房の解剖学的位置や、それぞれの心臓機能における役割。
- 2. 心筋細胞の活動電位における脱分極は、主にナトリウムイオン(Na+)の急速な流入によって開始され、その後カルシウムイオン(Ca2+)の流入が続きます。カリウムイオン(K+)の流出は再分極、つまり活動電位の終了に関与します。正しくは:心筋細胞はナトリウムイオン(Na+)の流入によって脱分極が起こる。選びやすい理由:イオンの移動が心筋の電気的活動に不可欠であることは正しいですが、どのイオンがどのフェーズで移動するかを正確に理解していないと間違えやすいです。混同注意:活動電位の各相における主要なイオンチャネルの働き(Na+流入による脱分極、K+流出による再分極、Ca2+流入によるプラトー相など)。
- 3. 心電図のP波は心房の脱分極、つまり心房が興奮している状態を示します。心室の興奮(脱分極)はQRS波群に対応します。正しくは:心電図におけるP波は、心房の興奮を示している。選びやすい理由:P波が心臓の電気的興奮を示すこと自体は正しいですが、それが心房と心室のどちらに対応するかを混同しやすいです。混同注意:心電図の各波形(P波、QRS波、T波)が示す心臓の部位(心房、心室)と電気的イベント(脱分極、再分極)。
- 4. 副交感神経(迷走神経)の興奮はアセチルコリンを介して心臓の活動を抑制し、心拍数を減少させます。心拍数を増加させるのは交感神経の働きです。正しくは:副交感神経が活性化すると、心拍数は減少する。選びやすい理由:自律神経が心拍数に影響を与えることは事実ですが、交感神経と副交感神経の作用が逆であることを正確に覚えていないと誤りやすいです。混同注意:交感神経と副交感神経が心臓(心拍数、収縮力)に与えるそれぞれの作用。
- 5. 正解。心臓の刺激伝導系において、洞房結節で発生した電気信号は房室結節で一時的に遅延した後、His束、左右の脚(右脚・左脚)、そしてプルキンエ線維へと順次伝わり、最終的に心室全体を興奮させます。この選択肢は、房室結節からHis束を介した心室への伝達という正しい経路の一部を正確に記述しています。
国試ポイント
この問題は、心臓の刺激伝導系の正確な経路、心筋細胞の活動電位におけるイオンの役割、心電図の基本的な理解、および自律神経系による心拍数調節の知識を総合的に問うものです。基本的な生理学の知識が正確に定着しているかを確認しています。
混同注意
心臓の刺激伝導系の各部位の名称とその順序(特に房室結節とHis束の関係)、活動電位における各イオン(Na+, K+, Ca2+)の役割と移動方向、心電図のP波が心房・心室のどちらの興奮を示すか、交感神経と副交感神経の心拍数に対する作用。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題される場合、刺激伝導系の異常(例:房室ブロック、期外収縮)、心電図の各波形とその時間的関係(PR時間、QT時間)、または心筋細胞の収縮メカニズム(Ca2+の役割、フィラメント滑走説)などが問われる可能性があります。
関連知識
心臓の解剖学(各部位の名称と位置)、心筋の電気生理学(活動電位の発生と伝達)、心電図の基礎(各波形が示す意味)、自律神経系の生理学(心臓に対する交感神経・副交感神経の影響)。