ナイアシン(ニコチン酸)の欠乏が原因となるのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第61回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
ナイアシン(ビタミンB3)は、体内でNAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)やNADP(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)として、エネルギー代謝の多くの過程で重要な補酵素として機能します。その欠乏は、特徴的な皮膚炎、下痢、認知症の3つの主要な症状(3D)を示すペラグラを引き起こします。これらは、体内のナイアシンが不足することで、細胞のエネルギー産生やDNA修復などに支障が生じるために起こると考えられています。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。ナイアシン(ビタミンB3)の慢性的な欠乏は、皮膚炎、下痢、そして認知機能障害(認知症)の3つの主要な症状を特徴とするペラグラを引き起こします。これらの症状はまとめて「3D(Dermatitis, Diarrhea, Dementia)」として知られています。
- 2. 橋本脳症は、自己免疫性甲状腺炎(橋本病)に合併して発症するまれな非感染性脳症であり、甲状腺機能異常と関連していますが、ナイアシン欠乏とは直接的な関係がありません。正しくは:橋本脳症は自己免疫性甲状腺炎に合併する脳症である。選びやすい理由:「脳症」という言葉から、何らかの代謝異常や栄養障害と関連付ける可能性もあるかもしれませんが、ナイアシン欠乏とは原因が異なります。混同注意:ビタミン欠乏による脳症(例:ウェルニッケ脳症はビタミンB1欠乏)と混同する可能性。しかし橋本脳症は自己免疫性疾患です。
- 3. クッシング症候群は、副腎皮質から分泌されるコルチゾール(糖質コルチコイド)が過剰になることによって引き起こされる内分泌疾患です。ナイアシン欠乏とは無関係です。正しくは:クッシング症候群は副腎皮質からのコルチゾール過剰分泌によって引き起こされる。選びやすい理由:特徴的な身体症状(中心性肥満、満月様顔貌など)があるため、他の一般的な疾患と関連付けてしまうかもしれませんが、原因はナイアシン欠乏とは全く異なります。混同注意:他の内分泌疾患(例:Addison病、甲状腺機能亢進症/低下症など)と混同する可能性。
- 4. クロイツフェルト・ヤコブ病は、異常なプリオンタンパク質が脳内に蓄積することで発症する、進行性の神経変性疾患です。栄養素の欠乏が原因で生じる病気ではありません。正しくは:クロイツフェルト・ヤコブ病は異常プリオンタンパク質による神経変性疾患である。選びやすい理由:「脳」というキーワードから、脳疾患であるという点で他の選択肢との関連を想像するかもしれませんが、原因となる病態は全く異なります。混同注意:アルツハイマー病やパーキンソン病などの他の神経変性疾患や、感染症による脳炎などと混同する可能性。
- 5. 抗NMDA受容体抗体脳炎は、NMDA受容体に対する自己抗体によって引き起こされる自己免疫性の脳炎です。これもナイアシン欠乏とは関連がありません。正しくは:抗NMDA受容体抗体脳炎は自己抗体によって引き起こされる自己免疫性の脳炎である。選びやすい理由:比較的近年注目された疾患であり、その名前の複雑さから、特定の栄養素との関連性を想像してしまうかもしれませんが、本質的には自己免疫疾患です。混同注意:他の自己免疫性脳炎やウイルス性脳炎、あるいは多発性硬化症などの自己免疫性神経疾患と混同する可能性。
国試ポイント
栄養素の欠乏によって生じる代表的な疾患は、国家試験で頻繁に問われる基本的な知識です。特にビタミン欠乏症については、各ビタミンの生理作用と、それらが欠乏した際に現れる特徴的な症状や疾患名を正確に覚えることが重要です。疾患名だけでなく、その原因となる栄養素の組み合わせを問う形式が一般的です。
混同注意
他のビタミン欠乏症(例:ビタミンB1欠乏による脚気、ビタミンC欠乏による壊血病、ビタミンD欠乏によるくる病/骨軟化症など)と混同しやすいです。また、認知症など、症状が似ていても原因が全く異なる疾患と混同する可能性もあります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、他の主要なビタミン(B1, B2, B6, B12, C, D, Kなど)の欠乏症や過剰症、あるいは必須ミネラル(Ca, Fe, Na, Kなど)の異常によって生じる疾患とその症状についても確認が必要となるでしょう。また、特定の疾患の治療に用いられるビタミン製剤についても知識が求められる可能性があります。
関連知識
ナイアシンはアミノ酸であるトリプトファンから体内で合成されることもあり、トリプトファンが不足している状態(例:トウモロコシを主食とする地域など)でもペラグラのリスクが高まります。また、アルコール依存症患者や、吸収不良症候群の患者も欠乏症を起こしやすいです。ビタミンB群全体の代謝が相互に関連しているため、他のビタミンB群の知識も重要です。