BPSD〈Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia〉はどれか。2つ選べ。
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出典:厚生労働省ホームページ(第60回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・4番
解説
認知症の症状は、脳の変性によって直接的に生じる「中核症状」と、中核症状に心理・環境要因が複雑に絡み合って生じる「行動・心理症状(BPSD)」に分類されます。本問題ではBPSDを問われており、徘徊や不潔行為は、見当識障害や判断力低下などの認知機能障害が背景にあり、それに付随して現れる行動面の症状であるためBPSDに該当します。一方、失認、記憶障害、実行機能障害は、脳の機能低下による直接的な認知機能の障害であり、認知症の「中核症状」に含まれます。
選択肢ごとの解説
- 1. 失認は、脳の器質的障害によって直接引き起こされる認知機能の低下であり、認知症の「中核症状」の一つです。BPSDは、この中核症状に付随して現れる行動面や精神面の症状を指します。正しくは:これは認知症の「中核症状」の一つである。選びやすい理由:認知症患者に広く見られる症状であるため、BPSDの一部と誤解されやすいです。混同注意:認知症の中核症状(失語、失行、失認、実行機能障害など)とBPSD(徘徊、妄想、不潔行為、暴力など)の区別。
- 2. 正解。徘徊は、認知症の中核症状(特に見当識障害や記憶障害)に起因して生じる、目的もなく歩き回る行動であり、BPSDの一つに分類されます。不安や環境の変化などが誘因となることが多いです。
- 3. 記憶障害は、認知症の診断基準となる最も主要な「中核症状」です。BPSDは、この中核症状によって引き起こされる二次的な行動や心理的な問題であり、記憶障害自体はBPSDには含まれません。正しくは:これは認知症の「中核症状」の一つである。選びやすい理由:認知症を代表する症状であるため、BPSDの代表的な症状と誤解しやすいです。混同注意:認知症の中核症状(記憶障害)とBPSD(記憶障害に起因する不安、焦燥、行動障害など)の区別。
- 4. 正解。不潔行為は、見当識障害や判断力低下、失禁などの中核症状が原因で生じる、社会的に不適切な行動であり、BPSDの一つとして扱われます。自己の衛生管理能力の低下や、排泄に対する認識の障害が背景にあります。
- 5. 実行機能障害は、目標設定、計画立案、順序立てた行動などが困難になる能力の障害であり、認知症の「中核症状」として位置づけられます。脳の機能低下によって直接的に生じる認知機能の低下です。正しくは:これは認知症の「中核症状」の一つである。選びやすい理由:複雑な行動の障害であるため、BPSDと関連が深いように感じられ、混同しやすいです。混同注意:認知症の中核症状(実行機能障害)とBPSD(実行機能障害によって生じる特定の行動上の問題、例えば目的遂行ができないことによる焦燥など)の区別。
国試ポイント
認知症における「中核症状」と「行動・心理症状(BPSD)」を明確に区別できているかが問われています。特に、症状が直接的な脳機能の低下によるものか、それとも中核症状に付随して現れる行動や心理的な問題であるかを理解することが重要です。
混同注意
BPSDと中核症状は混同されやすい概念です。中核症状は認知機能そのものの障害であり、BPSDは中核症状に環境因子や本人の性格などが影響して現れる行動や精神状態の変化です。
次に同じ論点が出たら
次に類似の問題が出題された場合、選択肢が「認知機能そのものの障害(例: 記憶、言語、空間認識)」なのか、「それらの障害によって引き起こされる行動や精神状態の変化(例: 目的のない行動、感情の不安定さ)」なのかという観点で区別すると良いでしょう。
関連知識
BPSDには、徘徊、不潔行為の他に、妄想、幻覚、興奮、暴力、暴言、睡眠障害、うつ状態、不安、せん妄、異食などがあります。作業療法では、BPSDの背景にある要因をアセスメントし、環境調整、生活リズムの安定化、活動の提供などを通してBPSDの軽減や予防に取り組みます。