統合失調症の行動特性に合わせた作業療法士の対応で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
統合失調症の患者は、外界からの刺激に対して過敏であったり、思考の混乱や不安を抱えやすいため、予測可能で安定した環境が重要です。作業環境を一定に保つことで、安心感が得られ、混乱や不安を最小限に抑え、作業への集中を促すことができます。これは作業療法における基本的な環境調整の原則の一つです。
選択肢ごとの解説
- 1. 統合失調症の患者は不安や緊張を抱えやすいため、作業療法ではこれを軽減し、安心できる環境を提供することが基本です。緊張度を高めることは、症状の悪化や治療関係の阻害につながります。正しくは:対象者の緊張を和らげ、安心できる雰囲気を作る。選びやすい理由:一部の治療法(例:暴露療法)で意図的にストレスを与える場面もありますが、統合失調症の一般的な作業療法では避けるべきです。混同注意:行動の活性化や意欲向上と混同する可能性。しかし、これらはリラックスした状態での支援が前提です。
- 2. 統合失調症の患者は、注意集中力の低下や情報処理能力の障害を持つことが多く、一度に多くの情報を与えられると混乱しやすいです。そのため、指示は簡潔に、一つずつ順を追って伝える必要があります。正しくは:指示は一つずつ、明確かつ具体的に伝える。選びやすい理由:作業効率を上げたいという意図からまとめて指示したくなるかもしれませんが、患者の状態を悪化させるリスクがあります。混同注意:複雑な作業工程の説明と混同。複雑な作業も分解して段階的に説明すべきです。
- 3. 正解。統合失調症の患者は、環境の変化に対して敏感で、混乱や不安を感じやすい傾向があります。予測可能で一貫性のある環境を提供することで、安心感が増し、集中して作業に取り組めるようになります。
- 4. 統合失調症の患者は、認知機能の障害や思考の歪みにより、状況判断や問題解決能力が低下している場合があります。過度な判断を求めることは、混乱や失敗体験につながり、自尊心を傷つける可能性があります。最初は具体的な指示や構造化された環境の中で支援し、徐々に判断の機会を増やしていくべきです。正しくは:段階的に判断の機会を提供し、必要に応じて支援や具体的な助言を行う。選びやすい理由:自律性を尊重するという観点からは正しいように見えるかもしれませんが、患者の能力レベルを超えた要求は逆効果です。混同注意:自律性支援や問題解決能力の向上と混同。これらは段階的なアプローチが必要です。
- 5. 統合失調症の患者は、注意の転換や集中力の維持が難しいことがあります。指示を出す際には、関係のない情報を混ぜることで、指示の内容が曖昧になり、混乱を招く可能性があります。指示は明確かつ簡潔に伝えるべきです。正しくは:指示は明確かつ簡潔にし、余計な情報は避けて伝える。選びやすい理由:アイスブレイクやリレーションシップ構築のために雑談は有用ですが、指示の前後に入れると、指示そのものの明確性を損なう恐れがあります。混同注意:コミュニケーションの円滑化や信頼関係構築のための雑談と混同。これらの雑談は指示とは別のタイミングで行うべきです。
国試ポイント
統合失調症患者への作業療法における基本的な対応原則、特に環境設定とコミュニケーションの方法が問われています。患者の認知機能障害や感情の不安定さを理解し、それに対応する適切な介入方法を選択できるかが重要です。
混同注意
「患者の自律性を尊重する」という一般的な原則と、統合失調症患者の具体的な認知機能・判断能力の特性を混同しやすい。また、リレーションシップ構築のための雑談と、指示の明確性確保のバランスも問われます。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、統合失調症患者の症状(特に認知機能障害、思考障害、感情障害)が作業遂行にどのような影響を与えるかをまず判断し、その影響を緩和・補償するための介入(環境調整、指示の出し方、課題の構造化など)を検討します。
関連知識
統合失調症の症状(陽性症状、陰性症状、認知機能障害)、作業療法の目標設定、環境調整、コミュニケーション技法、構造化された作業の意味、段階的アプローチ。