欠乏すると中枢神経障害を引き起こすのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第61回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
ビタミンB1(チアミン)は糖質代謝に不可欠な補酵素であり、その欠乏は中枢神経系に大きな影響を与えます。特にアルコール依存症の患者に多く見られるウェルニッケ・コルサコフ症候群や、脚気の神経症状は、ビタミンB1欠乏による代表的な中枢神経障害です。その他のビタミンは、それぞれ異なる主な欠乏症状を示し、中枢神経障害を直接引き起こすことは稀です。
選択肢ごとの解説
- 1. ビタミンAの欠乏は主に視覚障害(夜盲症など)や皮膚・粘膜の乾燥を引き起こしますが、直接的な重篤な中枢神経障害は一般的ではありません。正しくは:ビタミンAは視機能の維持、免疫機能、皮膚・粘膜の健康に関与します。選びやすい理由:ビタミンAも重要な栄養素であるため、何らかの疾患につながると考える受験生がいるかもしれません。混同注意:他の脂溶性ビタミン(D, E, K)の機能と混同する可能性があります。
- 2. 正解。ビタミンB1(チアミン)の欠乏は、特にアルコール依存症患者において、ウェルニッケ・コルサコフ症候群(意識障害、眼球運動障害、運動失調、記憶障害などの中枢神経症状)や脚気(多発神経炎、心不全など)を引き起こすことが知られています。これらは明確な中枢神経系の機能障害を含みます。
- 3. ビタミンCの欠乏は壊血病(倦怠感、歯肉出血、皮下出血、貧血など)を引き起こしますが、直接的に中枢神経系に障害をきたすことは通常ありません。正しくは:ビタミンCはコラーゲンの生成、抗酸化作用、免疫機能に関与します。選びやすい理由:壊血病による全身症状が中枢神経症状と混同される可能性もありますが、直接的な原因ではありません。混同注意:他の水溶性ビタミン(B群)の機能と混同する可能性があります。
- 4. ビタミンDの欠乏は、小児ではくる病、成人では骨軟化症など、主に骨代謝に影響を与えます。中枢神経障害は主要な症状ではありません。正しくは:ビタミンDはカルシウムやリンの吸収を助け、骨の健康を維持します。選びやすい理由:ビタミンDも重要な栄養素であり、近年その多岐にわたる生理作用が注目されているため、神経系への影響を過度に考える受験生もいるかもしれません。混同注意:他の脂溶性ビタミン(A, E, K)の機能と混同する可能性があります。
- 5. ビタミンKの欠乏は、血液凝固因子の生成が妨げられ、出血傾向を引き起こします。中枢神経障害とは直接関連しません。正しくは:ビタミンKは血液凝固や骨形成に関与します。選びやすい理由:出血傾向があるため、脳出血などの合併症を想像するかもしれませんが、それは直接の欠乏症状ではありません。混同注意:他の脂溶性ビタミン(A, D, E)の機能と混同する可能性があります。
国試ポイント
国家試験では、主要なビタミンの種類と、それぞれの欠乏によって生じる特徴的な症状や疾患、特に中枢神経系への影響について問われることがよくあります。各ビタミンの生理機能と、特定の疾患との関連性を正確に理解しているかが重要です。
混同注意
ビタミンB群の中でも、B12欠乏による巨赤芽球性貧血や神経症状(末梢神経障害、精神症状)と混同しやすいですが、中枢神経障害全般として問われた場合はB1がより典型的です。また、B6欠乏も末梢神経障害を引き起こすことがあります。各Bビタミンが関与する代謝経路と症状を正確に区別することが求められます。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、まず「中枢神経障害」というキーワードに注目し、どのビタミンが脳の機能や神経伝達物質の合成に直接関わるかを考えます。特にB群ビタミンは神経系との関連が深いため、それぞれの特徴的な欠乏症状を詳細に確認することが重要です。
関連知識
ビタミンB1は、ピルビン酸からアセチルCoAへの変換やTCAサイクルにおいて重要な役割を果たすため、エネルギー代謝が活発な脳細胞にとっては特に重要な栄養素です。欠乏すると脳のエネルギー供給が滞り、神経細胞の機能不全を引き起こします。ウェルニッケ・コルサコフ症候群は、眼球運動障害、意識障害(ウェルニッケ脳症)と、それに続く健忘、作話などの記憶障害(コルサコフ症候群)を特徴とします。