高次脳機能障害で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第61回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
観念運動失行では、指示された動作や他者の模倣動作を実行することが困難になります。これは、動作の「運動プログラム」に障害があるためと考えられています。「敬礼」のような象徴的なジェスチャーの模倣は、観念運動失行の典型的な評価項目であり、その症状としてよく見られます。
選択肢ごとの解説
- 1. 実行機能障害の中核的な症状は、目標設定、計画立案、順序立て、問題解決といった認知プロセスの障害です。したがって、計画を立てる能力は損なわれます。正しくは:実行機能障害では、物事を計画する能力が損なわれます。選びやすい理由:症状が多岐にわたるため、一部の機能は保たれると誤解しやすいかもしれません。しかし、計画立案は実行機能の最も重要な要素の一つです。混同注意:失行や失認のように特定の感覚・運動系に限定されるわけではないため、全体的な能力の低下と混同しやすいですが、実行機能は高次の認知機能です。
- 2. 半側空間無視は、視覚入力自体ではなく、特定の空間に対する注意の障害です。視野欠損は感覚器の障害ですが、半側空間無視は主に頭頂葉の損傷による注意機能の障害であり、視野は保たれていることが多いです。正しくは:半側空間無視は、特定の空間に対する注意の障害であり、視野欠損が原因ではありません。選びやすい理由:「見えない」という現象が共通するため、単純に視野の障害だと考えてしまいがちです。しかし、患者は意識的にその方向を見ようとすれば見える場合もあります。混同注意:視野欠損(homonymous hemianopsia)と混同しやすいですが、両者は原因もメカニズムも異なります。視野欠損は視覚路の損傷による感覚障害、半側空間無視は脳の注意ネットワークの損傷による認知障害です。
- 3. 視覚失認は、視力や視野に異常がないにもかかわらず、見たものを認識できない状態です。色の濃淡は視覚認知能力とは直接関係なく、認識できないものは名前を挙げることも困難です。正しくは:視覚失認では、色の濃淡に関わらず見たものを認識できないため、名前を挙げることも困難です。選びやすい理由:視覚に何らかのヒントがあれば認識できるのではないかと考えてしまうかもしれませんが、失認は物体そのものの意味を理解する能力の障害です。混同注意:色の濃淡は視覚の物理的特性であり、視覚失認が扱うのはその高次処理です。色覚異常や視野欠損といった基本的な視覚障害と混同しないように注意が必要です。
- 4. 観念失行は、道具を使用する手順や、複数の動作を順序立てて実行するという概念が失われるため、一連の複雑な動作を計画・実行することができません。正しくは:観念失行では、道具を使った一連の動作を行うことが困難です。選びやすい理由:個々の単純な動作はできる場合があるため、全体の一連の動作も可能だと誤解しやすいですが、その「繋がり」が失われるのが観念失行の特徴です。混同注意:観念運動失行(ジェスチャーの模倣や指示に従う動作の困難)や、構成失行(ブロック構成などの空間認知を伴う動作の困難)と混同しやすいですが、観念失行は特に道具を用いた順序だった行為の概念障害です。
- 5. 正解。観念運動失行は、指示されたり模倣したりする運動行為の実行が困難になる状態です。特に象徴的なジェスチャーや道具を使わない運動が障害されやすく、「敬礼」のような慣れ親しんだ動作の模倣も典型的に困難になります。選びやすい理由:これは正しい選択肢です。観念運動失行の典型的な症状を正確に述べています。混同注意:観念運動失行は、患者が動作の意図を理解し、身体的な能力があっても、その動作を正確に実行できない点が特徴です。これは、純粋な運動麻痺や理解不能によるものではありません。
国試ポイント
高次脳機能障害の各症候(実行機能障害、半側空間無視、失認、失行)について、それぞれの特徴や具体的な症状を正確に理解しているかが問われています。特に、症状名と具体的な現象が正しく結びついているか、他の類似症状との鑑別点が重要です。
混同注意
失語症、失認、失行、記憶障害、半側空間無視、実行機能障害など、高次脳機能障害の様々な症候は相互に関連していますが、それぞれに定義と特徴的な症状があります。特に失行(観念失行、観念運動失行、構成失行など)の種類とその区別は混同しやすいため、具体的な例と共に理解することが重要です。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、各高次脳機能障害の症候について、その定義、責任病巣、そして代表的な評価方法と具体例を組み合わせた問題が出る可能性があります。特に、それぞれの症状を区別するための鑑別点が問われるでしょう。例えば、「○○ができるが、△△ができない」といった記述から、どの障害かを判断する形式などです。
関連知識
観念失行と観念運動失行の鑑別(観念失行は動作の概念そのものの障害、観念運動失行は概念は理解しているが運動プログラムの障害)、半側空間無視が視野欠損とは異なる注意障害であること、視覚失認が視力低下とは異なる認識障害であること、実行機能が計画性や問題解決能力を含む高次認知機能であることなどが関連知識として挙げられます。