身体症状症の患者が診療の場面で見せる特徴はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第61回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
身体症状症の患者は、自身の身体症状が身体的な原因によるものだと固く信じており、その解決のために多数の医療機関を受診し、様々な検査を求めます。そのため、医療者が症状の心理的・精神的側面を指摘したり、精神科受診を勧めたりすることに対して、強く反発し、抵抗を示すことが特徴的な臨床像として知られています。彼らは自身の苦痛が身体的なものであると強く確信しているため、心理的な説明を受け入れがたいのです。
選択肢ごとの解説
- 1. 身体症状症の患者は、自分の身体症状の原因を突き止めようとして、むしろ医療機関での精密な検査や診断を積極的に求める傾向があります。医学的説明を受けても納得せず、複数の医療機関を受診することも少なくありません。正しくは:医療機関での詳細な検査や診断を強く求めることが多い。選びやすい理由:精神疾患が背景にあるため、病気を隠したがる、あるいは検査を拒否するのではないかと誤解するかもしれません。しかし、彼らは自分の身体症状が『身体的な問題』であると信じているため、その原因究明に熱心です。混同注意:詐病や虚偽性障害の患者が、自身の企図を隠すために検査を避ける場合と混同しやすいですが、身体症状症の患者は自身の苦痛を真実だと信じています。
- 2. 身体症状症で訴えられる症状は、必ずしも奇異なものや特殊なものばかりではありません。むしろ、頭痛、腹痛、疲労、関節痛といった一般的な身体症状であることが多く、それが慢性的に続く、あるいは多数の症状が同時に出現するといった形で現れるのが特徴です。その症状に対する苦痛や捉え方が問題となります。正しくは:多岐にわたる一般的な身体症状を訴えることが多い。選びやすい理由:精神的な要因が関与するため、通常の病気とは異なる珍しい症状を訴えるのではないかと考えがちですが、症状自体はありふれたものが多いです。混同注意:転換症(機能性神経症状症)では、麻痺や失明など、神経学的な所見と一致しない奇異な症状が出現することがありますが、身体症状症とは性質が異なります。
- 3. 身体症状症の患者は、意識的に症状を偽ったり、利益を得るために誇張したりするわけではありません。彼らは本当に身体の不調や苦痛を感じており、その苦痛は本人にとって現実のものです。これは詐病や虚偽性障害との決定的な違いです。正しくは:本心から身体の苦痛を訴えている。選びやすい理由:精神的な病気という認識から、病気を装っているのではないかと疑ってしまうかもしれませんが、彼らの苦痛は本物です。混同注意:詐病(外部利益を得る目的で意図的に症状を偽る)や虚偽性障害(目的は不明確だが、患者の役割を得るために意図的に症状を偽る)と混同しやすいですが、これらは意図的に症状を作り出す点が異なります。
- 4. 身体症状症の診断基準では、『身体症状またはそれに関連する健康への懸念によって著しい苦痛または日常生活の障害が引き起こされている』ことが必須とされています。患者は身体症状を非常に強く感じ、それによって強い苦痛を経験し、日常生活に支障をきたしています。正しくは:身体症状に対して強い苦痛を感じ、それが生活に支障をきたしている。選びやすい理由:症状の心理的な側面が強いため、患者が本当に苦しんでいるわけではないと誤解するかもしれません。しかし、彼らの苦痛は精神的なものを含め、深く実在します。混同注意:これは誤った記述であり、特に混同しやすい他の疾患や概念はありません。
- 5. 正解。身体症状症の患者は、自分の身体症状を純粋な身体的疾患によるものと強く信じています。そのため、医師や医療従事者が症状の心理的な要因やストレスについて言及すると、自分の訴えが真剣に受け止められていないと感じ、不信感や抵抗を示すことがよくあります。彼らは身体的な検査や治療を望む傾向が強いです。
国試ポイント
この問題は、DSM-5における『身体症状症および関連症群』の中核をなす身体症状症の臨床的特徴と、患者の医療場面での行動様式を理解しているかを問うものです。特に、患者が自身の身体症状をどう捉え、医療者との関係でどのような傾向を示すかという点が重要となります。詐病、虚偽性障害、転換症、疾病不安症などとの鑑別点がポイントです。
混同注意
詐病(症状を意図的に偽り、外部からの利益を得ようとする)、虚偽性障害(患者の役割を得るために意図的に症状を偽る)、疾病不安症(明確な身体症状がないにも関わらず、重篤な疾患にかかっているのではないかという不安に囚われる)、転換症(精神的ストレスが無意識的に運動・感覚機能の症状として現れる)などと混同しやすいですが、身体症状症は患者が身体の苦痛を真に感じており、意図的に症状を作り出しているわけではない点が鑑別の鍵です。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の論点が出題された場合、患者の症状に対する捉え方、医療への要求、心理的要因に対する反応(抵抗の有無)、症状が意図的なものか無意識的なものか、という視点から選択肢を判断できるように学習しておきましょう。特に、身体症状症の患者は『身体の病気だ』と強く主張し、心理的な説明を拒むという特徴は頻出ポイントです。
関連知識
DSM-5の『身体症状症および関連症群』の各疾患(身体症状症、疾病不安症、転換症、虚偽性障害、心理的要因によって修飾される他の医学的状態など)の診断基準と臨床像。特に、症状に対する患者の苦痛のレベル、健康に関する懸念の強さ、心理的要因への抵抗の有無などを理解しておく必要があります。また、作業療法においては、身体症状への執着が日常生活活動に与える影響を評価し、心理教育やリラクゼーション、活動調整などのアプローチを通じて、患者の生活の質向上を目指すことが重要です。