ボーダーラインパーソナリティ症〈境界性パーソナリティ障害〉患者のリスク管理で、優先して収集すべき情報はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第61回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
境界性パーソナリティ障害の患者は、衝動性、感情の不安定さ、自己像の混乱などから、自傷行為、自殺企図、暴力、薬物乱用などの「行動化」のリスクが高い。リスク管理の最優先事項は、患者自身や他者の安全確保であるため、過去にどのような行動化があったのか、その頻度、状況などを詳しく把握することが最も重要となる。これにより、現在のリスクレベルを評価し、適切な対応策を講じることが可能になる。
選択肢ごとの解説
- 1. 日常生活動作(ADL)は患者さんの生活状況を把握する上で重要な情報ですが、境界性パーソナリティ障害(BPD)におけるリスク管理の最優先事項は、自己破壊的な行動や他者への危害などの「行動化」の兆候や可能性を評価することであり、ADLは直接的なリスク予測とは異なります。正しくは:ADLの状況把握は重要ですが、リスク管理における緊急性や優先度は「行動化の履歴」に劣ります。選びやすい理由:生活の基盤となる情報であり、患者さんの全体像を把握する上で欠かせないため、重要だと感じやすいかもしれません。混同注意:全般的な生活機能評価と、生命や安全に関わる緊急性の高いリスクアセスメントの優先順位。
- 2. 作業遂行能力の評価は作業療法士の介入において核となる情報ですが、BPD患者の「リスク管理」という観点、特に自己傷害や他害のリスク評価においては、過去の具体的な「行動化の履歴」の方が優先されます。正しくは:作業遂行能力の評価は長期的な治療計画には不可欠ですが、安全確保が最優先されるリスク管理では行動化の兆候や履歴がより直接的な指標となります。選びやすい理由:作業療法士として専門的な視点から患者さんを理解する上で非常に重要な情報であるため、選びたくなるかもしれません。混同注意:作業療法評価の全体的な重要性と、BPDの緊急リスク管理における情報の優先順位。
- 3. 境界性パーソナリティ障害の患者さんは、不安定な対人関係が特徴であり、それが行動化の引き金となることも多いため、重要な情報です。しかし、リスク管理においては、過去にどのような行動化があったのかという「行動化の履歴」そのものが、より直接的に今後のリスクを予測し、対応を計画するための優先情報となります。正しくは:不安定な対人関係はBPDの病態を理解する上で極めて重要ですが、緊急のリスク管理においては「行動化の履歴」がより具体的な危険性を評価する上で優先されます。選びやすい理由:BPDの主要な診断基準の一つであり、患者さんの抱える問題の中心にあるため、非常に重要だと感じやすいでしょう。混同注意:BPDの病態を構成する主要症状と、その結果として現れる「行動化」という具体的なリスクの評価。
- 4. 主訴の背景を詳しく把握することは、診断や治療計画を立てる上で不可欠な基本情報です。しかし、「リスク管理」という文脈では、自己傷害や他害など、患者さん自身や周囲の安全に関わる具体的な「行動化の履歴」の方が、緊急性のある対応を検討する上で優先されます。正しくは:主訴の背景は病態の理解に不可欠ですが、安全確保を目的とするリスク管理では「行動化の履歴」が最優先となります。選びやすい理由:丁寧な問診の基本であり、患者さんを包括的に理解するために必要な情報であるため、重要だと考えるのは自然です。混同注意:一般的な医療面接の重要事項と、精神科疾患、特にBPDにおける自己・他害リスク管理の特異性。
- 5. 正解。境界性パーソナリティ障害の患者さんは、衝動性や感情の不安定さから、自傷行為(リストカットなど)、自殺企図、薬物乱用、暴力行為といった「行動化」のリスクが非常に高いことが特徴です。リスク管理の最も重要な目的は、患者さん自身や周囲の安全を確保することであり、過去にどのような行動化があったかを詳細に把握することで、現在のリスクレベルを正確に評価し、再発予防のための具体的な支援策を計画することが可能になります。
国試ポイント
境界性パーソナリティ障害の病態理解と、精神科領域におけるリスク管理の優先順位を問う問題。特に、自己破壊的な行動化が特徴であるため、その履歴把握が重要であることを理解しているかが問われる。
混同注意
BPD患者の生活機能全般を評価する情報(ADL、作業遂行、対人関係)と、緊急性の高いリスク管理(行動化の可能性)を区別する。また、疾患の背景理解(主訴の背景)と、目の前の危機管理の優先順位の区別。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、行動化のトリガーや現在のストレス状況、サポート体制など、行動化に直結する因子やそれを防ぐための情報に注目する。
関連知識
境界性パーソナリティ障害の診断基準(DSM-5など)と主な特徴。自傷行為、自殺企図、衝動性、感情調節不全などの概念。精神科におけるリスクアセスメントの基本(自傷他害のリスク、治療中断のリスクなど)。精神科作業療法におけるBPD患者への関わり方(構造化、境界設定、感情調整スキルの獲得支援など)。