緩和期のがんのリハビリテーション医療で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第61回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
緩和期のがんリハビリテーションは、患者さんの残された時間をより豊かに過ごせるよう、QOLの維持・向上を目的とします。そのため、患者さんの価値観や意思を最優先し、その時々の体調や希望に応じてリハビリテーションプログラムを柔軟に調整することが極めて重要です。
選択肢ごとの解説
- 1. 緩和期のがん患者さんは、がんの進行や治療の影響(例えば骨転移やステロイド使用による骨粗鬆症など)で骨が脆弱になり、病的骨折や転倒による骨折のリスクは高まります。しかし、「疲労骨折」を特異的にきたしやすいとは言えず、通常は反復的な負荷によって生じるものです。正しくは:骨転移がある場合、病的骨折のリスクが高い。選びやすい理由:がん患者さんは全身状態が悪く、骨が脆くなるイメージがあるため、骨折全般のリスクが高いと連想されやすいです。混同注意:「病的骨折」や「転倒による骨折」と「疲労骨折」の区別、また、がん治療による骨粗鬆症などによる骨脆弱性と混同する可能性があります。
- 2. 温熱療法は、がん性疼痛の緩和に有効な場合も多くあります。ただし、腫瘍部位への直接的な刺激、出血傾向のある部位、感染部位、活動性炎症のある部位などでは禁忌となるか、慎重な適用が必要です。一概に全ての疼痛に対して禁忌ではありません。正しくは:疼痛への温熱療法は、個々の状態や部位により適応を慎重に判断する必要がある。選びやすい理由:がんが悪化するかもしれないという漠然とした不安から、温めることが悪いと考えてしまうことがあります。また、一部の急性炎症などでの禁忌が、全てのがん性疼痛に当てはまると誤解しやすいです。混同注意:特定の状況下での温熱療法の禁忌と、がん性疼痛全般への温熱療法の有効性を混同する可能性があります。
- 3. 緩和期のリハビリテーションでは、患者さんの生活の質(QOL)の維持・向上が最優先されます。機能回復は、そのQOL向上に貢献する手段の一つであり、QOLを犠牲にしてまで機能回復を追求することはありません。正しくは:QOLの維持・向上を最優先し、機能回復はQOL向上の手段として位置づける。選びやすい理由:一般的なリハビリテーションのイメージとして「機能回復」が第一目標と捉えられがちですが、緩和期ではQOLが最も重要です。混同注意:回復期リハビリテーションのように、元の機能回復を主眼とするフェーズと、緩和期リハビリテーションの目標の違いを混同する可能性があります。
- 4. 緩和期では、がんの進行や治療による影響のため、がん治療前のADLレベルに戻すことは困難な場合が多いです。目標は、残存能力の活用や代償手段の獲得を通じて、患者さんの現在の生活の質を維持・向上させることに置かれるべきであり、現実的な目標設定が重要です。正しくは:患者さんの現在の状態と予後を考慮し、現実的なADL目標を設定する。選びやすい理由:リハビリテーションは「元に戻す」というイメージが強いため、治療前の状態を目標と捉えがちです。しかし、緩和期では機能の維持や悪化の予防が主眼となります。混同注意:回復期リハビリテーションにおける「機能回復・社会復帰」を目標とする考え方と、緩和期リハビリテーションにおける「QOL維持・向上」を目標とする考え方を混同する可能性があります。
- 5. 正解。緩和期のリハビリテーションでは、患者さん自身の価値観、希望、目標が最も尊重されます。体調や精神状態が変化しやすい時期であるため、患者さんの意思を定期的に確認し、それに合わせてプログラムを柔軟に見直すことが不可欠です。これは緩和ケア全般の基本原則でもあります。
国試ポイント
緩和期リハビリテーションの基本原則、特に患者中心のアプローチ、QOL重視、現実的な目標設定、そして多職種連携の重要性が問われることが多いです。
混同注意
回復期リハビリテーションと緩和期リハビリテーションの目標設定の違い、疼痛管理における温熱療法の一般的な適応とがん性疼痛での特異な禁忌・適応、骨折の種類(病的骨折、疲労骨折)とその発生要因の違いが混同しやすいポイントです。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、緩和期リハビリテーションにおいて「患者の自己決定権の尊重」「QOLの優先順位」「現実的な目標設定」「心身の状態変化に応じた柔軟な対応」といったキーワードに注目して選択肢を判断しましょう。
関連知識
緩和ケアの理念、がんのリハビリテーションガイドライン、QOL評価、疼痛アセスメントと非薬物療法、多職種連携(チーム医療)の重要性、患者さんの自己決定権の尊重。