ICFの構成要素である「活動と参加」に分類されるのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・5番
解説
ICF(国際生活機能分類)の「活動と参加」は、個人が生活場面で行う課題の遂行(活動)と、生活・人生場面への関わり(参加)を指します。選択肢1の「意思決定」は、特定の課題を遂行する認知的な活動であり、活動に分類されます。選択肢5の「基本的な対人関係」は、他者との関係を構築し維持する参加の側面を持つため、活動と参加に分類されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。「意思決定」は、個人が特定の状況において、複数の選択肢の中から適切なものを判断し、行動に移すという一連の認知的なプロセスを伴う活動です。ICFの活動項目「D1 知識の応用」や「D2 全般的課題と要求」に関連する具体的な行為として分類されます。選びやすい理由:特になし。これは正解肢。混同注意:「高次脳機能障害」などの心身機能と混同する可能性もありますが、意思決定は機能障害そのものではなく、その機能を用いて行われる具体的な行為です。
- 2. 「睡眠の質」は、ICFにおいて「心身機能」の中の「b130 エネルギーと欲動機能(睡眠機能を含む)」に分類されます。これは、身体の生理的機能としての睡眠状態を指すため、「活動と参加」には分類されません。正しくは:睡眠の質は、心身機能に分類される。選びやすい理由:睡眠は日常生活において重要な要素であるため、活動の一つであると誤解しやすいかもしれません。しかし、睡眠そのものは心身の生理的状態であり、その機能の評価が「質」として表現されます。混同注意:活動(例:睡眠をとる行為、睡眠習慣)と心身機能(例:睡眠の質、睡眠機能)
- 3. 「社会的態度」は、ICFでは「個人因子」に分類される項目の一つです。個人の背景因子であり、生活機能のコンテキストを構成する要素ですが、「活動と参加」のような具体的な行為や関わりそのものには分類されません。正しくは:社会的態度は、個人因子に分類される。選びやすい理由:「社会」という言葉から「参加」と結びつけやすいですが、ICFにおける「個人因子」は、個人の生活状況や特性に関する要因であり、具体的な活動や参加の側面とは異なります。混同注意:参加(例:社会活動への参加)と個人因子(例:社会的態度、価値観)
- 4. 「複雑な計算」は、ICFにおいて「心身機能」の中の「b164 高次認知機能(計算機能を含む)」に分類されます。これは、計算を行うための精神的機能そのものを指すため、「活動と参加」には分類されません。正しくは:複雑な計算は、心身機能に分類される。選びやすい理由:計算という行為自体は活動のように思えますが、「複雑な計算」という表現は計算能力や機能に焦点を当てています。能力や機能そのものは心身機能に分類されます。混同注意:活動(例:計算問題に取り組む、経費を計算する)と心身機能(例:計算能力、複雑な計算を行うための機能)
- 5. 正解。「基本的な対人関係」は、ICFの「参加」の項目である「d7 対人交流と対人関係(基本的な対人関係を含む)」に分類されます。他者と関わり、関係を築くことは、社会的な役割遂行や生活場面への関わりであり、「活動と参加」の重要な側面です。選びやすい理由:特になし。これは正解肢。混同注意:「コミュニケーション能力」などの心身機能と混同する可能性もありますが、基本的な対人関係は能力そのものではなく、能力を用いて行われる具体的な関わりや関係性を指します。
国試ポイント
ICFの各構成要素(心身機能・身体構造、活動と参加、環境因子、個人因子)の具体的な内容を理解し、提示された項目がどの構成要素に分類されるかを正確に判断する能力が問われます。特に、「活動と参加」は混同しやすいため、その定義と具体例の区別が重要です。活動は個人レベルの行為、参加は社会レベルでの役割遂行や関与と捉えることができます。
混同注意
「活動と参加」と「心身機能」の区別が混同しやすいです。心身機能は身体の生理的機能や精神的機能そのものを指し、活動はそれらの機能を使って行う具体的な行為を指します。例えば、「記憶力」は心身機能ですが、「過去の出来事を思い出す」は活動です。
次に同じ論点が出たら
次に同様の問題が出た場合は、まず提示された項目が「個人レベルでの行為」なのか、「社会レベルでの役割や関わり」なのかを判断し、次に「身体の生理的機能や精神的機能そのもの」なのか、それとも「その機能を用いて行う具体的な行為」なのかを見極めます。特に「〜能力」と表現されるものは心身機能に分類されることが多いですが、「〜すること」と具体的な行為を示すものは活動に分類されやすい傾向があります。
関連知識
ICFはWHO(世界保健機関)が提唱した、人間の生活機能と障害の分類法です。構成要素は「健康状態(疾病・変調)」、「心身機能と身体構造」、「活動と参加」、「環境因子」、「個人因子」の5つで、それぞれが相互に影響し合う動的なモデルとして理解されます。特に、心身機能は器官レベル、活動は個人レベル、参加は社会レベルというように、レベル感の違いを意識することが重要です。