作業療法プログラム立案で最も適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第61回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
作業療法プログラムにおいて、対象者が達成可能な目標を設定し、成功体験を積み重ねることは、自己効力感を高め、意欲を向上させ、主体的なリハビリテーション参加を促す上で極めて重要です。これにより、次のステップへのモチベーション維持にもつながります。
選択肢ごとの解説
- 1. 作業療法プログラムは、明確な目標に基づき段階的かつ計画的に進められるべきであり、毎回内容を無闇に変更すると効果的な介入が難しくなります。必要に応じて見直しや調整は行いますが、頻繁な変更は避けるべきです。正しくは:訓練内容は、クライアントの状態や目標達成度に応じて適切に評価し、段階的に調整していくべきである。選びやすい理由:クライアントが飽きないように、あるいは新しい刺激を与えるために内容を変える必要があると誤解する可能性があります。混同注意:柔軟な対応と無計画な変更を混同するかもしれません。
- 2. 環境調整は、患者さんが安全かつ自立した生活を送れるよう、退院前からアセスメントを行い、必要に応じて病院スタッフ、家族、地域サービスと連携して計画・実施することが重要です。早期の調整は、退院後の生活へのスムーズな移行を促し、再入院のリスクを低減します。正しくは:生活環境の調整は、退院を見据えて入院中から計画的に進めるべきである。選びやすい理由:入院中は病院の環境で訓練するため、環境調整は退院後で良いと考えるかもしれません。混同注意:環境調整のタイミングと、実際の自宅での適応評価のタイミングを混同する可能性があります。
- 3. IADLの向上には、機能訓練だけでなく、実際のIADL活動(調理、買い物など)そのものを訓練すること、またはその活動を阻害する要因(認知機能、環境、意欲など)に直接アプローチすることが重要です。機能訓練はIADLを支える基盤ではありますが、常に最優先とは限らず、個別性や作業に焦点を当てた介入が必要となります。正しくは:手段的日常生活活動(IADL)の改善には、必要に応じて機能訓練も行いつつ、実際のIADL活動の練習や環境調整、認知機能へのアプローチなどを総合的に行うべきである。選びやすい理由:機能が改善すればIADLも改善すると短絡的に考えてしまうかもしれません。医学的リハビリテーション全体の中で機能訓練が重要であるため、作業療法でもそれに引きずられやすいことがあります。混同注意:機能訓練と作業訓練(IADL訓練)の役割の優先順位を混同する可能性があります。
- 4. 作業療法プログラムの立案は、クライアント中心の視点、エビデンスに基づいた実践(EBP)、理論的根拠、およびクライアントの価値観やニーズ、目標を総合的に考慮して行われるべきです。個人の経験は重要ですが、それだけでは客観性や再現性に欠けます。正しくは:プログラムの内容は、クライアントのニーズや目標、最新の科学的根拠(EBP)、そして作業療法士の専門的知識と経験を総合的に判断して決定する。選びやすい理由:経験豊富な作業療法士の意見は重要だと考え、それが唯一の判断基準と誤解する可能性があります。混同注意:臨床経験の重要性と、エビデンスやクライアント中心主義の原則を混同する可能性があります。
- 5. 正解。プログラムの中で小さな成功体験を積み重ねることは、対象者の自己効力感を高め、意欲を向上させ、リハビリテーションへの主体的な参加を促す上で非常に重要です。これにより、より困難な課題への挑戦意欲も湧きやすくなります。
国試ポイント
作業療法プログラム立案における基本的な原則、特にクライアントの動機付けや自己効力感の向上に焦点を当てた視点が理解されているかを問う問題です。一般的なリハビリテーションの原則に加え、作業療法士として作業を用いてクライアントを支援する視点が求められます。
混同注意
機能訓練の優先順位や環境調整のタイミング、プログラム変更の柔軟性、エビデンスと経験のバランスなど、作業療法における他の重要な要素と、成功体験の重要性を比較検討する点で迷いやすい問題です。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が問われた際には、クライアントの主体性、意欲、自己効力感、生活の質の向上といった視点からプログラム立案の適切性を判断できるよう、これらの概念を深く理解しているかを確認しましょう。
関連知識
自己効力感、クライアント中心の実践、エビデンスに基づいた実践(EBP)、作業療法の基本的視点(作業そのものを用いる、作業遂行の意味づけ)、動機付け理論、プログラム評価と目標設定。