過去に行われた信頼性の高い複数の研究結果を定量的に検討する研究方法はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第58回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
メタアナリシスは、複数の独立した研究結果を統計学的に統合し、より高いエビデンスレベルで結論を導き出す研究方法です。これにより、個々の研究では検出できなかった小さな効果を検出したり、不確かな結果の精度を向上させたりすることが可能になります。特に、過去に行われた信頼性の高い研究を定量的に統合・解析する点が特徴です。
選択肢ごとの解説
- 1. 群間比較試験は、介入群と対照群の2つの群を比較することで、介入の効果を評価する研究デザインです。複数の研究結果を定量的に統合するものではありません。正しくは:特定の介入の効果を評価するために、介入群と対照群を比較する試験。選びやすい理由:「比較」という言葉から、複数の情報を統合するような印象を受ける可能性がある。混同注意:ランダム化比較試験やコホート研究などの、群間で比較を行うあらゆる研究デザイン。
- 2. 正解。メタアナリシスは、過去に発表された複数の独立した研究のデータを集め、統計学的手法を用いて統合・解析することで、個々の研究だけでは得られない知見やより精度の高い推定値を得る研究方法です。設問の「信頼性の高い複数の研究結果を定量的に検討する」という記述に合致します。選びやすい理由:正しい選択肢であるため、問題文のキーワードとの合致度から正解と判断しやすい。混同注意:システマティックレビュー(システマティックレビューは文献の網羅的収集・評価までを含み、メタアナリシスはそれに続く定量的統合解析であるため、メタアナリシスはシステマティックレビューに含まれる概念)
- 3. 群内前後比較試験は、同一の対象者群に対して、介入前と介入後の変化を比較する研究デザインです。複数の研究結果を統合するものではありません。正しくは:同一の対象者群において、介入前と介入後の状態を比較する試験。選びやすい理由:「比較」という言葉から、複数の情報を統合するような印象を受ける可能性がある。また、単一の群内で時間的な変化を追うため、個別研究としては有用である。混同注意:群間比較試験や、ランダム化比較試験の単一群内の評価方法。
- 4. クロスオーバー試験は、同一の対象者に対して異なる介入を順番に行い、それぞれの介入の効果を比較する研究デザインです。複数の研究結果を定量的に統合するものではありません。正しくは:同一の対象者に異なる介入を順番に適用し、それぞれの効果を比較する試験。選びやすい理由:複数の介入を比較するため、一見すると「複数の」研究を扱うように思われるかもしれない。混同注意:ランダム化比較試験(特に平行群間比較試験)
- 5. ケースコントロール研究(症例対照研究)は、ある疾患に罹患している患者(症例)と、その疾患に罹患していない対照者を比較することで、過去の曝露因子や危険因子を遡及的に調査する研究方法です。複数の研究結果を統合するものではなく、原因と結果の関連性を調査する観察研究の一種です。正しくは:特定の疾患を持つ患者群と持たない対照群を比較し、過去の曝露要因を調査する研究。選びやすい理由:「ケース」と「コントロール」という二つの群を比較するため、何らかの比較・検討をする研究であることに変わりはないため。混同注意:コホート研究(コホート研究は曝露から結果を追跡する前方視的研究、ケースコントロール研究は結果から曝露を遡る後方視的研究)
国試ポイント
エビデンスレベルと研究デザインの分類を理解し、それぞれの特徴と目的を識別できるようにすること。特にメタアナリシスが最も高いエビデンスレベルを持つ統合解析であることを覚える。
混同注意
システマティックレビューとメタアナリシスは混同されやすいが、システマティックレビューは特定テーマに関する文献を網羅的に収集・評価する手法であり、その中で統計的手法を用いて定量的に統合するものがメタアナリシスである。
次に同じ論点が出たら
「複数の研究結果を定量的に検討」「統計的に統合」といったキーワードがあれば、メタアナリシスを第一に検討する。
関連知識
研究デザインのエビデンスレベルは、高から低へ順に、メタアナリシス/システマティックレビュー>ランダム化比較試験>コホート研究>ケースコントロール研究>症例対照研究>症例報告/専門家の意見、となる。それぞれの研究デザインがどのような状況で用いられ、どのようなバイアスを受けやすいかを理解する。