骨折と損傷を受ける可能性がある筋との組合せで誤っているのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第55回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
第2背側骨間筋は中手骨の間にある手の内在筋で、橈尺骨(前腕)の骨幹部骨折で損傷を受けることはないため、誤った組合せです(公式正答5)。
選択肢ごとの解説
- 1. 鎖骨骨折は、鎖骨に付着する小胸筋(烏口突起に付着)を損傷させる可能性があります。正しくは:この組み合わせは正しい。選びやすい理由:一見すると関係が薄そうに見えるが、解剖学的に小胸筋の起始部が烏口突起であり、鎖骨近傍であるため損傷のリスクがある。混同注意:広背筋や大胸筋など、鎖骨に付着する他の筋肉との混同。
- 2. 橈骨遠位端骨折では、骨膜に近い位置にある方形回内筋が損傷を受ける可能性があります。この筋肉は橈骨と尺骨の遠位端をつないでいます。正しくは:この組み合わせは正しい。選びやすい理由:遠位端骨折では神経や血管の損傷が注目されがちだが、骨に密着する筋肉も損傷リスクが高い。混同注意:円回内筋など、他の前腕の回内筋との混同。
- 3. 上腕骨外科頸骨折は、棘上筋腱が停止する大結節に近い部位で発生するため、棘上筋の損傷やインピンジメントを引き起こすことがあります。また、外科頸部には回旋筋腱板の一部が走行しているため、損傷のリスクがあります。正しくは:この組み合わせは正しい。選びやすい理由:外科頸部と棘上筋の解剖学的関係が直接的でないと誤解しがちだが、付着部や周囲組織との関連から損傷リスクがある。混同注意:他の回旋筋腱板の筋肉(棘下筋、小円筋、肩甲下筋)との混同。
- 4. 烏口腕筋は上腕骨骨幹部の内側面に付着し、その周囲を走行しているため、骨幹部骨折の際に損傷を受ける可能性があります。正しくは:この組み合わせは正しい。選びやすい理由:烏口腕筋の損傷よりも、橈骨神経麻痺など他の神経損傷がより強調されることが多いため、見落としがち。混同注意:上腕二頭筋の短頭(烏口突起を起始とするため)との混同。
- 5. 正解。第2背側骨間筋は第2・第3中手骨の間にある手の内在筋で、前腕の橈尺骨骨幹部骨折で損傷を受ける筋ではありません。正しくは:橈尺骨骨幹部骨折では、前腕の他の筋肉(例:回内筋群、回外筋など)や神経(橈骨神経、正中神経、尺骨神経)が損傷を受ける可能性がありますが、第背側骨間筋は通常、直接的な損傷のリスクは低い。選びやすい理由:『骨間筋』という名称から、骨折と関連があるように錯覚しやすい。しかし、橈尺骨骨幹部と手の骨間筋は距離が離れており、直接損傷する可能性は低い。混同注意:前腕骨間膜や、前腕深層の筋(長母指伸筋、短母指伸筋、示指伸筋など)との混同。
国試ポイント
この問題は、骨折の種類とその周囲の解剖学的構造(特に筋肉)の関連性について正確な知識を問うものです。どの筋肉がどの骨折部位で損傷を受けやすいかを理解しているかが重要です。特に、骨折部位から離れた筋肉が選択肢に含まれている場合に、その妥当性を判断できるかがポイントとなります。
混同注意
骨折と筋肉の関連性を見極める際に、名前が似ている筋肉や、解剖学的に近い位置にあるが直接損傷のリスクが低い筋肉と混同しやすい。特に、直接的な付着がないが周囲を走行している神経や血管の損傷と混同して、筋肉の損傷リスクを誤認することがあります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、まず骨折部位と筋肉の解剖学的な位置関係を正確に把握することが重要です。特に、『骨折部と筋肉の距離』、『筋肉の付着部』、『筋肉が骨折部を『またいでいる』か『骨に密着している』か』といった点を考慮して、損傷リスクの高さを判断します。
関連知識
各骨折部位における周囲の主要な神経・血管・筋肉の走行と付着部。特に、橈骨神経麻痺を伴う上腕骨骨幹部骨折や、回旋筋腱板損傷を伴う上腕骨外科頸骨折など、典型的な関連を学習しておくことが重要です。また、手の内在筋(虫様筋、骨間筋)の機能と解剖学的位置も理解しておく必要があります。