母指を橈側外転させた右手を図に示す。矢印の腱はどれか。2つ選べ。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・4番
解説
下図は母指を橈側外転させた状態であり、矢印は解剖学的嗅ぎタバコ入れの橈側(外側)境界を指しています。この境界を構成する腱は、第1伸筋区画を通る長母指外転筋腱と短母指伸筋腱です。したがって、2. 短母指伸筋と4. 長母指外転筋が正答となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 短母指外転筋の腱は、母指の外転運動に関与しますが、長母指外転筋の腱と比較して橈骨茎状突起部で確認されることは稀で、また矢印で示されるような隆起として触知されることは通常ありません。多くの場合、短母指外転筋の腱はより掌側に位置し、解剖学的嗅ぎタバコ入れの形成には関与しません。正しくは:短母指外転筋の腱は解剖学的嗅ぎタバコ入れの形成には直接関与しません。嗅ぎタバコ入れの橈側縁を形成するのは長母指外転筋腱と短母指伸筋腱です。選びやすい理由:母指の外転という動作に関連するため、一見正解のように思えるかもしれません。しかし、解剖学的嗅ぎタバコ入れの構成要素を正確に理解しているかが問われます。混同注意:母指の外転に関わる筋肉であるため、長母指外転筋と混同しやすいですが、腱の位置と解剖学的嗅ぎタバコ入れの形成における役割が異なります。
- 2. 正解。短母指伸筋の腱は、長母指外転筋の腱と共に、解剖学的嗅ぎタバコ入れの橈側(外側)の境界を形成し、母指を橈側外転させた際に顕著に浮き出る腱の一つです。下図の矢印は、この部分の腱を指しており、これは短母指伸筋の腱に該当します。
- 3. 長橈側手根伸筋の腱は、手関節の背側橈側部にありますが、母指の橈側外転によって形成される解剖学的嗅ぎタバコ入れの境界には直接関与しません。この腱は主に手関節の伸展と橈屈に関わります。矢印が示しているのは母指の腱です。正しくは:長橈側手根伸筋の腱は、解剖学的嗅ぎタバコ入れの境界ではなく、その近位に位置する別の腱であり、作用も手関節の動きが主です。選びやすい理由:手関節の橈側に位置する腱であるため、選択肢として考慮するかもしれませんが、母指の動きに直接関連する腱ではない点が誤りです。混同注意:手関節橈側の腱と、母指の腱(特に解剖学的嗅ぎタバコ入れを形成する腱)とを混同しやすいです。
- 4. 正解。長母指外転筋の腱は、短母指伸筋の腱と並んで、解剖学的嗅ぎタバコ入れの橈側(外側)の境界を形成します。母指を橈側へ外転させると、この腱ははっきりと隆起して視認・触知できます。図の矢印が示す腱の一部は、この長母指外転筋の腱です。
- 5. 長母指伸筋の腱は、解剖学的嗅ぎタバコ入れの尺側(内側)の境界を形成します。設問の図では矢印が橈側(外側)の境界を示しており、これは長母指伸筋の腱が形成する部分とは異なります。正しくは:長母指伸筋の腱は、解剖学的嗅ぎタバコ入れの『尺側(内側)』境界を形成します。下図の矢印が指すのは『橈側(外側)』境界の腱です。選びやすい理由:母指の伸筋であり、解剖学的嗅ぎタバコ入れの構成要素の一つであるため、正解と誤解しやすいですが、その位置(尺側か橈側か)が重要な鑑別点です。混同注意:解剖学的嗅ぎタバコ入れを構成する腱であることは正しいですが、その中で橈側と尺側のどちらを構成するかという点で、長母指外転筋や短母指伸筋と混同しやすいです。
国試ポイント
この問題は、解剖学的嗅ぎタバコ入れ(anatomical snuffbox)を構成する腱を正確に理解しているかを問うものです。特に、橈側境界と尺側境界を形成する腱の区別が重要となります。臨床ではドケルバン病の鑑別診断などにも関連する重要な解剖知識です。
混同注意
解剖学的嗅ぎタバコ入れを構成する腱(長母指外転筋、短母指伸筋、長母指伸筋)と、その他の手関節周囲の腱(短母指外転筋、長橈側手根伸筋など)の区別。特に、どの腱が橈側境界を形成し、どの腱が尺側境界を形成するかを混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、解剖学的嗅ぎタバコ入れの『尺側境界を形成する腱はどれか』や、『解剖学的嗅ぎタバコ入れの床を構成する骨はどれか』など、他の構成要素や関連事項について問われる可能性があります。また、ドケルバン病の症状や検査法と関連付けて出題される可能性も考えられます。
関連知識
解剖学的嗅ぎタバコ入れの境界:橈側(外側)境界は長母指外転筋腱と短母指伸筋腱、尺側(内側)境界は長母指伸筋腱。床(底)は舟状骨と大菱形骨。内容物:橈骨動脈、橈骨神経浅枝。臨床的意義:舟状骨骨折の圧痛点、ドケルバン病の診察。