慢性腎臓病の臨床所見はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第61回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
慢性腎臓病の主要な臨床所見の一つは蛋白尿です。腎臓の糸球体が損傷することで、通常は尿中にほとんど排出されないタンパク質が漏れ出し、尿中に検出されるようになります。これは腎臓の障害を示す重要な指標です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。慢性腎臓病では、腎臓の糸球体や尿細管の機能障害により、血液中のタンパク質が尿中に漏れ出すため蛋白尿がしばしば認められます。これは腎機能障害の早期から出現し、病状進行の指標の一つとなります。
- 2. 慢性腎臓病の患者では、レニン-アンジオテンシン系の活性化、体液量の増加、動脈硬化の進行などにより、むしろ高血圧を合併することが非常に一般的です。低血圧は稀です。正しくは:高血圧選びやすい理由:腎臓が体液量や血圧を調整する臓器であるため、機能低下によって何らかの血圧異常が生じるという連想から選びやすいかもしれません。しかし、低血圧はCKDの主たる所見ではありません。混同注意:CKDと高血圧の強い関連性
- 3. 慢性腎臓病が進行すると、腎臓の酸排泄能力が低下し、体内に酸が蓄積しやすくなります。このため、アシドーシス(代謝性アシドーシス)を呈することが一般的です。アルカローシスは通常見られません。正しくは:アシドーシス選びやすい理由:腎臓が電解質や酸塩基平衡の調整に関わる臓器であるため、その機能障害で異常が生じることは正しいですが、具体的な異常の種類を混同している場合に選びやすいです。混同注意:代謝性アシドーシス
- 4. 慢性腎臓病では、活性型ビタミンDの産生低下やリンの排泄障害により、カルシウムの吸収が低下し、リンとのバランスが崩れるため、低カルシウム血症を呈することが多いです。また、二次性副甲状腺機能亢進症が合併することもありますが、それが直接高カルシウム血症につながることは稀で、通常は低カルシウム血症が先行します。正しくは:低カルシウム血症選びやすい理由:副甲状腺機能亢進症との関連でカルシウム代謝異常が起こることは正しいですが、具体的な変化を誤解していると選びやすいです。混同注意:低カルシウム血症、高リン血症、骨病変
- 5. 慢性腎臓病では、腎臓がエリスロポエチン(赤血球の産生を促進するホルモン)を十分に産生できなくなるため、産生は亢進するのではなく低下します。これが腎性貧血の主な原因となります。正しくは:エリスロポエチンの産生低下選びやすい理由:腎臓がホルモン産生に関わる臓器であることは認識しているものの、その機能低下が「亢進」ではなく「低下」につながるという点を誤解している場合に選びやすいです。混同注意:エリスロポエチン産生低下による腎性貧血
国試ポイント
慢性腎臓病の主要な病態生理とそれに伴う臨床所見(特に検査値異常)を理解しているかが問われています。腎臓の各機能(濾過、再吸収、分泌、ホルモン産生など)が障害された際にどのような異常が発生するかを正確に把握しておく必要があります。
混同注意
CKDで起こる様々な電解質異常やホルモン異常(例:高血圧、アシドーシス、低カルシウム血症、高リン血症、腎性貧血)と、それらと対になる正常または逆の病態(例:低血圧、アルカローシス、高カルシウム血症、低リン血症、エリスロポエチン亢進)との混同。
次に同じ論点が出たら
慢性腎臓病の症例問題が出た場合、初期の臨床所見から進行期の合併症まで、幅広い知識が問われる可能性があります。特に、検査値の異常(例:クレアチニン、eGFR、電解質、Hb、尿蛋白)と、それらが示す病態生理を正確に結びつける能力が求められます。
関連知識
慢性腎臓病の診断基準(eGFR、尿所見)、合併症(高血圧、腎性貧血、骨ミネラル代謝異常、代謝性アシドーシス)、各病態に対する治療法。特に、糸球体、尿細管、間質、血管それぞれの障害による影響の違い。