上肢にリンパ浮腫がある乳癌術後患者に対する生活上の指導として最も適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
リンパ浮腫の管理において、用手的リンパドレナージはリンパ液の還流を促し、浮腫を軽減するための重要な治療法です。これは、リンパ液を滞留している部分から、機能しているリンパ管やリンパ節の方向に導く手技であり、適切な方向へ行うことが必須です。
選択肢ごとの解説
- 1. 日光浴は皮膚の乾燥や日焼けを引き起こしやすく、リンパ浮腫のある皮膚は特にデリケートであるため、感染や皮膚トラブルのリスクを高めます。正しくは:日光浴は避け、皮膚の保護に努める。選びやすい理由:ビタミンD生成など日光浴の健康効果を一般的に知っているため。混同注意:一般的な健康増進活動と、リンパ浮腫患者の特殊な皮膚ケアの必要性との混同。
- 2. 患肢を挙上することは、重力によってリンパ液の還流を促進し、浮腫の軽減に有効な方法の一つです。むしろ挙上を推奨します。正しくは:患肢は可能であれば挙上し、リンパ液の還流を促す。選びやすい理由:患肢を安静に保つという漠然としたイメージから、動かさないこと(下げたままにすること)が安静につながると思い込む。混同注意:安静の概念と、リンパ液の還流を促すための適切な姿勢の混同。
- 3. 高温での入浴は血管拡張を引き起こし、一時的にリンパ液の産生を増加させ、浮腫を悪化させる可能性があります。また、皮膚の乾燥も招きやすいです。正しくは:熱すぎないぬるめの湯で入浴し、皮膚の乾燥に注意する。選びやすい理由:温めることで血行が良くなり、浮腫も改善するという誤った連想。混同注意:一般的な温浴の効果と、リンパ浮腫における体温管理の特殊性の混同。
- 4. アームスリングの長期使用は、関節の拘縮や筋力低下を招き、また適切な圧迫が得られない場合、むしろリンパ液の流れを妨げることがあります。通常、適切な圧迫療法や運動療法が推奨されます。正しくは:過度な固定は避け、適切な運動や圧迫療法を行う。選びやすい理由:患肢を保護するという意図から、固定することが最善だと考える。混同注意:保護の必要性と、過度な固定がもたらす弊害の混同。
- 5. 正解。リンパ浮腫の治療では、健常なリンパ節やリンパ管の方向へ向かってリンパ液を誘導するマッサージ(用手的リンパドレナージなど)が非常に重要であり、浮腫の軽減に効果的です。これは複合的理学療法の一部です。正しくは:正答のため修正不要。
国試ポイント
乳がん術後リンパ浮腫患者の生活指導に関する知識が問われています。特に、リンパ浮腫のメカニズムと、それを改善または悪化させないための具体的な生活上の注意点について理解しているかを確認しています。
混同注意
一般的な健康法や、他の疾患の治療法とリンパ浮腫のケアを混同しやすい。特に、安静や温熱、保護といった概念が、リンパ浮腫においては異なる意味合いを持つことがあるため注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、複合的理学療法の各要素(特に圧迫療法やスキンケア、運動療法)についても深く理解しているか問われる可能性があります。また、リンパ浮腫患者の具体的な動作指導や自助具の活用についても着目する。
関連知識
リンパ浮腫の複合的理学療法(用手的リンパドレナージ、圧迫療法、運動療法、スキンケア)、蜂窩織炎の予防、禁忌事項(高温、強い圧迫、刺激、深部マッサージなど)。