脳血管障害と治療の組合せで正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第55回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
くも膜下出血の多くは脳動脈瘤の破裂によって引き起こされ、再出血予防のために動脈瘤を直接処置するクリッピング手術が主要な外科的治療法の一つです。クリッピング手術では、開頭して脳動脈瘤の根元をチタン製などのクリップで挟み、血液が動脈瘤に入り込むのを防ぎます。これにより、動脈瘤の破裂を防ぎ、重篤な再出血から患者を保護します。
選択肢ごとの解説
- 1. ラクナ梗塞は、脳の細い血管が閉塞することで生じる小さな梗塞であり、内科的治療(薬物療法)が主なアプローチです。頸動脈血栓内膜剥離術は、頸動脈の狭窄が重度で脳虚血症状がある場合に選択される外科手術で、主にアテローム血栓性脳梗塞の原因となる大きな血管の狭窄に対して行われます。ラクナ梗塞は小さな穿通枝の病変であり、この手術の適応にはなりません。正しくは:ラクナ梗塞には、抗血小板薬や抗凝固薬による薬物療法、血圧管理などが適用されます。選びやすい理由:脳梗塞の一種であるため、何らかの血管手術が頭に浮かぶかもしれませんが、病態が異なります。混同注意:ラクナ梗塞とアテローム血栓性脳梗塞の病態や治療法の違い。
- 2. 正解。くも膜下出血の主な原因の一つは脳動脈瘤の破裂です。クリッピング手術は、破裂した、または破裂リスクのある脳動脈瘤の根本を金属製のクリップで挟み、血液の流れを遮断することで再出血を予防する標準的な外科的治療法の一つです。
- 3. 心原性脳塞栓症は、心臓内で形成された血栓(多くは不整脈、特に心房細動が原因)が剥がれて脳血管に運ばれて閉塞を引き起こすタイプの脳梗塞です。頸動脈ステント留置術は、頸動脈の狭窄が原因で脳血流が低下したり、そこから血栓が飛んだりする場合に、血管を広げるためにステントを留置する治療法です。心臓が原因の塞栓症には直接関連しません。正しくは:心原性脳塞栓症の治療・予防には、主に抗凝固薬による薬物療法が行われます。急性期には血栓溶解療法や血栓回収療法が検討されます。選びやすい理由:「塞栓」という言葉から血管に対する処置を連想するかもしれませんが、原因となる部位が異なります。混同注意:心原性脳塞栓症とアテローム血栓性脳梗塞(頸動脈病変によるもの)の区別。
- 4. 一過性脳虚血発作(TIA)は、一時的に脳血流が途絶え、神経症状が出現しますが24時間以内に完全に消失する状態です。脳梗塞の前兆となることが多く、原因検索と再発予防(薬物療法や、必要であれば頸動脈内膜剥離術など)が重要です。コイル塞栓術は、脳動脈瘤の治療において、カテーテルを用いて動脈瘤内にプラチナ製のコイルを詰め、動脈瘤への血流を遮断して破裂を防ぐ手技です。TIA自体を治療するものではありません。正しくは:一過性脳虚血発作の治療は、原因に応じた抗血小板薬や抗凝固薬の投与、血圧管理、糖尿病管理など内科的治療が主となります。原因が重度の頸動脈狭窄であれば、頸動脈血栓内膜剥離術やステント留置術が検討されます。選びやすい理由:脳虚血状態であるため、何らかの血管処置が有効に思えるかもしれませんが、動脈瘤治療であるコイル塞栓術とは病態が異なります。混同注意:一過性脳虚血発作の病態と、動脈瘤治療としてのコイル塞栓術の適応。
- 5. アテローム血栓性脳梗塞は、動脈硬化によって脳血管や頸動脈が狭窄し、血栓が生じて脳血流が途絶えることで発生します。アブレーション手術(カテーテルアブレーション)は、主に不整脈(特に心房細動)の治療において、不整脈の原因となる心臓内の異常な電気興奮部位を焼灼(または冷凍)することで、正常なリズムを取り戻すことを目的とした治療法です。脳梗塞の治療法としては適切ではありません。正しくは:アテローム血栓性脳梗塞の治療には、急性期は血栓溶解療法や血栓回収療法、慢性期・予防としては抗血小板薬療法、血圧・脂質管理、そして重度の頸動脈狭窄がある場合は頸動脈血栓内膜剥離術やステント留置術などが適用されます。選びやすい理由:「アブレーション」という言葉自体が外科的処置を連想させるため、脳血管疾患の治療に結びつけてしまうかもしれません。混同注意:心臓疾患(不整脈)に対するアブレーション治療と、脳血管疾患の治療法の区別。
国試ポイント
この問題は、主要な脳血管疾患(脳梗塞のタイプ、くも膜下出血)の病態を理解し、それぞれに適用される代表的な治療法を正確に結びつけられるかを問うものです。特に、疾患の原因と治療法の作用機序の関連性を理解しているかが重要になります。選択肢には、他の疾患の治療法や、関連性の低い治療法が混在しており、鑑別する能力が試されます。
混同注意
脳梗塞の各病型(ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症)とそれぞれの治療法、くも膜下出血の治療法(クリッピングとコイル塞栓術)、および一過性脳虚血発作(TIA)の管理。また、各治療法が対象とする血管病変や心臓病変を混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、各脳血管疾患の病態だけでなく、主要な治療法の作用機序と適応疾患を正確に把握できているかを確認します。特に、外科的治療とカテーテル治療の違い、それぞれの利点・欠点、そして治療選択の基準について問われる可能性があります。
関連知識
各脳血管疾患の定義、原因、症状、診断方法、急性期・慢性期の治療方針、予防策。特に、外科的治療(クリッピング手術、コイル塞栓術、頸動脈血栓内膜剥離術、頸動脈ステント留置術、血栓回収療法)と内科的治療(抗血小板薬、抗凝固薬、血栓溶解薬、血圧管理、脂質管理)の適応と禁忌を理解しておく必要があります。また、不整脈(心房細動)と脳梗塞の関連性、アブレーション手術の適応についても知識が求められます。