Wilson病で代謝に異常がみられるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第61回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
Wilson病は、ATP7B遺伝子の変異により、肝臓から胆汁への銅排泄を担う銅輸送タンパク質の機能が障害されることで発症します。これにより、体内に過剰な銅が蓄積し、特に肝臓、脳、角膜などで組織障害を引き起こします。したがって、Wilson病の病態は銅の代謝異常に起因します。
選択肢ごとの解説
- 1. Wilson病は銅の代謝異常によって引き起こされる疾患であり、亜鉛の代謝異常ではありません。正しくは:亜鉛はWilson病の治療薬として、銅の吸収を阻害する目的で用いられることがありますが、病気の原因となる代謝異常の元素ではありません。選びやすい理由:Wilson病の治療に亜鉛製剤が使われるため、疾患と関連が深いと誤解しやすいです。混同注意:疾患の原因となる微量元素(銅)と、その治療に用いられる微量元素(亜鉛)を混同しやすいです。
- 2. コバルトはビタミンB12(シアノコバラミン)の構成要素として重要ですが、Wilson病の代謝異常とは直接関連がありません。正しくは:コバルトの代謝異常が直接Wilson病を引き起こすことはありません。選びやすい理由:身体にとって必須の微量元素であるため、他の選択肢と同様に病気の原因となりうると漠然と考える可能性があります。混同注意:特定の疾患と微量元素の関連について、正確な知識がない場合に選びやすいかもしれません。
- 3. Wilson病は銅代謝異常の疾患であり、鉄代謝異常ではありません。鉄の代謝異常はヘモクロマトーシスなどの別の疾患で見られます。正しくは:鉄の過剰蓄積はヘモクロマトーシスという別の遺伝性疾患で特徴的に見られます。選びやすい理由:鉄も体内で重要な微量元素であり、過剰摂取や欠乏症がよく知られているため、特定の疾患の原因として選びやすいです。混同注意:Wilson病(銅過剰)とヘモクロマトーシス(鉄過剰)のように、異なる微量元素の過剰症を混同しやすいです。
- 4. 正解。Wilson病は、肝臓での銅の排出が遺伝的に障害されることで、体内に銅が過剰に蓄積する常染色体劣性遺伝性疾患です。この銅の蓄積が肝臓、脳、眼(角膜)などに多臓器にわたる症状を引き起こします。
- 5. マンガンは必須微量元素の一つですが、Wilson病の代謝異常とは直接関連がありません。正しくは:マンガンの過剰摂取は、パーキンソン病に似た神経症状(マンガニズム)を引き起こすことがありますが、これはWilson病とは異なる病態です。選びやすい理由:銅と同様に、マンガンも過剰摂取により神経症状を呈することがあるため、類似の疾患として関連付けてしまう可能性があります。混同注意:銅の代謝異常(Wilson病)とマンガンの過剰症(マンガニズム)のように、類似の神経症状を引き起こす異なる微量元素の病態を混同しやすいです。
国試ポイント
この問題は、Wilson病の原因となる特定の微量元素を正確に理解しているかを問う基本的な知識問題です。他の選択肢には、治療に用いられる元素(亜鉛)や、同様に体内で重要な役割を持つ他の微量元素(鉄、コバルト、マンガン)が含まれており、これらの知識との混同を誘う構造になっています。疾患とその原因となる物質の結びつきを正確に覚えているかがポイントです。
混同注意
Wilson病の治療に用いられる亜鉛と、病気の原因である銅を混同しやすいです。また、他の微量元素の過剰症(例:鉄過剰によるヘモクロマトーシス、マンガン過剰によるマンガニズム)とWilson病を混同しないように注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
次にWilson病に関する問題が出題された場合、病態生理(ATP7B遺伝子変異、セルロプラスミンの役割)、主な症状(肝臓、神経、精神、眼科所見)、診断に用いられる検査値、治療薬とその作用機序、そして他の微量元素代謝異常症との鑑別点に注目して学習すると良いでしょう。
関連知識
Wilson病の主な症状には、肝機能障害(肝炎、肝硬変)、神経症状(振戦、ジストニア、構音障害など)、精神症状(抑うつ、精神病症状)、そして眼に見られるカイザー・フライシャー角膜輪があります。診断には血清セルロプラスミン低値、尿中銅排泄量増加、肝生検での銅蓄積の確認などが用いられます。治療としては、銅キレート剤(D-ペニシラミン、トリエンチン)や銅吸収阻害剤(亜鉛製剤)が用いられます。