肩甲骨の上方回旋に作用する筋はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第57回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
前鋸筋は、肩甲骨を肋骨に沿って外転・上方回旋させる主要な筋肉です。特に腕を頭上に挙げる動作で、肩甲骨の関節窩を上方に向けるために不可欠な役割を果たします。
選択肢ごとの解説
- 1. 広背筋は肩関節の内転、内旋、伸展に作用しますが、肩甲骨の直接的な上方回旋には関与しません。主に体幹と上腕を結ぶ筋肉です。正しくは:広背筋は肩甲骨の動きに直接関与することは少なく、主に上腕の動きに作用します。選びやすい理由:広背筋は体幹と上腕をつなぐ大きな筋肉であるため、肩甲骨の動きにも関与しそうだと誤解されることがあります。混同注意:広背筋は主に上腕の運動(内転、内旋、伸展)に作用し、肩甲骨の運動には直接関与しない点。
- 2. 正解。前鋸筋は、肋骨から肩甲骨の内側縁に付着しており、肩甲骨を前方に突き出す(外転)作用とともに、肩甲骨の下角を外側・上方へ引き上げ、肩甲骨の安定化と上方回旋に強く作用します。特に腕を挙上する際に重要な役割を果たします。
- 3. 菱形筋(大菱形筋、小菱形筋)は、脊柱と肩甲骨内側縁に付着し、肩甲骨を脊柱に引き寄せる(内転)、上方へ引き上げる(挙上)、および下方回旋させる作用があります。上方回旋とは逆の作用を持ちます。正しくは:菱形筋は肩甲骨を内転・挙上・下方回旋させる筋肉です。選びやすい理由:肩甲骨を動かす主要な筋肉の一つであるため、肩甲骨の多様な動きに関与すると思い込みやすいです。混同注意:上方回旋と下方回旋の作用の混同。
- 4. 肩甲下筋は、肩甲骨の前面(肩甲下窩)から上腕骨に付着するローテーターカフの一つで、肩関節の内旋作用が主です。肩甲骨自体の動き、特に関節窩の向きを変える回旋運動には直接関与しません。正しくは:肩甲下筋は肩関節の内旋に作用する筋肉です。選びやすい理由:肩甲骨に「肩甲」と名前がつくため、肩甲骨の動き全般に関わると誤解しやすいです。混同注意:肩甲骨の動き(肩甲胸郭関節)と肩関節の動き(肩甲上腕関節)の混同。
- 5. 肩甲挙筋は、頸椎から肩甲骨の上角に付着し、肩甲骨を上方へ引き上げる(挙上)作用や、下方回旋させる作用があります。上方回旋に直接作用する筋ではありません。正しくは:肩甲挙筋は肩甲骨を挙上・下方回旋させる筋肉です。選びやすい理由:「挙筋」という名前から上方への動き全般に関わると考えやすいですが、肩甲骨の挙上と上方回旋は異なる運動です。混同注意:肩甲骨の挙上と上方回旋の混同、および下方回旋との区別。
国試ポイント
肩甲骨の運動に関わる主要な筋肉とその作用を正確に理解しているかが問われます。特に、上方回旋と下方回旋、挙上と下制、内転と外転といった対になる動きと、それぞれの主要筋を区別できることが重要です。
混同注意
肩甲骨の挙上と上方回旋、下方回旋と内転の作用は混同しやすく、各筋肉の付着部と作用を正確に覚える必要があります。例えば、菱形筋や肩甲挙筋は挙上・下方回旋の作用があるため、上方回旋と誤解しやすいです。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出た場合、肩甲骨の各運動(上方回旋、下方回旋、挙上、下制、内転、外転)に作用する主要な筋肉(僧帽筋、前鋸筋、菱形筋、肩甲挙筋、小胸筋など)を網羅的に覚えているか、また肩関節の安定化に寄与する筋肉(ローテーターカフ)との違いを理解しているかが問われるでしょう。
関連知識
肩甲骨の運動は肩甲上腕リズムとして知られ、上腕骨と肩甲骨が協調して動くことで円滑な上肢挙上を可能にします。前鋸筋と僧帽筋上部・中部線維は、この上方回旋のカップルフォースを形成します。肩甲骨の安定性や運動障害は、肩関節疾患(例:インピンジメント症候群)の原因にもなりえます。