胃全摘出術後に起こりやすいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第55回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
胃全摘出術後には、胃の貯留機能や噴門の逆流防止機能が失われるため、食道と小腸(主に空腸)が直接吻合されます。この状態では、小腸からの胆汁や膵液、消化液などが食道へ逆流しやすくなり、逆流性食道炎(特に胆汁性逆流性食道炎)を発症するリスクが高まります。また、ダンピング症候群やビタミンB12欠乏による巨赤芽球性貧血、鉄欠乏性貧血、カルシウム吸収障害による骨粗鬆症なども起こりやすい合併症です。
選択肢ごとの解説
- 1. 多血症は赤血球が増加する病態であり、胃全摘出術とは直接的な関連がありません。胃全摘出術後はビタミンB12吸収不全により貧血(巨赤芽球性貧血)が生じやすいです。正しくは:胃全摘出術後はビタミンB12の吸収不全から巨赤芽球性貧血が起こりやすい。選びやすい理由:血液関連の異常を連想させるかもしれませんが、方向性が逆です。混同注意:貧血と混同しやすいですが、多血症は貧血の逆の状態です。
- 2. てんかんは脳の異常な電気活動によるものであり、胃全摘出術とは直接関連がありません。正しくは:てんかんは胃全摘出術の直接的な合併症ではありません。選びやすい理由:特定の消化器疾患と脳疾患が関連することもありますが、胃全摘術とは異なります。混同注意:特定の代謝異常がてんかんを誘発する場合もありますが、胃全摘術後の一般的な合併症ではありません。
- 3. 血小板減少は胃全摘出術の直接的な合併症ではありません。貧血は起こりやすいですが、血小板数には通常影響しません。正しくは:血小板減少は胃全摘出術の一般的な合併症ではありません。選びやすい理由:血液系の異常と漠然と結びつけられるかもしれませんが、特定のメカニズムはありません。混同注意:血液疾患全般と混同しやすいかもしれませんが、胃全摘術で減少する血液成分は通常、赤血球(貧血)です。
- 4. 正解。胃を全て切除すると、食道と小腸が直接吻合されます。これにより、本来胃が持っていた食物の貯留機能や胃酸の逆流を防ぐ機能が失われ、腸液や胆汁が食道に逆流しやすくなり、逆流性食道炎を引き起こしやすくなります。正しくは:(正答のため修正不要)選びやすい理由:(正答のため該当なし)混同注意:(正答のため該当なし)
- 5. 胃全摘出術後は、カルシウムの吸収を助ける胃酸の分泌がなくなることや、消化管通過時間の短縮により、むしろカルシウムの吸収が低下し、低カルシウム血症や骨粗鬆症のリスクが高まります。正しくは:胃全摘出術後は低カルシウム血症や骨粗鬆症のリスクが高まります。選びやすい理由:栄養吸収に関する異常を連想させるかもしれませんが、カルシウムについては「高」ではなく「低」になる傾向があります。混同注意:代謝性骨疾患と混同しやすいかもしれませんが、胃全摘術ではカルシウム吸収不全による骨粗鬆症が問題となります。
国試ポイント
消化器外科手術、特に胃切除術後の合併症に関する知識が問われています。手術によって失われる臓器の機能と、それに伴って生じる身体の変化や病態を理解しているかを確認する問題です。
混同注意
胃全摘出術後の合併症は多岐にわたるため、貧血(巨赤芽球性貧血、鉄欠乏性貧血)、ダンピング症候群、骨粗鬆症(低カルシウム血症)、胆石症、吻合部潰瘍など、他の合併症と混同しやすいです。それぞれの病態生理を正確に理解する必要があります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、胃全摘出術によって失われる胃の機能(例:内因子産生、胃酸分泌、貯留機能、噴門の逆流防止機能)と、それによって直接的・間接的に引き起こされる病態を結びつけて考えることが重要です。
関連知識
胃の機能(貯留、消化、殺菌、内因子分泌など)、食道と胃、小腸の解剖学的・生理学的関係、ビタミンB12の吸収経路、カルシウム吸収のメカニズム。