72歳の女性。関節リウマチ。SteinbrockerのステージⅢ、クラス3。訪問リハビリテーションを行っている。最近、新たに後頸部痛と歩きにくさとを訴えている。この患者への対応として適切でないのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
関節リウマチの患者が首の後ろの痛みと歩行困難を訴える場合、環軸関節不安定症(環軸椎亜脱臼)のリスクを考慮する必要がある。環軸関節亜脱臼では、不用意な首の可動域訓練は脊髄損傷を誘発し、症状を悪化させる危険があるため、絶対的に禁忌である。
選択肢ごとの解説
- 1. 関節リウマチ患者は関節変形や疼痛によりバランス能力が低下しやすく、さらに本症例は歩行困難を訴えているため、転倒リスクが高い。転倒予防はADL維持のために重要であり、適切な対応である。選びやすい理由:一般的なリハビリテーションの目標として妥当に思えるため。混同注意:急性期の疼痛がある場合の積極的な運動指導と、安定期の生活指導。
- 2. 正解。関節リウマチ患者で首の後ろの痛みと歩行困難を訴えている場合、環軸関節不安定症(環軸椎亜脱臼)による脊髄圧迫の可能性を考慮する必要がある。この状態での首の可動域訓練は、脊髄損傷を悪化させる危険があるため、適切ではない(禁忌である)。正しくは:環軸関節不安定症が疑われる場合、頸部の安静を保ち、専門医への診察を優先する。可動域訓練は絶対に行わない。選びやすい理由:一般的に関節の可動域制限に対しては可動域訓練を行うため、知識がないと選択肢として魅力的に映る。混同注意:単純な頚部痛や筋緊張による可動域制限と、脊髄損傷のリスクを伴う環軸関節不安定症。
- 3. 関節リウマチ患者は上肢の関節変形や疼痛により調理動作が困難になることがある。また、本症例はSteinbrockerのステージⅢ、クラス3であり、ADLに制限があるため、調理時に椅子を利用することは身体負担を軽減し、活動を継続するための有効な工夫であり、適切な対応である。選びやすい理由:ADL動作の工夫として妥当なアドバイスであるため。混同注意:具体的な症状と結びつかない一般的なADL指導。
- 4. 首の後ろの痛みがある場合、高い枕の使用は頸椎への負担を増大させ、症状を悪化させる可能性がある。特に環軸関節不安定症が疑われる状況では、頸椎の安定性を保つため、適切な枕の使用は重要であり、適切な対応である。選びやすい理由:睡眠時の姿勢改善は一般的な健康指導であるため。混同注意:適切な枕の高さに関する具体的な指導内容。
- 5. 柔らかすぎるマットレスは、寝返り動作を阻害したり、脊柱のアライメントを不適切に保ったりすることで、関節や脊椎に負担をかける可能性がある。特に頸部痛や歩行困難がある患者にとって、寝具は身体の支持性を考慮する必要があるため、適切な指導である。選びやすい理由:寝具の選択は一般的な健康指導の一部であるため。混同注意:快適さと身体への負担のバランス。
国試ポイント
関節リウマチ患者の環軸関節不安定症とその対応(特に禁忌事項)を理解しているか。
混同注意
一般的な頚部痛や可動域制限と、環軸関節亜脱臼による神経症状が伴う頚部痛の鑑別。
次に同じ論点が出たら
関節リウマチ患者が頚部痛や神経症状(歩行困難、手足のしびれ、筋力低下など)を訴えた場合、まず環軸関節の安定性を評価し、不安定性が疑われる場合は、安易な頚部運動療法を避け、専門医へのコンサルトを優先する。
関連知識
関節リウマチの合併症として、アミロイドーシス、Felty症候群、間質性肺炎、Sjögren症候群などがある。環軸関節不安定症の診断にはX線検査(特に開口位、屈曲・伸展位側面像)が重要。