頭部MRIのT1強調冠状断像(別冊No. 2)を別に示す。矢印の部位はどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第52回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
下に示すT1強調冠状断MRI画像では、側脳室下角の内側に特徴的な隆起として観察される構造が矢印で示されています。この位置と形態は、記憶機能に深く関わる辺縁系の一部である「海馬」に他なりません。海馬は、側脳室の下角と密接に接しており、T1強調画像では周囲の髄液(低信号)に対して灰白質(中信号)として明瞭に識別されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 前頭弁蓋は、前頭葉の一部で、外側溝を覆うように位置します。冠状断では島皮質の上部や前方に観察されますが、下図の矢印が示す位置とは異なります。正しくは:下図の矢印は、側脳室下角の内側にある海馬を示しています。選びやすい理由:脳の複雑な構造の一部であり、冠状断での位置関係を正確に把握していないと間違えやすいです。混同注意:島皮質や側頭葉の他の部分と混同しやすいです。
- 2. 帯状回は、大脳半球の内側面に位置し、脳梁を囲むように存在する脳回です。冠状断では通常、より上部や内側に観察され、下図の矢印が示す部位(側脳室下角の内側)とは異なります。正しくは:下図の矢印は、側脳室下角の内側にある海馬を示しています。選びやすい理由:辺縁系の一部であり、画像解剖に不慣れな場合、似たような位置関係を持つ他の辺縁系構造と混同する可能性があります。混同注意:脳梁や脳弓、あるいは他の辺縁系構造と混同しやすいです。
- 3. 尾状核は、大脳基底核の一部で、側脳室に沿ってC字型に広がる構造です。冠状断では側脳室体部や前角の周辺に観察されることが多いですが、下図の矢印が示す側脳室下角の内側とは一致しません。正しくは:下図の矢印は、側脳室下角の内側にある海馬を示しています。選びやすい理由:側脳室に隣接する構造であるため、側脳室下角の近くにある他の構造と誤認する可能性があります。混同注意:被殻や淡蒼球、あるいは扁桃体といった他の大脳基底核や深部灰白質構造と混同しやすいです。
- 4. 正解。下図はT1強調の冠状断MRI画像であり、矢印は側脳室下角の内側に位置する特徴的な隆起を示しています。この解剖学的位置関係と形態は、海馬に一致します。海馬は記憶形成に重要な役割を担う辺縁系の構造です。選びやすい理由:画像が鮮明なため、特徴的な形と位置から判断しやすいです。
- 5. 島皮質(島)は、外側溝の深部に位置し、前頭葉、頭頂葉、側頭葉によって覆われています。冠状断では、脳の外側寄りの深い部分に観察され、下図の矢印が示す側脳室下角の内側にある構造とは位置が異なります。正しくは:下図の矢印は、側脳室下角の内側にある海馬を示しています。選びやすい理由:脳の深部に位置する構造であるため、他の深部構造と混同する可能性があります。混同注意:弁蓋や扁桃体など、周囲の皮質や深部構造と混同しやすいです。
国試ポイント
脳のMRI画像における解剖学的知識、特に冠状断での主要な構造の位置関係を正確に識別できるかが問われています。辺縁系や大脳基底核などの深部構造は、視床や脳室との位置関係で判断することが多いです。
混同注意
海馬と扁桃体、視床、尾状核といった周囲の深部構造や脳室と接する構造は混同しやすい。特に冠状断では、スライスレベルによって構造の形態が変化するため注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の画像問題が出題された場合、他の脳室周囲の構造(例:視床、扁桃体、脳弓、乳頭体など)や、異なる断面上(矢状断、水平断)での主要な脳構造の識別能力が問われる可能性があります。また、T2強調画像やFLAIR画像での信号強度の違いも理解しておく必要があります。
関連知識
海馬は辺縁系に属し、新しい記憶の形成(記銘力)に重要な役割を果たします。アルツハイマー病では早期から萎縮が見られることで知られています。MRIのT1強調画像では、灰白質が高信号に、髄液が低信号に、白質が中間信号に描出されます。冠状断は、左右対称性や中心構造の把握に有効な断面です。