糖尿病の運動療法で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第53回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
増殖性網膜症は、糖尿病の重篤な合併症の一つであり、眼底の新生血管が特徴です。激しい運動や負荷のかかる運動は、眼圧の上昇や網膜への過度な負担により、新生血管からの出血(硝子体出血)や網膜剥離のリスクを高めます。そのため、このような合併症を持つ患者に対しては、運動強度を低く設定し、いきむ動作や頭を下げる動作を避けるなど、細心の注意を払った運動指導が求められます。
選択肢ごとの解説
- 1. 食後すぐの運動は、インスリンの作用と重なり、血糖降下作用が過度になり低血糖を引き起こすリスクがあるため適切ではありません。また、食後は消化器系への血流が増加するため、激しい運動は避けるべきです。正しくは:食後1〜2時間後が、食後高血糖のピークに合わせて血糖値を下げる効果が期待でき、低血糖のリスクも比較的低いとされています。選びやすい理由:食後高血糖の対策として、食後に運動することが重要だという認識から選びやすいかもしれませんが、タイミングが重要です。混同注意:「食後高血糖対策としての運動」と「適切な運動タイミング」を混同しやすいです。
- 2. 冷や汗は、血糖値が急激に下がる低血糖発作の典型的な症状の一つです。高血糖発作(糖尿病性ケトアシドーシスや高浸透圧高血糖症候群など)では、口渇、多尿、全身倦怠感、意識障害などが主な症状であり、冷や汗は通常みられません。正しくは:冷や汗は、低血糖発作の予兆である。選びやすい理由:発汗が体調不良のサインであることは一般的ですが、それが高血糖なのか低血糖なのかを特定できなければ誤答となります。混同注意:低血糖の症状(冷汗、震え、動悸など)と高血糖の症状(口渇、多尿、倦怠感など)を混同しやすいです。
- 3. インスリン治療中でも、医師の指示のもとで運動療法は継続されるのが一般的です。運動はインスリン感受性を高め、血糖コントロールを改善する効果があるため、インスリンと運動の併用はむしろ推奨されます。ただし、運動量やインスリン量の調整が必要です。正しくは:インスリン治療中も、血糖値の管理と相談のもと、運動療法は継続することが多い。選びやすい理由:インスリンによる血糖降下作用と運動による血糖降下作用が重なることで低血糖のリスクが高まるため、運動を避けるべきだと考えてしまいがちです。混同注意:インスリン治療中の運動が低血糖リスクを高めることと、運動療法を完全に中断することの区別を混同しやすいです。
- 4. 空腹時血糖値が極端に高い場合(例えば250mg/dL以上など)、運動によってかえって血糖値が上昇したり、ケトアシドーシスを誘発したりする危険性があります。特に尿ケトン体が陽性の場合は運動を中止すべきです。運動は適切な血糖値の範囲内で行うべきであり、高すぎる場合はまず血糖値を安定させる必要があります。正しくは:空腹時血糖値が高すぎる場合は、運動を開始する前に血糖値を管理し、場合によっては運動量を減らしたり中止したりする必要がある。選びやすい理由:血糖値を下げるために運動をする、という一般的な認識から、血糖値が高いほど運動をすべきだと安易に考えてしまいがちです。混同注意:「運動が血糖値を下げる効果がある」という事実と、「高すぎる血糖値での運動のリスク」を混同しやすいです。
- 5. 正解。増殖性網膜症は、眼底に新生血管が生じる糖尿病の合併症です。激しい運動やいきむような運動は、眼圧を上昇させたり、網膜剥離や硝子体出血を引き起こしたりするリスクがあるため、運動強度を軽くしたり、特定の運動を避けたりする必要があります。
国試ポイント
糖尿病の運動療法における禁忌や注意すべき合併症について理解しているかを問う問題です。特に各合併症と運動療法の関連性を正確に把握しているかが重要になります。具体的な症状と運動への影響を結びつけて覚える必要があります。
混同注意
糖尿病における運動療法の一般的なガイドライン(食後〇〇時間、運動の種類など)と、合併症がある場合の特殊な注意点を混同しやすいです。特に、高血糖時の運動の可否や、低血糖の症状を正確に理解しておくことが重要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、他の合併症(腎症、神経障害など)がある場合の運動療法の注意点や、インスリン治療中の具体的な運動量・タイミング調整について問われる可能性があります。また、具体的な運動メニューの適切性なども確認する視点が必要です。
関連知識
糖尿病の三大合併症(網膜症、腎症、神経障害)とそれぞれの症状、および運動療法における禁忌・注意点。糖尿病性ケトアシドーシスや低血糖の症状と対処法。運動療法の効果と適切な実施方法(運動の種類、強度、頻度、時間帯)。