悪性腫瘍の緩和ケア主体の時期のリハビリテーションで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
悪性腫瘍の緩和ケア期におけるリハビリテーションの目的の一つは、患者さんのQOL向上です。運動療法は、身体機能の維持・改善に加え、抑うつ、不安、ストレスの軽減など、心理的な健康状態に良い影響を与えることが広く認識されています。これにより、患者さんの活動性や自己肯定感が高まり、生活の質の向上が期待できます。
選択肢ごとの解説
- 1. 緩和ケア期のリハビリテーションでは、呼吸訓練や体位調整、環境調整などにより呼吸困難感を軽減することが可能です。正しくは:呼吸困難の症状は軽減できる。選びやすい理由:進行期の悪性腫瘍では呼吸困難が重度で不可逆的と誤解しやすいため。混同注意:疾患自体の進行と、症状緩和の可能性を混同しやすい。
- 2. 正解。緩和ケア期における運動療法は、身体機能の維持・改善だけでなく、抑うつや不安の軽減、自己効力感の向上など、患者さんの心理面に良い影響を与えることが多くの研究で示されています。活動的になることで、QOLの改善にも寄与します。選びやすい理由:心理的な介入は専門家が行うという誤解から、運動療法による心理効果を見落としがちになる可能性があります。
- 3. 運動療法は、がん関連倦怠感(CRF: Cancer-Related Fatigue)の症状軽減に有効であることが示されています。適切な強度と量で行われる運動は、倦怠感を改善し、活動性を高める効果が期待できます。正しくは:運動療法を実施することで倦怠感は改善する。選びやすい理由:運動するとかえって疲れるのではないかという直感的な思い込みから、誤って選択しやすい。混同注意:活動による一時的な疲労と、疾患による持続的な倦怠感の区別が曖昧になりやすい。
- 4. マッサージは痛みの緩和に有効な手段の一つですが、その効果は一時的なものが多く、長期的な効果を期待できる主要な治療法とはされません。慢性的な痛みに対しては、薬物療法や神経ブロック、リハビリテーションなど複合的なアプローチが重要です。正しくは:痛みの緩和にマッサージは一時的な効果を持つ。選びやすい理由:マッサージが一時的に痛みを軽減する効果があるため、その効果を過大評価しやすい。混同注意:急性期の痛み緩和と慢性期の痛み管理におけるマッサージの位置づけを混同しやすい。
- 5. 適切な運動療法は、筋力や関節可動域の維持・改善を通じて、痛みの一因となる身体機能の低下を防ぎ、痛みの軽減に寄与することがあります。特に筋骨格系の痛みや姿勢に関連する痛みに対しては有効な場合があります。正しくは:運動療法を行うことで痛みの改善が期待できる場合がある。選びやすい理由:進行期のがん患者の痛みは運動で悪化するという誤った認識から、選択しやすい。混同注意:運動による痛みの悪化と、適切な運動による痛みの緩和効果を混同しやすい。
国試ポイント
悪性腫瘍の緩和ケア期におけるリハビリテーションの目的と効果について、特に心理面、身体症状(呼吸困難、倦怠感、痛み)への介入効果の有無を正確に理解しているかが問われています。一般的に、緩和ケア期のリハビリテーションは症状緩和とQOL維持・向上に多岐にわたる効果を持つことを把握している必要があります。
混同注意
緩和ケア期のリハビリテーションは「積極的な治療」ではないため、身体症状の改善や心理面の向上には寄与しない、という誤った認識と混同されやすい。実際には、症状緩和やQOL維持のために非常に重要な役割を果たします。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、緩和ケアにおけるリハビリテーションの対象となる症状(痛み、倦怠感、呼吸困難、リンパ浮腫など)と、それぞれの症状に対する具体的な介入方法、そして心理的・社会的な側面への効果について、より詳細な知識が問われる可能性があります。
関連知識
がんのリハビリテーションガイドライン、がん関連倦怠感(CRF)、悪液質、終末期医療におけるQOLの考え方、WHOの緩和ケア定義。