中枢神経の先天奇形とその特徴の組合せで正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第52回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
二分脊椎、特に脊髄髄膜瘤では、Arnold-Chiari奇形II型を高頻度に合併し、これにより脳脊髄液の循環障害が生じて水頭症を来すことが一般的です。これは重要な関連病態として知られています。
選択肢ごとの解説
- 1. 小頭症は脳の発育不全により頭蓋の容積が小さい状態であり、通常、脳圧亢進(頭蓋内圧の上昇)は伴いません。むしろ脳室拡大などによる水頭症がなければ脳圧は正常か、相対的に低いことさえあります。正しくは:小頭症 ― 脳容積の減少選びやすい理由:奇形があるため何らかの機能障害や病態を伴うと考えるかもしれませんが、小頭症自体が直接的に脳圧亢進を引き起こすわけではありません。混同注意:水頭症による頭蓋内圧亢進と混同しやすいですが、小頭症と水頭症は異なる病態です。
- 2. 滑脳症は、大脳皮質を形成する脳回や脳溝が欠損し、表面が滑らかになる(しわが少ない)先天性奇形です。したがって、脳溝は増加するのではなく、むしろ減少または消失します。正しくは:滑脳症 ― 大脳皮質のしわ(脳溝)の欠如または減少選びやすい理由:脳の異常であるため、何らかの構造変化を伴うという点は合っていますが、変化の方向性が逆です。混同注意:正常な脳は脳溝が多く複雑な構造をしているため、異常な脳ではさらに増加すると誤解するかもしれません。しかし、滑脳症はまさに脳溝形成不全です。
- 3. 正解。二分脊椎、特に脊髄髄膜瘤を伴う重度の型では、キアリ奇形II型の合併が高頻度に見られます。このキアリ奇形II型は、脳幹や小脳が脊柱管へ下垂することで、脳脊髄液の流れが障害され、水頭症を引き起こすことが非常に多いです。そのため、二分脊椎と水頭症の合併は典型的な特徴です。選びやすい理由:多くの関連する病態がある中で、二分脊椎と水頭症の関連性が重要であると認識しているかが問われています。
- 4. Dandy-Walker症候群は、小脳虫部の低形成や欠損、第四脳室の嚢胞状拡大を特徴とし、これにより後頭蓋窩が拡大することが典型的です。縮小するのではなく、拡大します。正しくは:Dandy-Walker症候群 ― 後頭蓋窩の拡大選びやすい理由:脳の奇形であるため、形態異常を伴うという点は正しいですが、その方向性が逆です。混同注意:他の脳奇形と後頭蓋窩の形態変化を混同しやすいです。
- 5. Arnold-Chiari奇形(特にタイプII)は、小脳扁桃や脳幹の一部が、大孔を通じて頭蓋腔から脊柱管内へ下垂(ヘルニア)する状態を指します。脊髄が頭蓋内へ嵌入するのではなく、頭蓋内の構造物(小脳・脳幹)が脊柱管内へ下垂するのが特徴です。正しくは:Arnold-Chiari奇形 ― 小脳や脳幹の脊柱管内への下垂選びやすい理由:「嵌入」や「頭蓋内」というキーワードから、何らかの構造が通常とは異なる位置にあるという認識はできますが、その方向性が逆である点で誤りです。混同注意:下垂する部位や方向性を正確に理解していないと間違えやすいです。
国試ポイント
中枢神経系の先天奇形について、それぞれの疾患の代表的な病理学的特徴や合併症を正確に理解しているかが問われます。特に、二分脊椎と水頭症、Arnold-Chiari奇形の関連性は頻出です。名称と特徴を正しく組み合わせられる知識が求められます。
混同注意
各疾患の具体的な解剖学的特徴(例:脳溝の有無、後頭蓋窩の大きさ、下垂する構造物)を混同しやすい。特に、異常の方向性(増加/減少、拡大/縮小、頭蓋内へ/脊柱管内へ)を逆にして覚えてしまうと誤答につながります。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、各疾患の診断基準となる特徴的病変や、高頻度に合併する重要な病態について、図と合わせて正確な知識が問われると予想されます。特に「拡大」と「縮小」、「増加」と「減少」、「嵌入」と「下垂」といった対義的な表現に注意が必要です。
関連知識
・小頭症:脳の発育不全、精神発達遅滞。 ・滑脳症:脳回・脳溝の欠如、重度の精神発達遅滞、てんかん。 ・二分脊椎:神経障害(運動麻痺、膀胱直腸障害)、水頭症、Chiari奇形。 ・Dandy-Walker症候群:小脳虫部欠損、第4脳室拡大、水頭症、発達遅滞。 ・Arnold-Chiari奇形(タイプII):脳幹・小脳下垂、水頭症、脊髄空洞症、嚥下障害。