多発性硬化症について正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第52回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
多発性硬化症は、中枢神経系の脱髄疾患であり、その病態生理学的特徴として炎症と脱髄が時間的・空間的に多発します。この病理学的特徴が臨床的には症状の再燃と寛解を繰り返すという「再燃寛解型」の経過を最も典型的にもたらします。特に初期には寛解により症状が消失することが多いですが、進行すると神経変性も加わり、永続的な障害が残ることもあります。
選択肢ごとの解説
- 1. 多発性硬化症は、男性より女性に多く見られる疾患である。正しくは:女性より男性に多いとされる。→ 男性より女性に多いとされる。選びやすい理由:他の自己免疫疾患に女性が多い傾向があるため、正しい選択肢だと誤解しやすい。混同注意:一般的に自己免疫疾患の疫学。
- 2. 正解。多発性硬化症の典型的な病型である再燃寛解型(RRMS)では、症状の再燃(増悪)と消失(寛解)を繰り返すことが特徴である。これは、中枢神経系での炎症と脱髄が時間的に多発することによる。選びやすい理由:多発性硬化症の最も典型的な病態であるため、知識があれば確実に選択できる。
- 3. 多発性硬化症の発症年齢は、主に20~40歳代の若年成人である。50歳以上での発症は比較的稀である。正しくは:発症年齢は主に50歳以上である。→ 発症年齢は主に20~40歳代である。選びやすい理由:神経変性疾患は高齢者に多いという一般的な認識から、高齢での発症を選びやすい。混同注意:アルツハイマー病やパーキンソン病などの加齢に伴う神経変性疾患。
- 4. 多発性硬化症では、病気の進行や再燃のたびに神経の障害が蓄積し、多くの患者で後遺症が残存することが一般的である。特に、進行期に入ると後遺症が残ることが多い。正しくは:後遺症が残存することは珍しい。→ 後遺症が残存することは珍しくない(一般的である)。選びやすい理由:初期の再燃寛解型では、症状が完全に消失する寛解期があるため、後遺症が残りにくいと誤解する可能性がある。混同注意:症状が完全に消失する初期の寛解期。
- 5. 多発性硬化症は、黄色人種よりも白色人種(特に北欧系白人)に多く見られる疾患である。疫学的に人種差が大きいことで知られている。正しくは:黄色人種よりも白色人種に多く見られる。→ 黄色人種よりも白色人種に多く見られる。(記述は正しいが、問題は「適切な記述はどれか」であり、最も適切なのは選択肢2)選びやすい理由:記述自体は正しいが、問題文の文脈で「最も適切な記述」を選ぶ際に、症状の再燃と消失を繰り返すという病態生理学的特徴の方がより核となる情報であるため、そちらを選ぶべきと判断しにくい。混同注意:記述の正しさ自体は正しいが、問題の意図(最も適切なものを選ぶ)を見誤る。
国試ポイント
多発性硬化症の疫学、臨床経過(病型)、特徴的な症状、治療法を理解しているかが問われる。特に病型の理解は重要。
混同注意
視神経脊髄炎スペクトラム疾患(NMOSD)との鑑別。NMOSDは再燃寛解を繰り返すが、多発性硬化症よりも視神経炎や脊髄炎が重度で、自己抗体の有無(抗AQP4抗体)で鑑別される。多発性硬化症は脳病変が多発する点が異なる。
次に同じ論点が出たら
多発性硬化症に関する問題が出た場合、まず病型の特徴(再燃と寛解の繰り返し)、好発年齢、性差、人種差、代表的な症状(視力障害、感覚障害、運動麻痺、膀胱直腸障害など)を確認して判断する。
関連知識
多発性硬化症の病型には再燃寛解型(RRMS)の他に、一次性進行型(PPMS)、二次性進行型(SPMS)がある。治療には急性期のステロイドパルス療法、疾患修飾薬としてインターフェロンβ製剤、グラチラマー酢酸塩、フィンゴリモドなどが用いられる。診断基準はMcDonald診断基準。