胃液の分泌を促進するのはどれか。2つ選べ。
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出典:厚生労働省ホームページ(第52回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・4番
解説
胃液の分泌は、複数の段階と因子によって調節されています。選択肢1の「胃壁の伸展」は、食物が胃に入り胃壁が物理的に伸展することで、迷走神経反射や胃局所の神経反射を介して胃酸やペプシノーゲンの分泌を促進します。選択肢4の「ガストリンの分泌」は、胃のG細胞から分泌されるホルモンで、胃酸分泌細胞(壁細胞)に直接作用し、胃酸分泌を強力に刺激します。一方、胃内pHの低下(選択肢2)や十二指腸への酸性内容物流入(選択肢5)は、フィードバック機構により胃液分泌を抑制します。交感神経の緊張(選択肢3)も消化管の運動と分泌を抑制する傾向にあります。したがって、胃液の分泌を促進する要因は「胃壁の伸展」と「ガストリンの分泌」です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。食べ物が胃に入り胃壁が引き伸ばされると、迷走神経反射や局所反射が起こり、アセチルコリンやヒスタミンの放出を通じて胃液分泌を促進します。これは特に、セファリック相とガストリック相において重要な促進因子です。
- 2. 胃内pHが低下(酸性度が高まる)すると、胃液の過剰な分泌を防ぐために、むしろ分泌が抑制されます。これは特に、ソマトスタチンやセクレチンの作用を通じて行われます。正しくは:胃内部のpHが上昇すること、または胃内部のアルカリ化選びやすい理由:酸性環境が胃液分泌の主な目的であるため、pH低下が促進因子と誤解しやすいですが、これはフィードバック機構の一部であり、分泌を抑制します。混同注意:胃液の主要成分である塩酸が胃内を酸性にするという事実と、pH低下による分泌抑制のフィードバック機構を混同しやすいです。
- 3. 一般的に、消化管の運動や分泌は副交感神経(迷走神経)によって促進され、交感神経の緊張は抑制的に作用します。交感神経が緊張すると、血管収縮や分泌腺への血流減少が起こり、胃液分泌は抑制されます。正しくは:副交感神経系が緊張すること選びやすい理由:ストレス時に胃の不調を感じやすいため、漠然と「緊張=胃液分泌」と結びつけるかもしれませんが、生理学的には逆です。混同注意:自律神経系の機能、特に消化管における交感神経と副交感神経の役割を混同しやすいです。
- 4. 正解。ガストリンは胃のG細胞から分泌されるホルモンで、胃酸やペプシノーゲンの分泌を強力に促進します。特に、消化管のガストリック相で重要な役割を果たします。選びやすい理由:ホルモンは常に分泌を促進するとは限らないため、具体的な作用を理解しているか問われます。
- 5. 十二指腸に酸性内容物が流入すると、セクレチンやコレシストキニン(CCK)などのホルモンが分泌され、胃液の分泌を抑制し、胃内容物の排出を遅らせます。これは、十二指腸が過度な酸にさらされるのを防ぎ、消化酵素の活動に適した環境を整えるためのフィードバック機構です。正しくは:十二指腸内へのアルカリ性内容物の流入、または十二指腸に酸性内容物が流入しないこと選びやすい理由:消化の進行と混同して、十二指腸への流入が胃液分泌を促進すると誤解する可能性があります。混同注意:胃相と腸相における消化管ホルモンの複雑な相互作用を混同しやすいです。十二指腸に酸性内容物が流入する段階では、胃液分泌は抑制に転じます。
国試ポイント
本問題は、消化器系の生理学における胃液分泌の調節機構に関する知識を問うものです。特に、セファリック相、ガストリック相、インテスティナル相それぞれの主要な刺激・抑制因子(神経性、ホルモン性)を正確に理解しているかが鍵となります。自律神経の消化管への作用や、ガストリン、セクレチン、ソマトスタチンなどの消化管ホルモンの具体的な働きを区別できる必要があります。
混同注意
胃液分泌の『促進』と『抑制』の因子、特にpHの変化や自律神経の作用について混同しやすい。また、消化管の各部位(胃、十二指腸など)で分泌されるホルモンとその作用(促進か抑制か)を明確に区別できないと誤答につながります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、他の消化酵素(膵液、胆汁など)の分泌調節機構や、消化管運動の調節因子(モチリン、GIPなど)についても問われる可能性が高いです。また、病態(例:胃潰瘍、逆流性食道炎)と関連付けて、これらの生理学的知識を応用させる問題も考えられます。
関連知識
消化の3相(セファリック相、ガストリック相、インテスティナル相)とその主要な調節因子。迷走神経(副交感神経)と交感神経の消化管への作用。ガストリン、セクレチン、コレシストキニン(CCK)、ソマトスタチンなどの主要な消化管ホルモンの働き。胃酸分泌メカニズム(プロトンポンプなど)。