作業療法士が訪問支援を行う際に最も適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
作業療法士の訪問支援において、利用者の生活環境を直接観察することは、その人の生活課題を把握し、個別化された支援計画を立てる上で最も基礎的かつ重要な情報収集方法です。居室の状況から、生活様式、安全面、必要な自助具や福祉用具の有無など多岐にわたる情報を得ることができます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。訪問支援では、利用者の生活環境を直接確認することが非常に重要です。居室の様子を観察することで、生活上の課題(例:段差、整理整頓の状況、使用している自助具など)や安全上のリスク、さらには利用者の生活習慣や趣味、困りごとの手がかりを得ることができます。これらは、個別性に合わせた作業療法計画を立案し、適切な支援を提供する上で不可欠な情報となります。
- 2. 訪問支援の初期段階で利用者に病識の獲得を強く促すことは、信頼関係の構築を妨げる可能性があります。病識の獲得は段階的に進めるべきものであり、本人の準備ができていないうちに強要すると、支援への抵抗感を生じさせることがあります。正しくは:病識の獲得は長期的な目標であり、まずは信頼関係を築き、利用者が自ら課題に気づけるような支援を行うことが優先されます。必要であれば、適切なタイミングで疾患に関する情報提供を行うことも視野に入れます。選びやすい理由:病識はリハビリテーションを進める上で重要であるため、正しいことのように感じられるかもしれません。混同注意:病識獲得の重要性と、そのアプローチのタイミングや方法を混同しやすいです。初期段階での強要は適切ではありません。
- 3. 同じ職種のスタッフと常に複数で訪問する必要性はありません。必要に応じて、多職種連携の一環として他の専門職(看護師、ケアマネジャーなど)と同行することはありますが、作業療法士同士で常に複数で訪問することは、効率性やコストの観点から一般的ではありません。通常は1人で訪問し、必要に応じてカンファレンス等で情報を共有します。正しくは:単独で訪問し、必要に応じて多職種と連携したり、事業所内で相談したりする形で対応します。選びやすい理由:複数で訪問することで、より多くの視点や安全性が確保できるという考えから、正しいように見えるかもしれません。混同注意:複数名での訪問の必要性(緊急時、教育目的など)と、通常の訪問支援における人員配置の基本を混同しやすいです。
- 4. 自身の職種を過度に強調することは、利用者や家族との対等な信頼関係の構築を妨げる可能性があります。専門職としての説明は必要ですが、上から目線と受け取られたり、威圧感を与えたりすることは避けるべきです。あくまでも利用者中心の視点で、協働する姿勢が重要です。正しくは:自分の役割と提供できる支援内容を明確に伝える一方で、利用者の話に耳を傾け、共感的な態度で接し、信頼関係の構築を最優先します。選びやすい理由:専門職として自己紹介するのは当然であり、それが職種を強調することと同じだと誤解する可能性があります。混同注意:自己紹介の重要性と、職種を過度に誇示することの違いを混同しやすいです。
- 5. 家族からの不満や愚痴を聞くことは、家族支援の観点から重要ですが、利用者の目の前でそれを聞くことは、利用者本人の尊厳を傷つけたり、心理的負担を与えたりする可能性があります。家族の不満を聞く場合は、利用者がいない場所や別の機会を設けるなど、配慮が必要です。正しくは:家族の不満や懸念を聞く際は、利用者のプライバシーと尊厳を尊重し、本人に配慮したタイミングと場所を選びます。必要に応じて家族面談の機会を設けます。選びやすい理由:家族の意見を聞くことは重要なので、正しい行動のように見えるかもしれません。混同注意:家族支援の重要性と、その実施方法における倫理的配慮や利用者への配慮を混同しやすいです。
国試ポイント
この問題は、訪問支援における作業療法士の基本的な役割と、情報収集の重要性、利用者や家族への倫理的配慮について問われています。特に、生活環境の直接観察が最も基礎的な情報であり、初期段階で優先すべき行動であることを理解しているかがポイントです。
混同注意
利用者との信頼関係構築の重要性は高いですが、病識の強要や職種の強調は逆効果になる可能性があります。また、家族からの情報収集も大切ですが、利用者の尊厳を傷つけない配慮が必要です。
次に同じ論点が出たら
次に類似の問題が出た場合、訪問支援の初期段階における情報収集の優先順位や、利用者・家族への倫理的配慮を問う選択肢に注目し、最も適切かつ基本的な行動を選ぶようにします。
関連知識
訪問リハビリテーションの目的と役割、ICF(国際生活機能分類)の環境因子、利用者中心のアプローチ、倫理綱領、多職種連携。