手背の深達性Ⅱ度熱傷に対する急性期のスプリンティング肢位で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
手背の深達性II度熱傷では、瘢痕収縮により指間部の狭窄や母指の変形が生じやすいため、これを予防することが重要です。母指を掌側外転位に保持することで、母指と示指間の水かき部分の拘縮を防ぎ、対立運動に必要なスペースを確保します。他の指の関節については、MP関節は屈曲位、PIP/DIP関節は伸展位が、側副靭帯の短縮を防ぎ、伸展拘縮・屈曲拘縮を予防するための機能的肢位として推奨されます(Intrinsic plus position)。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。手背熱傷では、瘢痕収縮により母指と示指間の水かき部分(母指と人差し指の間の指間部)が狭窄しやすいため、これを予防するために母指を掌側へ開いて外転位に保持することが重要です。この肢位は機能的な手の開大を保つ上で必須です。
- 2. 母指MP関節は伸展位ではなく、軽度屈曲位(約10~20度)が推奨されます。過度な伸展はMCLの緊張を招き、拘縮のリスクを高める可能性があります。正しくは:母指のMP関節は軽度屈曲位に保持する。選びやすい理由:他の指のMP関節伸展と混同しやすく、関節をまっすぐにするのが良いと思われがちですが、母指は他の指とは異なる機能を持つため注意が必要です。混同注意:他の指のMP関節伸展位や、母指のIP関節伸展位と混同しやすい。
- 3. 第2~5指のMP関節は伸展位ではなく、屈曲位(通常60~90度)が推奨されます。MP関節を伸展位で固定すると、MP関節の側副靭帯が短縮し、MP関節伸展拘縮が生じやすくなります。正しくは:第2~5指のMP関節は屈曲位(60~90度)に保持する。選びやすい理由:DIP/PIP関節の伸展と合わせて、全体的にまっすぐな姿勢が良いと思われがちです。混同注意:DIP/PIP関節の伸展位と混同しやすい。MP関節伸展位は変形を防ぐ正しい肢位とは逆である。
- 4. 第2~5指のPIP関節は屈曲位ではなく、伸展位(まっすぐ伸ばした状態)が推奨されます。屈曲位で固定すると、PIP関節の屈曲拘縮が生じやすくなります。正しくは:第2~5指のPIP関節は伸展位に保持する。選びやすい理由:機能的な手の肢位で指を少し曲げることを想像し、それが正しいと思ってしまうかもしれません。しかし、熱傷拘縮予防の目的では異なります。混同注意:MP関節の屈曲位と混同しやすい。DIP関節の肢位と混同しやすい。
- 5. 第2~5指のDIP関節は屈曲位ではなく、伸展位(まっすぐ伸ばした状態)が推奨されます。屈曲位で固定すると、DIP関節の屈曲拘縮が生じやすくなります。正しくは:第2~5指のDIP関節は伸展位に保持する。選びやすい理由:PIP関節と同様に、機能的な手の肢位で指を少し曲げることを想像し、それが正しいと思ってしまうかもしれません。混同注意:MP関節の屈曲位やPIP関節の肢位と混同しやすい。
国試ポイント
熱傷後の拘縮予防のためのスプリンティング肢位は、身体各部位で問われます。特に手関節、指関節の基本肢位は重要です。手背熱傷ではMP関節の伸展拘縮や指間部の狭窄を予防する肢位が問われることが多いです。
混同注意
熱傷部位(手背 vs 手掌)、深さ(浅達性 vs 深達性)、時期(急性期 vs 回復期)によって推奨される肢位が異なるため注意が必要です。また、通常の機能的把持位と拘縮予防の肢位が異なる場合があるため、混同しないように正確な知識が求められます。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、手掌熱傷の場合の推奨肢位、あるいは異なる関節(手関節など)の熱傷スプリント肢位が問われる可能性があります。また、深達度による違いや、時期によるスプリントの目的の変化(例:回復期のストレッチ目的)にも注目して学習する。
関連知識
熱傷の病態生理、瘢痕形成のメカニズム、各関節の機能解剖と靭帯の走行、各関節の側副靭帯が伸張位となる肢位(MP関節は屈曲位、PIP/DIP関節は伸展位)。熱傷スプリントの目的(保護、不動、拘縮予防、変形矯正)。