血友病の臨床症状で最も多いのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第55回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
血友病は、凝固因子(主に因子VIIIまたはIX)の欠乏によって、血液凝固機能が著しく低下する遺伝性疾患です。このため、関節内や筋肉内に出血しやすくなります。特に膝、肘、足首などの関節内出血は最も頻繁に発生し、重度の場合は関節の変形や機能障害を引き起こす「血友病性関節症」へと進行します。他の選択肢は血友病の主な症状や病態とは異なります。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。血友病は凝固因子VIIIまたはIXの欠乏により、血液凝固能が低下する遺伝性疾患です。このため、わずかな外傷でも関節内に出血しやすく、これが最も頻度の高い臨床症状として知られています。特に膝、肘、足首などの荷重関節によく見られます。反復する関節内出血は、慢性的な関節炎や関節破壊(血友病性関節症)を引き起こします。
- 2. 血友病は凝固因子異常であり、血小板の数自体は通常正常です。血小板の減少は特発性血小板減少性紫斑病(ITP)や播種性血管内凝固症候群(DIC)などで見られますが、血友病の直接的な症状ではありません。正しくは:血友病では血小板数は一般的に正常です。選びやすい理由:出血傾向があるため、漠然と『血を止める成分』に異常があると考えてしまうと、血小板数の異常も連想される可能性があります。混同注意:血小板機能異常症や、血小板減少を伴う他の出血性疾患と混同されることがあります。
- 3. 出血時間は血小板機能と血管壁の状態を反映する検査項目であり、血友病のような凝固因子異常では通常延長しません。血友病ではプロトロンビン時間(PT)や活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)が延長します。正しくは:血友病ではAPTTが延長します。出血時間は通常正常です。選びやすい理由:出血傾向があることから、血を止めるまでの時間が長くなる、というイメージで『出血時間延長』を選んでしまうかもしれません。しかし、出血時間は一次止血を反映する検査であり、二次止血である凝固因子の異常とは直接関連しません。混同注意:凝固時間(PT, APTT)の延長と出血時間の延長を混同しがちです。血友病は二次止血の異常であり、一次止血を評価する出血時間とは異なります。
- 4. 毛細血管拡張はクモ状血管腫や遺伝性出血性毛細血管拡張症などで見られる症状であり、血友病の主要な臨床症状ではありません。血友病は血管自体ではなく、血液凝固のメカニズムに問題があります。正しくは:毛細血管拡張は血友病の症状ではありません。選びやすい理由:出血しやすいという症状から、血管そのものに脆弱性がある、というような連想をする可能性はゼロではありませんが、直接的な関連性はありません。混同注意:血管性紫斑病など、血管の構造異常による出血性疾患と混同されることがあります。
- 5. リンパ節の腫脹は感染症や悪性腫瘍、自己免疫疾患などで見られる症状であり、血友病とは直接関係ありません。血友病は血液凝固系の疾患です。正しくは:リンパ節腫脹は血友病の症状ではありません。選びやすい理由:全く異なる病態ですが、炎症反応などが伴う出血の結果として、間接的に免疫系が反応するという誤った連想をする可能性が考えられます。混同注意:血液疾患という共通点から、白血病やリンパ腫などの悪性腫瘍と混同される可能性があります。
国試ポイント
血友病の主要な臨床症状、特に最も頻度が高い症状を問う問題です。血友病の病態生理(凝固因子異常)とそれに伴う特徴的な出血部位を理解しているかを確認します。出血性疾患においては、凝固因子異常、血小板異常、血管異常のそれぞれの特徴的な症状や検査結果を区別できるかが重要です。
混同注意
血友病の病態(凝固因子異常)と、血小板減少症や血管性紫斑病など他の出血性疾患の病態・症状・検査所見が混同されやすいです。特に『出血時間』と『APTT/PT』の違いは頻出のポイントです。
次に同じ論点が出たら
血友病の患者さんを担当する際、関節症状が最も重要視される症状の一つであることを理解しているか、またそれに対するリハビリテーションの注意点や介入方法(例:関節保護、ROM運動の制限、因子補充療法と連携したリハビリタイミング)を考えることができるか。
関連知識
血友病A(因子VIII欠乏)、血友病B(因子IX欠乏)とその遺伝形式(X連鎖劣性遺伝)。血友病性関節症の機序と管理。血液凝固カスケードの理解。止血機構(一次止血:血小板・血管、二次止血:凝固因子)の各段階と、それぞれの異常で延長する検査項目(出血時間、PT、APTT)。