関節可動域測定法(日本整形外科学会、日本リハビリテーション医学会基準による)で正しいのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
股関節屈曲の測定は、被験者を背臥位とし、骨盤が後傾しない範囲で膝を立て、大腿と体幹のなす角度を測定します。画像4は、この測定肢位と基本軸・移動軸が日本整形外科学会、日本リハビリテーション医学会基準に合致しています。
選択肢ごとの解説
- 1. 肩甲帯屈曲の測定法として描かれていますが、日本整形外科学会、日本リハビリテーション医学会基準では肩甲骨の動きを直接測定する「肩甲帯屈曲」という項目は存在せず、肩関節の屈曲として測定されます。描かれた図は肩甲骨の挙上・下制や内転・外転を示すものとは異なります。正しくは:肩関節屈曲として測定する。図に示されているような肩甲帯の動きは一般的なROM測定の項目ではない。選びやすい理由:肩関節周囲の動きであるため、一見正しいかのように見える。また、関節の動きを測定しているという点では合っている。混同注意:肩関節屈曲、肩甲骨の挙上・下制、内転・外転の測定。
- 2. 肩関節水平伸展の測定法として描かれていますが、基本軸と移動軸の設定が誤っています。肩関節水平伸展の基本軸は体幹、移動軸は上腕骨です。図では体幹に対し垂直に腕を上げており、これは肩関節屈曲または外転に近い動きをイメージさせますが、水平伸展ではありません。正しくは:肩関節水平伸展の基本軸は体幹と平行に、移動軸は上腕骨の中心線とし、体幹を固定した上での上腕骨の後方への動きを測定します。図の肢位は肩関節屈曲90度の位置から水平に動かす場合の軸の設定とは異なります。選びやすい理由:肩関節の動きであることは認識できるため、他の動きと混同しやすい。混同注意:肩関節屈曲、肩関節外転、肩関節水平屈曲の測定。
- 3. 手関節伸展の測定法として描かれていますが、基本軸が誤っています。手関節伸展の基本軸は橈骨(前腕)の長軸、移動軸は第3中手骨の長軸です。図では手の甲を測定の基準としているため、軸の起点が異なります。正しくは:手関節伸展の基本軸は橈骨の長軸(前腕の尺側面)、移動軸は第3中手骨の長軸に設定します。選びやすい理由:手関節の動きであることは認識できるが、細部の軸の設置で間違いやすい。混同注意:手関節屈曲、手関節の撓屈・尺屈の測定。
- 4. 正解。股関節屈曲の測定は、被験者を背臥位とし、膝関節を屈曲させて、大腿骨と体幹のなす角度を測定します。画像4は、この基準に合致しており、基本軸が体幹の側面線、移動軸が大腿骨の長軸に正しく設定されています。選びやすい理由:膝を立てている姿勢が、股関節を屈曲させているように見えるため。混同注意:股関節屈曲の際の膝関節の屈曲位を伴うかどうか。また、股関節伸展の測定方法。
- 5. 足部内転の測定法として描かれていますが、基本軸と移動軸の設定が誤っています。足部内転の基本軸は第2中足骨の長軸、移動軸は第2中足骨の長軸と足の縦軸とでなす角度です。図では脛骨の軸を基本軸のように扱っているため誤りです。また、内転の方向も正しくありません。正しくは:足部内転の基本軸は第2中足骨の長軸、移動軸は足底を基準に第2中足骨の長軸に対し内側に動く角度を測定します。選びやすい理由:足部の動きであることは認識できるため、足関節の動きと混同しやすい。混同注意:足関節内がえし、外がえし、足関節背屈・底屈、足部外転の測定。
国試ポイント
関節可動域測定(ROM測定)における各関節の基本軸、移動軸、測定肢位を正確に理解し、図から判別できること。
混同注意
特に、肩関節、股関節、足関節の複雑な動きや、体幹の安定性を保つための測定肢位が混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、まず各関節の測定肢位が適切か、次に基本軸と移動軸が正しい位置に設定されているかを確認して判断します。
関連知識
各関節のROM測定において、基本軸は固定される骨の長軸、移動軸は運動する骨の長軸に設定されます。測定の際には、代償運動を防ぎ、正確な値を得るために適切な固定と肢位の保持が重要です。足部の内転・外転は足関節ではなく、足部の動きとして測定されます。