透析患者の血液生化学検査で正常値より大きく低下するのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第58回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
腎臓はエリスロポエチンというホルモンを産生し、骨髄での赤血球産生を促進します。透析患者は腎機能が著しく低下しているため、このエリスロポエチンの産生が不十分となり、結果として赤血球が減少し、ヘモグロビン値が正常範囲を下回る「腎性貧血」を呈することが一般的です。他の選択肢の項目は、腎機能低下により排泄が滞ることで高値を示すか、炎症反応の指標であり低下はしません。
選択肢ごとの解説
- 1. 腎不全の透析患者は、シャント感染や全身性炎症などによりCRP値が上昇することが多く、正常値よりも低下することは通常ありません。正しくは:慢性的な炎症がある場合や感染症合併時は高値を示すことがあります。選びやすい理由:透析によって体調が管理されると炎症が抑制されると誤解する可能性があります。混同注意:感染症や炎症反応がない健康な状態の基準値と混同するかもしれません。
- 2. 尿酸は腎臓から排泄される物質であるため、透析患者では腎機能の低下により体内に蓄積しやすく、一般的に正常値より高値を示します。正しくは:腎機能低下のため、排泄が不十分となり高値となることが一般的です。選びやすい理由:尿酸は老廃物であり、透析で除去されるため一時的に低下する印象を持つかもしれないが、正常範囲より大きく低下することはありません。混同注意:薬物治療によって尿酸値がコントロールされている場合と混同する可能性があります。
- 3. 血中尿素窒素は腎臓から排泄される主要な老廃物の一つであり、透析患者では腎機能の低下により体内に蓄積し、通常は正常値より高い値を示します。透析によって一時的に除去されますが、大きく低下して正常値より低くなることはありません。正しくは:腎機能低下のため、通常高値を示します。選びやすい理由:透析で除去される代表的な物質であるため、その影響で大きく低下すると考えるかもしれませんが、正常値より低いことはありません。混同注意:透析直後の値と透析前の高値の状態、そして正常範囲とを混同する可能性があります。
- 4. 正解。腎臓は赤血球の産生を促進するエリスロポエチンというホルモンを分泌しています。透析患者では腎機能が低下しているため、エリスロポエチンの産生が不足し、その結果、赤血球が十分に作られなくなり(腎性貧血)、ヘモグロビン濃度が正常値よりも著しく低下します。
- 5. クレアチニンは筋肉の代謝によって生じ、腎臓から排泄される老廃物です。腎機能が低下している透析患者では、クレアチニンが体内に蓄積するため、一般的に正常値より大幅に高い値を示します。正しくは:腎機能低下のため、通常高値を示します。選びやすい理由:透析でクレアチニンが除去されるため、大きく低下すると考えるかもしれませんが、正常値より大きく低下することはありません。混同注意:透析前後の変動と、正常範囲との比較を混同する可能性があります。
国試ポイント
腎臓の機能と関連する血液生化学検査項目、特に透析患者における特徴的な変化(高値を示すもの、低値を示すもの)を理解しているかを問う問題です。腎性貧血の原因とその結果としてのヘモグロビン値の低下は、透析患者における重要な病態生理です。
混同注意
透析によって除去される老廃物(尿素窒素、クレアチニン、尿酸など)が一時的に低下するが、正常値より低くなることは稀であり、透析前の値は高値であることと、ヘモグロビンが持続的に低値を示す状態を混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
透析患者の他の合併症(骨ミネラル代謝異常、心血管合併症など)に関連する血液検査項目や、透析の適切な評価指標について問われる可能性があります。また、透析の種類(血液透析、腹膜透析)による検査値の変動の違いも論点となりえます。
関連知識
腎臓の主要な機能(老廃物の排泄、体液・電解質バランスの調整、ホルモン産生:エリスロポエチン、レニンなど)、腎不全の病態、透析療法の原理、腎性貧血の治療(ESA製剤、鉄剤)。