主な障害部位と高次脳機能障害の組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第58回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
視覚失認は、眼球や視路に異常がないにもかかわらず、後頭葉の視覚連合野の障害によって、対象物を視覚的に認識できない状態を指します。したがって、後頭葉と視覚失認の組み合わせは正しいです。
選択肢ごとの解説
- 1. 失読失書(文字が読めず書けない状態)は、主に優位半球の頭頂葉(特に角回)の損傷で生じることが多い障害です。前頭葉は言語の流暢性や実行機能に関わりますが、直接的な失読失書の原因部位ではありません。正しくは:正しくは「優位半球の頭頂葉:失読失書」や「前頭葉:運動性失語(ブローカ失語)」などです。選びやすい理由:前頭葉が言語機能(特に発話)に関与するため、文字に関する障害も前頭葉と関連すると誤解しやすいかもしれません。混同注意:前頭葉が担当する発話や遂行機能などの高次機能と、頭頂葉が担当する読み書きのような言語理解・表出機能が混同されることがあります。
- 2. 聴覚失認は、聴力に異常がないにもかかわらず音を認識できない状態であり、主に両側の側頭葉(特に聴覚野を含むHeschl回)の損傷で生じます。前頭葉は聴覚刺激に対する注意や処理の調整には関与しますが、聴覚失認の直接的な原因部位ではありません。正しくは:正しくは「両側側頭葉:聴覚失認」などです。選びやすい理由:前頭葉が認知機能全体、特に注意や判断に関わるため、感覚の認識障害である失認と結びつけてしまいがちです。混同注意:前頭葉の注意機能や遂行機能と、側頭葉の感覚認知(聴覚、味覚、嗅覚など)機能との役割が混同されることがあります。
- 3. 運動性失語(ブローカ失語とも呼ばれます)は、主に優位半球の**前頭葉**(ブローカ野)の損傷によって生じる発話能力の障害です。頭頂葉は感覚統合、空間認知、身体図式などに関与します。正しくは:正しくは「前頭葉:運動性失語」や「優位半球の頭頂葉:伝導失語、観念運動失行、半側空間無視」などです。選びやすい理由:失語症が脳の広範な言語野に関わるため、頭頂葉もその一部と誤解する可能性があります。また、頭頂葉損傷でも伝導失語(復唱障害が主)のような言語障害が起こることがあり、混同を招きやすいです。混同注意:失語症の主要なタイプ(運動性失語は前頭葉、感覚性失語は側頭葉)と、頭頂葉損傷で生じる他の高次脳機能障害(失行、半側空間無視、伝導失語など)の区別が曖昧な場合に選びやすいでしょう。
- 4. 着衣失行は、衣服を正しく着ることができない状態を指し、主に**非優位半球(多くは右)の頭頂葉**の損傷で生じることが多いです。後頭葉は主に視覚情報の処理を担当します。正しくは:正しくは「非優位半球(右)頭頂葉:着衣失行」などです。選びやすい理由:着衣には視覚情報も必要であり、失行の一種であることから、視覚を司る後頭葉との関連性を考えてしまうかもしれません。混同注意:後頭葉の視覚認知機能と、頭頂葉の身体図式や空間認知に基づく行為の障害(失行)との違いが混同されやすいです。
- 5. 正解。視覚失認は、視力や視野に異常がないにもかかわらず、対象物を視覚的に認識できない状態を指します。これは主に、視覚情報の高次処理を行う**後頭葉**の視覚連合野の損傷、特に両側性の障害によって生じます。したがって、この組み合わせは正しいです。
国試ポイント
各高次脳機能障害の定義と、それに対応する脳の主要な損傷部位を正確に理解しているかが問われる問題です。特に、失語、失行、失認の基本的な分類と、関連する脳葉を把握しておくことが重要です。
混同注意
高次脳機能障害の名称が似ていたり、複数の脳部位が複合的に関与したりするため、それぞれの中核となる障害部位を混同しやすいです。特に、失語症の分類(運動性、感覚性など)とその部位、失行の分類(観念運動性、観念性、着衣など)とその部位、失認の分類(視覚性、聴覚性など)とその部位は、詳細な知識が求められます。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、疾患ごとの高次脳機能障害の出現頻度や特徴、あるいは特定の症候群(例:ゲルストマン症候群、アントン症候群)と関連する障害部位の組み合わせが問われる可能性があります。また、具体的な事例を挙げて、患者の症状から障害部位を推定させる問題形式も考えられます。
関連知識
関連知識として、以下を把握しておくと良いでしょう。 ・前頭葉:ブローカ失語(運動性失語)、遂行機能障害、人格変化、半側空間無視(一部) ・側頭葉:ウェルニッケ失語(感覚性失語)、聴覚失認、相貌失認、記憶障害 ・頭頂葉:ゲルストマン症候群(手指失認、左右失認、失書、失算)、着衣失行、観念運動失行、観念失行、半側空間無視、伝導失語 ・後頭葉:視覚失認、皮質盲