腰椎椎間板ヘルニアで正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第60回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
腰椎椎間板ヘルニアの突出した髄核は、時間の経過とともに自然に縮小または吸収されることが医学的に広く認知されています。特に脱出型のヘルニアでは、髄核が脊柱管内に遊離し、周囲の組織との接触により炎症反応や血管新生が起こり、マクロファージによる異物排除作用が働くことで、髄核の水分が減少したり、分解・吸収されたりすると考えられています。この自然吸収は、保存療法が有効である大きな理由の一つです。
選択肢ごとの解説
- 1. 腰椎椎間板ヘルニアは、通常20代から40代の比較的若い成人に好発する疾患であり、小児期に多く発生するという記述は誤りです。成長期の脊柱疾患とは区別されます。正しくは:腰椎椎間板ヘルニアは、主に20代から40代の成人に多く発生する。選びやすい理由:成長期のスポーツ活動などと関連付けて、漠然と若い時期に起こるという印象を持つと間違えやすいかもしれません。しかし、小児期と成人期では椎間板の変性過程が異なります。混同注意:脊椎分離症やすべり症、側弯症など、小児期や思春期に特徴的な他の脊椎疾患との混同。
- 2. 腰椎椎間板ヘルニアが重度に進行し、馬尾神経を強く圧迫する「馬尾症候群」を発症した場合には、排尿・排便困難などの膀胱直腸障害が発生する可能性があります。これは緊急手術の適応となる重大な症状であるため、「発生しない」とする記述は誤りです。正しくは:腰椎椎間板ヘルニアが重度の場合、膀胱直腸障害が生じることがある。選びやすい理由:一般的な腰椎椎間板ヘルニアの患者さんでは膀胱直腸障害がみられないことが多いため、それを根拠に「生じない」と誤解する可能性があります。しかし、稀であっても重篤な合併症として起こりうることを理解しておく必要があります。混同注意:一般的な神経根症状(坐骨神経痛など)と、馬尾症候群による重篤な神経症状(両下肢の麻痺、会陰部の感覚障害、膀胱直腸障害)との混同。
- 3. 腰椎椎間板ヘルニアの有病率は、一般的に全人口の約1〜3%程度とされています。15%という数値は非常に高く、現実の罹患率とはかけ離れており誤りです。正しくは:腰椎椎間板ヘルニアの罹患率は、一般的に1〜3%程度である。選びやすい理由:腰痛自体は非常に多くの人が経験する一般的な症状であり、その漠然としたイメージと混同して、椎間板ヘルニアの罹患率も高いと錯覚しやすいかもしれません。しかし、腰痛の原因は多岐にわたります。混同注意:腰痛全体の生涯有病率(約80%程度)や、画像診断で椎間板の変性所見が認められる割合と、実際に症状を伴う椎間板ヘルニアの罹患率との混同。
- 4. Myerson徴候(マイヤーソン徴候)は、パーキンソン病などの錐体外路疾患において見られる、眉間を叩き続けても瞬目反射が持続する現象(眉間反射の持続)であり、腰椎椎間板ヘルニアとは直接的な関連がありません。正しくは:Myerson徴候は、腰椎椎間板ヘルニアの診断とは関連しない。選びやすい理由:神経学的な徴候名が多く存在する中で、聞き慣れない名称や他の疾患で有名な徴候が提示されると、それが関連する徴候であるかのように誤認しやすいことがあります。混同注意:腰椎椎間板ヘルニアに関連する整形外科的・神経学的検査(例:下肢伸展挙上テスト[SLRテスト]、FNSテスト、アキレス腱反射・膝蓋腱反射の減弱など)と、パーキンソン病などで見られる神経学的徴候との混同。
- 5. 正解。腰椎椎間板ヘルニアにおいて、突出または脱出した髄核が自然に縮小したり、炎症反応や免疫反応によって異物として認識され吸収されたりすることはよく知られた現象です。これにより、特別な治療なしに症状が改善することがあります。
国試ポイント
この問題は、腰椎椎間板ヘルニアに関する基本的な病態生理、合併症、疫学、および鑑別すべき徴候についての理解度を問うものです。特に、自然吸収という予後に関する重要な知識や、重篤な合併症、他の疾患との鑑別点を正確に把握しているかが評価されます。
混同注意
腰痛の原因は椎間板ヘルニアだけではないこと、椎間板ヘルニアの重症度と治療法(保存療法か手術療法か)の選択、馬尾症候群の緊急性、様々な神経学的な徴候の関連疾患。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、腰椎椎間板ヘルニアの治療方針(保存療法と手術療法の適応、特に緊急手術の適応となる馬尾症候群の症状)、画像診断による病型の違い(膨隆、突出、脱出、遊離)とそれらの予後、リハビリテーション介入の注意点(急性期・回復期・維持期)、および再発予防策について問われる可能性が高いです。
関連知識
腰椎椎間板ヘルニアの好発年齢、発生機序(変性、外傷)、主な症状(坐骨神経痛、知覚障害、筋力低下)、診断方法(画像診断:MRI、CT)、保存療法の内容(安静、薬物療法、理学療法)、手術療法の適応、鑑別診断(脊柱管狭窄症、椎間関節症、梨状筋症候群など)、Myerson徴候以外の神経学的徴候(Kernig徴候、Bragard徴候、大腿神経伸展テスト[FNSテスト]など)。