脊髄性運動失調で陽性となるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第58回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
脊髄性運動失調は、深部感覚(固有受容覚)を脳へ伝える脊髄の後索路の障害によって生じる感覚性失調の一種です。ロンベルグ徴候は、閉眼時に深部感覚からの情報が途絶えることで平衡を保つことが困難になる検査所見であり、脊髄性運動失調の患者で陽性となる代表的な所見です。
選択肢ごとの解説
- 1. バビンスキー徴候は、錐体路(上位運動ニューロン)の障害を示唆する所見であり、脊髄性運動失調とは異なる病態で観察されます。脊髄性運動失調は主に後索の障害による感覚性失調です。正しくは:錐体路障害で陽性となる検査所見です。選びやすい理由:神経系の異常全般と混同しやすいため、脊髄病変の一部として誤って選ばれる可能性があります。混同注意:ロンベルグ徴候のような深部感覚の障害による失調とは異なり、特定の運動麻痺に関連する反射の異常です。
- 2. フーバー徴候は、下肢の機能的(心因性)脱力を評価するためのもので、器質的な神経障害である脊髄性運動失調とは直接関連がありません。正しくは:機能性下肢脱力を疑う際に評価される徴候です。選びやすい理由:患者が意識的に運動を行わない場合の検査であるため、一見神経学的異常と関連するように思えるかもしれませんが、その本質は器質性ではありません。混同注意:器質的な麻痺と機能的な麻痺を見分けるための検査であり、運動失調とは概念が異なります。
- 3. ケルニッヒ徴候は、髄膜刺激症状(髄膜炎など)で陽性となるものです。運動失調とは直接的な関連がありません。正しくは:髄膜刺激症状を評価する際に用いられる徴候です。選びやすい理由:中枢神経系の異常を示す徴候の一つであるため、脊髄疾患の幅広い概念と混同されるかもしれません。混同注意:運動失調の評価とは異なり、感染症や出血による髄膜の炎症を検出するものです。
- 4. マイエルソン徴候は、パーキンソン病などの錐体外路系障害で見られる眼瞼反射の抑制困難の現象です。脊髄性運動失調とは異なる疾患で観察されます。正しくは:パーキンソン病などの錐体外路系障害で陽性となることがあります。選びやすい理由:随意運動の異常に関連する徴候であるため、運動失調との関連性を推測する人がいるかもしれません。混同注意:協調運動の障害を直接評価するものではなく、特定の反射の異常を示します。
- 5. 正解。ロンベルグ徴候は、閉眼時に立位の不安定性が増大する場合に陽性と判断されます。これは深部感覚(固有受容覚)の障害を示唆しており、脊髄の後索路障害による脊髄性運動失調(感覚性失調)で典型的に観察される所見です。
国試ポイント
神経学的診察における各徴候が示す病変部位や病態生理を正確に理解しているかを問う問題です。特に、運動失調の種類(脊髄性、小脳性、前庭性など)と、それぞれに対応する代表的な診察所見を結びつける知識が重要です。
混同注意
小脳性運動失調(閉眼開眼に関わらず立位不安定)、前庭性運動失調(めまい、吐き気などの随伴症状、眼振)と混同されやすいです。ロンベルグ徴候は深部感覚障害による感覚性失調を示唆するものであり、小脳性の場合は開眼時にも不安定性が見られます。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出た場合、ロンベルグ徴候が陽性となる具体的な疾患(例:脊髄癆、亜急性連合性脊髄変性症)や、他の種類の運動失調(小脳性、前庭性)でみられる特徴的な徴候(例:小脳性では測定障害、変換運動障害、構音障害など)を問われる可能性があります。また、深部感覚と表在感覚の伝導路の違いも重要です。
関連知識
深部感覚の経路は脊髄後索を上行し、大脳皮質に到達します。運動失調は感覚性失調(脊髄後索障害)、小脳性失調(小脳障害)、前庭性失調(前庭神経・内耳障害)などに分類され、それぞれに特徴的な所見があります。感覚性失調の原因疾患には脊髄癆や亜急性連合性脊髄変性症などがあります。