廃用症候群で増加するのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第58回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
廃用症候群では、身体活動の減少により心血管系の機能が低下します。具体的には、心臓の収縮力が弱まり、一回拍出量が減少するため、全身に十分な血液を供給するためには、心臓はより頻繁に拍動する必要があります。その結果、安静時でも心拍数が増加します。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。廃用症候群では、心臓の機能が低下し、全身への血液供給効率が悪くなるため、同じ活動レベルを維持するためには安静時でもより多くの心拍数が必要になります。これは、心臓が弱り、一度に送り出す血液量が減少するため、拍動回数を増やすことで代償しようとする現象です。
- 2. 廃用症候群、特に長期臥床では、肺の換気と血流のバランスが崩れやすくなります。例えば、無気肺による換気不足や、肺塞栓症による血流障害などにより不均衡が生じますが、換気血流比が全体的に一方向へ「増加」するとは限りません。むしろ、効率の低下が問題となります。正しくは:廃用症候群では換気血流不均衡が生じやすくなります。選びやすい理由:臥床によって呼吸機能に変化があることは想像できますが、「増加」するという表現が不適切です。呼吸効率の低下や換気血流不均衡として理解されがちです。混同注意:呼吸機能の低下全般や、換気量の減少、重力による血流分布の変化と混同しやすいですが、比率そのものが一様に増加するわけではありません。
- 3. 廃用症候群では、心臓の筋肉が弱くなり、全身持久力が低下するため、運動などの負荷がかかった際に心拍出量を増やせる能力(心臓予備力)は「低下」します。心臓が病的に大きくなる「心肥大」などと混同されがちですが、心臓予備力は機能的な余裕を指します。正しくは:心臓の予備機能(心臓予備力)は低下します。選びやすい理由:心臓に何らかの影響があるという知識から、機能の変化として捉えやすいですが、その方向性が「低下」であることを見落としがちです。混同注意:安静時心拍数の増加(負担増)と混同して、心臓が活発になるイメージを持つかもしれませんが、これは心機能の効率低下による代償であり、予備力は低下します。
- 4. 廃用症候群、特に長期臥床では、精神的なストレス、筋力低下、関節拘縮などから身体が痛みに対して過敏になりやすくなります。そのため、より小さな刺激でも痛みを感じるようになり、疼痛の閾値は「低下」します。正しくは:痛みを感じ始める閾値(疼痛の閾値)は低下します。選びやすい理由:疼痛への対処や感受性について変化が生じることは理解できますが、「閾値」が「増加」するのか「低下」するのかが曖昧になりやすいです。混同注意:痛みへの感受性が高まること(閾値の低下)と、痛みに強くなること(閾値の上昇)を混同しやすいです。
- 5. 廃用症候群では、呼吸筋力の低下、胸郭の動きの制限、肺の弾性低下などにより、肺全体の容量が減少します。そのため、正常な呼気後にさらに吐き出せる空気量(予備呼気量)も「減少」します。正しくは:最大に息を吐き出した後にさらに吐き出せる空気量(予備呼気量)は減少します。選びやすい理由:呼吸機能の低下は明らかですが、どの指標がどのように変化するかの詳細が曖昧な場合に選びやすいです。肺容量全般の減少を認識していれば誤答を避けられます。混同注意:肺活量や全肺気量といった他の肺容量の変化と混同しやすいですが、廃用症候群では呼吸機能全般が低下傾向にあります。
国試ポイント
廃用症候群による全身の生理的変化、特に心血管系、呼吸器系、筋骨格系、神経系の機能がどのように変化するか(増加・減少)を正確に理解しているかが問われます。
混同注意
多くの生理機能は廃用症候群で「低下」するため、数少ない「増加」する項目を正確に把握しておく必要があります。特に、心臓に関する指標(心拍数、心拍出量、心臓予備力)や肺に関する指標(肺活量、予備呼気量)は混同しやすいため注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、各身体システムの機能が廃用症候群によって「増加」するのか「減少」するのか、または「不均衡」が生じるのかを、具体的な生理学的機序と結びつけて判断できるよう、主要な項目を整理して学習しておくことが重要です。
関連知識
廃用症候群では、筋力低下、筋萎縮、骨粗鬆症、関節拘縮、循環機能低下(起立性低血圧など)、呼吸機能低下(無気肺など)、消化器機能低下、精神機能低下(意欲低下、抑うつなど)など、多岐にわたる身体的・精神的な機能障害が生じます。