近位尿細管における再吸収率が最も高いのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第59回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
健康な人の腎臓では、糸球体でろ過されたグルコースは、近位尿細管において能動輸送によりほぼ100%再吸収され、尿中には排出されません。これはグルコースが身体にとって重要なエネルギー源であるためです。
選択肢ごとの解説
- 1. 水の再吸収率は近位尿細管で非常に高い(約65-70%)ですが、グルコースのようにほぼ100%再吸収されるわけではありません。水は浸透圧勾配に従い、他の溶質の再吸収に引き続いて受動的に再吸収されます。正しくは:水は再吸収率が高いものの、グルコースやアミノ酸のように、生体にとって必須の栄養素がほぼ完全に再吸収されるのとは異なります。選びやすい理由:尿の生成過程において水の再吸収は非常に重要な役割を果たすため、再吸収率が高いイメージがあるかもしれません。また、再吸収される量が多いため、相対的に高く感じる可能性があります。混同注意:ナトリウムイオンの再吸収と連動しているため、ナトリウムイオンの再吸収率や、尿量調節における水の重要性と混同しやすいかもしれません。
- 2. 正解。グルコースは、健康な状態であれば近位尿細管で糸球体からろ過された量のほぼ100%が再吸収されます。これは身体にとって重要なエネルギー源であるため、失われないように効率的に回収されるからです。
- 3. 水素イオンは近位尿細管で主に分泌されることで、尿の酸性度を調節し、体内の酸塩基平衡を維持します。再吸収される割合は限定的です。正しくは:水素イオンは主に腎臓から分泌され、体内の酸塩基平衡を維持します。選びやすい理由:酸塩基平衡の調節に不可欠なため、何らかの形で活発に処理されているという印象から選んでしまうかもしれません。混同注意:重炭酸イオンの再吸収やアンモニアとの結合など、酸塩基平衡に関する他の複雑なメカニズムと混同しやすいです。
- 4. クレアチニンは糸球体でろ過されますが、近位尿細管を含む尿細管でほとんど再吸収されず、そのほとんどが尿中に排出されます。この性質から腎機能の指標として用いられます。正しくは:クレアチニンはろ過されるものの、尿細管ではほとんど再吸収されずに排泄されます。選びやすい理由:腎機能検査で使われる物質であるため、腎臓での処理が活発というイメージがあるかもしれませんが、それは「再吸収」とは異なります。混同注意:尿素などの他の老廃物と混同しやすいかもしれません。尿素は一部再吸収されますが、クレアチニンはほとんど再吸収されません。
- 5. ナトリウムイオンは近位尿細管で非常に活発に再吸収され、その総量は多いですが、フィルタリングされた量の約65-70%程度であり、グルコースのようにほぼ100%再吸収されるわけではありません。正しくは:ナトリウムイオンは近位尿細管で活発に再吸収されますが、その全てが再吸収されるわけではなく、再吸収率は約65-70%です。選びやすい理由:電解質の主要な成分であり、体液量調節に非常に重要であるため、再吸収が最も活発に行われていると誤解しやすいかもしれません。再吸収量自体は多いです。混同注意:水の再吸収と密接に関連しているため、その重要性から最も高いと誤解しやすいです。
国試ポイント
腎臓の尿細管における各物質の再吸収と分泌のメカニズム、特に近位尿細管での役割に関する基礎知識が問われています。身体にとって重要な物質(グルコース、アミノ酸など)は効率的に再吸収され、老廃物(クレアチニンなど)はほとんど再吸収されないという基本的な原則を理解しているかが鍵です。
混同注意
水やナトリウムイオンも近位尿細管で多量に再吸収されますが、グルコースのように「ほぼ100%」というわけではありません。これらは量が多く、体液量や浸透圧の調節に不可欠なため、最も高いと誤解しやすいです。クレアチニンはほとんど再吸収されないため、対照的な存在として認識しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
次回、この論点が出題された際には、他の尿細管部位(ヘンレ係蹄、遠位尿細管、集合管)での主要な再吸収・分泌物質、特にホルモンによる調節(例:ADHによる水の再吸収、アルドステロンによるNa+再吸収とK+分泌)についても確認しましょう。また、再吸収されずに尿中に排出される物質や、その理由(例:薬物代謝物、過剰な電解質)も重要です。
関連知識
尿細管における物質輸送には、能動輸送、受動輸送、共輸送、対向輸送など様々なメカニズムが存在します。グルコースの再吸収はNa+共輸送体(SGLT)による二次性能動輸送です。水の再吸収は浸透圧勾配に従い、アクアポリンを介して行われます。