脂質の消化と吸収で誤っているのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
膵臓には、内分泌機能と外分泌機能があります。ランゲルハンス島は膵臓の内分泌部であり、インスリンやグルカゴンといった血糖調節ホルモンを分泌します。一方、リパーゼを含む消化酵素は、膵臓の外分泌部である腺房細胞から膵液として分泌され、十二指腸へ放出されて脂質の消化を助けます。したがって、リパーゼがランゲルハンス島から分泌されるという記述は誤りです。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。膵臓のランゲルハンス島は、インスリンやグルカゴンといった内分泌ホルモンを分泌する部位であり、消化酵素であるリパーゼを分泌することはありません。リパーゼは、主に膵臓の腺房細胞(外分泌部)から膵液として分泌されます。正しくは:膵臓の腺房細胞からリパーゼが分泌される。選びやすい理由:リパーゼが膵臓から分泌されることは正しいですが、膵臓の特定の部分である「ランゲルハンス島」と限定されている点が誤りであることに気づきにくいかもしれません。混同注意:膵臓全体の外分泌機能と、ランゲルハンス島の持つ内分泌機能(ホルモン分泌)を混同しやすいです。
- 2. リパーゼは、トリグリセリド(中性脂肪)を加水分解して脂肪酸とモノグリセリド、またはグリセリンに分解する酵素であり、これは脂質消化の主要なステップです。
- 3. 胆汁酸には、水に溶けにくい脂質を細かく分散させる乳化作用があり、これによりリパーゼが作用しやすくなります。さらに、消化された脂肪酸やモノグリセリドなどを取り込んで「ミセル」と呼ばれる水溶性の構造を形成し、吸収を促進します。
- 4. ミセルそのものが小腸粘膜細胞(腸管細胞)内に直接吸収されるわけではありません。ミセルが小腸の微絨毛に近づき、そこから脂肪酸やモノグリセリドなどの脂質分解産物が粘膜細胞内に拡散・吸収されます。
- 5. 胆汁酸は小腸下部(回腸)で約95%が再吸収され、門脈血流に乗って肝臓へと運ばれます。これにより肝臓で再利用され、胆汁の生成に役立つという「腸肝循環」を形成します。
国試ポイント
消化酵素の分泌部位に関する正確な知識、特に膵臓の内分泌機能(ホルモン分泌)と外分泌機能(消化酵素分泌)の区別、および脂質消化吸収の全体的なプロセスを理解しているかを問う問題です。
混同注意
膵臓の機能として、ランゲルハンス島(内分泌)の働きと、消化酵素分泌(外分泌)の働きを混同しやすいです。また、分泌される物質がホルモンなのか酵素なのかも区別が必要です。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、消化器系の各臓器(胃、膵臓、肝臓、小腸など)が分泌する消化液や酵素の種類、およびそれらの具体的な作用を再確認してください。特に、糖質、タンパク質、脂質の各栄養素がどのように消化・吸収されるかのプロセス全体を理解しておくことが重要です。
関連知識
膵臓の機能(内分泌:インスリン、グルカゴン分泌;外分泌:アミラーゼ、リパーゼ、トリプシンなどの消化酵素分泌)。胆汁の役割(脂質の乳化、ミセル形成)。脂質の吸収経路(ミセル形成、小腸細胞内での再エステル化、カイロミクロン形成、リンパ管輸送)。胆汁酸の腸肝循環。