免疫不全によって生じやすい疾患はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第53回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
免疫不全の状態では、通常は軽症または無症状で終わる日和見感染症が重症化しやすくなります。トキソプラズマ症はトキソプラズマ原虫による感染症であり、健常人では特に問題とならないことが多いですが、免疫不全者では脳炎などの重篤な症状を引き起こす典型的な日和見感染症です。よって、免疫不全によって生じやすい疾患として適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. 肝性脳症は、重度の肝機能障害によりアンモニアなどの有害物質が脳に蓄積することで発症します。免疫機能とは直接的な関連がありません。正しくは:肝機能障害によって生じる病態です。選びやすい理由:脳症という語句が含まれるため、選択肢として考慮するかもしれませんが、原因が大きく異なります。混同注意:代謝性脳症の一種ですが、原因が異なります。
- 2. ペラグラ脳症は、ビタミンB3(ナイアシン)の欠乏によって引き起こされる疾患で、皮膚炎、下痢、認知症などの症状を呈します。免疫不全とは関連しません。正しくは:ビタミンB3(ナイアシン)欠乏によって生じる病態です。選びやすい理由:栄養障害による脳症として知られていますが、免疫とは関係ありません。混同注意:他の栄養欠乏性脳症(例:Wernicke脳症)と混同しやすいですが、原因となるビタミンが異なります。
- 3. Wernicke脳症は、ビタミンB1(チアミン)の欠乏によって発症し、眼球運動障害、運動失調、意識障害などが特徴です。アルコール依存症患者に多く見られますが、免疫不全が直接の原因ではありません。正しくは:ビタミンB1(チアミン)欠乏によって生じる病態です。選びやすい理由:脳症という語句と、アルコール依存症など特定の状態で見られることから、選択肢として考慮するかもしれませんが、免疫不全とは異なります。混同注意:他の栄養欠乏性脳症(例:ペラグラ脳症)と混同しやすいですが、原因となるビタミンが異なります。
- 4. 正解。トキソプラズマ症は、トキソプラズマ原虫による感染症です。健常者では無症状か軽症で済むことが多いですが、免疫不全状態(例:HIV感染者、臓器移植後、抗がん剤治療中など)では、脳炎や播種性感染症など重篤な症状を引き起こしやすくなります。このため、免疫不全によって生じやすい疾患と言えます。
- 5. Creutzfeldt-Jakob病は、異常プリオン蛋白の蓄積によって脳組織が変性するプリオン病の一種です。急速に進行する認知症や運動失調が特徴で、免疫機能とは無関係に発症します。正しくは:異常プリオン蛋白によって生じる病態です。選びやすい理由:神経系の難病であるため、選択肢として考慮するかもしれませんが、原因はプリオンであり免疫不全ではありません。混同注意:他の神経変性疾患や感染症と混同しやすいですが、プリオン病という特殊な範疇に属します。
国試ポイント
免疫不全状態の患者で発症しやすくなる日和見感染症の種類と特徴を理解しているか、また、他の代謝性脳症や神経疾患との鑑別ができるかが問われています。
混同注意
様々な種類の脳症(肝性脳症、ペラグラ脳症、Wernicke脳症など)や神経変性疾患(Creutzfeldt-Jakob病)と混同しやすいため、それぞれの疾患の原因と病態を正確に理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
今後も免疫不全に関連する疾患、特に日和見感染症の種類や、それぞれの疾患の原因と治療法が問われる可能性があります。また、特定の疾患(例:HIV感染症)の合併症として日和見感染症が出題されることも考えられます。
関連知識
日和見感染症の種類(ニューモシスチス肺炎、サイトメガロウイルス感染症、クリプトコッカス症など)、それぞれの病原体と症状。免疫不全を引き起こす疾患(HIV感染症、白血病、リンパ腫など)や治療(免疫抑制剤、放射線治療、抗がん剤治療など)。