車椅子とベッドとの移乗動作の練習方法で正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第54回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・4番
解説
選択肢2は、複雑な動作の一部を取り出して集中的に練習する部分練習の定義に合致しています。選択肢4は、様々な条件下で練習を行うことで、環境変化への適応能力を高める多様練習の定義に合致しています。これら2つが、移乗動作の練習方法として適切に説明されています。
選択肢ごとの解説
- 1. 疲労度を一定に保つ練習は恒常練習ではなく、練習負荷を調整する考え方の一つです。恒常練習は、同じ課題を同じ環境で繰り返し行うことを指します。正しくは:同じ課題を同じ環境条件で繰り返し行うのが恒常練習である。選びやすい理由:「恒常」という言葉から「一定に保つ」というイメージが連想されやすいですが、練習方法における恒常練習の定義とは異なります。混同注意:練習方法における恒常練習の定義と、一般的な「恒常」の意味合い。
- 2. 正解。複雑な動作全体を、いくつかの構成要素に分解し、その構成要素の一つ(この場合は立ち上がり)だけを独立して練習することを部分練習と呼びます。これは移乗動作訓練における効果的なアプローチの一つです。選びやすい理由:部分練習の概念を正しく理解していれば迷わない選択肢です。
- 3. 動作手順を言葉で説明する練習は、認知的な側面の練習であり、全体練習とは異なります。全体練習は、動作の最初から最後までを一度にまとめて練習する方法を指します。正しくは:動作の最初から最後までを通して練習するのが全体練習である。選びやすい理由:「全体」という言葉から、一連の動作全てを網羅するというイメージで、言語化も含まれると誤解しやすいかもしれません。混同注意:全体練習の定義と、動作の認知的な理解・言語化の練習。
- 4. 正解。多様練習(variability of practice)とは、同じ運動課題であっても、練習条件(環境要因や身体条件など)を変化させながら行う練習方法です。これにより、様々な状況に対応できる般化能力や適応能力の向上が期待されます。移乗動作においてアプローチ角度やベッド高を変えるのは、まさに多様練習の例です。選びやすい理由:多様練習の概念を正しく理解していれば迷わない選択肢です。
- 5. 動作を複数のパートに分けて練習するのは部分練習(または分解練習)です。分散練習とは、練習時間の総量が同じ場合でも、一回の練習時間を短くして、練習と練習の間に休憩を多く取る練習方法を指します。正しくは:動作を複数のパートに分けて練習するのは部分練習であり、練習と休憩を交互に行うのが分散練習である。選びやすい理由:「分散」という言葉から「動作を区切る」というイメージが連想されやすいですが、練習方法における分散練習の定義とは異なります。混同注意:分散練習の定義と部分練習(分解練習)の定義。
国試ポイント
運動学習における練習方法(恒常練習、多様練習、全体練習、部分練習、集中練習、分散練習など)の基本的な定義と具体例を理解しているかが問われています。特に「部分練習」「多様練習」は頻出です。
混同注意
恒常練習と多様練習、全体練習と部分練習、集中練習と分散練習など、対になる概念や、言葉の響きから誤解しやすい練習方法の定義を混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
この論点が出た場合、各練習方法(恒常練習、多様練習、全体練習、部分練習、集中練習、分散練習)の定義を正確に理解し、具体的な動作場面に当てはめて適切に判断できるかを確認します。
関連知識
運動学習理論、シェマ理論、随意運動における般化・転移、練習の効果的な原則(練習量、練習間隔、フィードバックの種類など)。