前頭側頭型認知症の初期症状はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第57回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
前頭側頭型認知症(特に行動型前頭側頭型認知症)は、前頭葉や側頭葉前部の萎縮により、人格変化、行動障害が初期から顕著に現れます。具体的には、脱抑制(衝動的な行動、社会規範からの逸脱)、共感性の低下、無関心、常同行動、反復行動、食行動の変化などが特徴です。選択肢5の「自分本位にふるまう」は、これらの人格・行動変化を示す典型的な初期症状です。
選択肢ごとの解説
- 1. 失禁は前頭側頭型認知症の初期症状としては一般的ではありません。通常、病状が進行してから現れることが多いです。正しくは:排泄のコントロールが難しくなるのは、認知症が進行した段階や、他の種類の認知症で多く見られます。選びやすい理由:認知症全体で見られる症状の一つではあるため、初期症状と混同しやすいかもしれません。混同注意:アルツハイマー型認知症などの進行期症状や、脳血管性認知症の初期症状と混同する可能性があります。
- 2. 着替えができない(着衣失行)は、主に頭頂葉機能の障害で起こり、前頭側頭型認知症の初期症状としては典型的ではありません。初期は、行為そのものよりも社会行動の変化が顕著です。正しくは:着衣の困難さは、アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症でしばしば見られる実行機能障害や構成失行の症状です。選びやすい理由:日常生活動作(ADL)の障害は認知症全般で懸念されるため、初期症状として選んでしまう可能性があります。混同注意:アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症で認められる失行(着衣失行など)と混同しやすいです。
- 3. 物忘れ(記銘力障害)は、アルツハイマー型認知症の最も代表的な初期症状であり、前頭側頭型認知症では初期にはあまり目立ちません。前頭側頭型ではむしろ記憶力は比較的保たれていることが多いです。正しくは:新しいことを覚えられない記銘力障害は、アルツハイマー型認知症の初期において最も特徴的な症状です。選びやすい理由:認知症の代表的なイメージが「物忘れ」であるため、一般的な認知症の症状として選びやすいです。混同注意:アルツハイマー型認知症の初期症状である記銘力障害と混同しやすいです。
- 4. 買い物から帰れない(見当識障害)は、主に海馬や頭頂葉の機能障害によって生じ、アルツハイマー型認知症の初期から中期の症状としてよく見られますが、前頭側頭型認知症の初期では稀です。正しくは:慣れた場所で道に迷うのは、アルツハイマー型認知症で初期から見られる空間認識能力の低下や見当識障害によるものです。選びやすい理由:道に迷うことは、認知症の一般的な症状として広く知られているため、初期症状と誤解しやすいです。混同注意:アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症など、他のタイプの認知症における見当識障害と混同しやすいです。
- 5. 正解。前頭側頭型認知症(行動型前頭側頭型認知症)の初期症状として、社会規範からの逸脱、脱抑制、常同行動、無関心などが挙げられます。この「自分本位にふるまう」という表現は、脱抑制や社会性の欠如を示しており、最も典型的で特徴的な初期症状です。
国試ポイント
前頭側頭型認知症の最も特徴的な初期症状が、他のタイプの認知症(特にアルツハイマー型認知症)の症状と異なる点を理解しているかが問われる。特に人格変化や行動障害に焦点を当てた知識が求められる。
混同注意
アルツハイマー型認知症の初期症状である記銘力障害や見当識障害と混同しやすい。それぞれの認知症のタイプによって、どの脳領域が障害され、どのような症状が初期に現れるかを明確に区別する必要がある。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、行動型前頭側頭型認知症の具体的な行動変化(例:万引き、同じ行動を繰り返す、不適切な言動)や、他の型の前頭側頭型認知症(意味性認知症、進行性非流暢性失語)の初期症状と区別できるか、が問われる可能性がある。
関連知識
前頭側頭型認知症の分類(行動型前頭側頭型認知症、意味性認知症、進行性非流暢性失語)、それぞれの特徴的な症状(行動障害、失語、意味記憶障害)。ピック病の概念。アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、脳血管性認知症の初期症状と鑑別点。認知症の共通症状とタイプ特異的症状。