記憶過程の要素として正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第56回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・3番
解説
記憶過程は、一般的に「記銘(符号化)」「貯蔵(保持)」「想起(検索)」の3つの主要な段階で構成されます。与えられた選択肢の中で、これらに直接該当するのは「記銘」と「想起」です。記銘は情報を脳に取り込む過程、想起は貯蔵された情報を取り出す過程を指します。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。記銘(符号化)は、外部からの情報を脳が処理し、記憶として取り込む最初の段階であり、記憶過程の必須要素です。
- 2. 計画立案は高次脳機能の一つですが、記憶そのものの形成過程の直接的な要素ではありません。前頭葉の実行機能に関連します。正しくは:記憶過程の要素としては、計画立案ではなく、「貯蔵(保持)」などが適切です。選びやすい理由:記憶を用いて計画を立てることはありますが、記憶過程自体を構成する要素ではありません。そのため、記憶との関連性があるように見えるため選択されやすいかもしれません。混同注意:高次脳機能障害の評価項目として、記憶と計画立案が共に挙げられるため、記憶過程の一部と混同しやすいです。
- 3. 正解。想起(検索)は、貯蔵された記憶情報を必要に応じて取り出す過程であり、記憶過程の最終段階にして重要な要素です。
- 4. 転換は記憶過程の一般的な要素として使われる言葉ではありません。文脈によっては、短期記憶から長期記憶への「移行」を指すこともありますが、直接的な要素名としては不適切です。正しくは:記憶過程の要素としては、「貯蔵(保持)」や「短期記憶から長期記憶への移行」などが適切です。選びやすい理由:記憶の種類や情報処理の「変換」といった意味合いで誤って選択される可能性があります。何らかの「変化」を指すと連想されやすいです。混同注意:短期記憶から長期記憶への「固定化(consolidation)」や、「符号化(encoding)」といったプロセスと混同される可能性があります。
- 5. 配分は、資源の割り当てなどを意味する言葉であり、記憶の形成過程における要素ではありません。注意の配分など、他の高次脳機能では用いられることがあります。正しくは:記憶過程の要素としては、「貯蔵(保持)」や「維持(maintenance)」などが適切です。選びやすい理由:何らかの情報を「整理して割り当てる」といった意味合いで、記憶と関連があるように錯覚する可能性があります。混同注意:注意の選択的配分や、情報の分類・整理といった認知機能と混同されることがあります。
国試ポイント
記憶の基本構造と過程(記銘、貯蔵、想起)について正確な知識が問われています。特に、高次脳機能全般の用語と記憶過程に特化した用語を区別できるかどうかがポイントです。
混同注意
高次脳機能全般の用語(例:計画立案、注意配分など)と、記憶の具体的なプロセス(記銘、貯蔵、想起)を混同しやすい。また、記憶の種類(短期記憶、長期記憶、エピソード記憶など)や記憶を補助するストラテジー(リハーサル、精緻化など)と、記憶の構成要素を混同しないよう注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
今後、この論点が出題された場合、記憶過程の3要素(記銘、貯蔵、想起)だけでなく、それぞれの詳細なメカニズム(例:符号化の種類、貯蔵の種類、想起のヒント依存性など)や、各段階で生じる障害(例:符号化障害、貯蔵障害、検索障害)について問われる可能性があります。また、記憶の種類と対応する脳部位についても確認が必要です。
関連知識
記憶の分類(短期記憶、長期記憶、宣言的記憶、非宣言的記憶など)、記憶障害の種類(前向性健忘、逆向性健忘など)、記憶のメカニズム(長期増強LTPなど)、記憶を評価する検査(MMSE、HDS-R、WMS-Rなど)。