訓練療法でないのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第53回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
来談者中心療法は、カール・ロジャーズが提唱した人間性心理学に基づく精神療法であり、クライエント中心の非指示的なアプローチです。セラピストが特定の訓練や課題を課すのではなく、クライエントの自己実現傾向を信頼し、受容・共感・一致の態度を通してクライエント自身が問題を解決していくプロセスを支援します。そのため、他の選択肢のような具体的な行動変容やスキル獲得を目的とした『訓練』とは性質が異なります。
選択肢ごとの解説
- 1. 森田療法は、症状を乗り越えるために行動を通して現実を受け入れ、あるがままの自分を受け入れる訓練的な側面を持ちます。正しくは:訓練的アプローチの一つです。選びやすい理由:精神療法全般が訓練的でないと誤解することがあるかもしれません。混同注意:他の一般的な精神療法と混同する可能性があります。
- 2. シェイピングは、目標行動に近づく段階的な行動を強化していくことで、新たな行動を形成する行動療法の技法であり、訓練的な要素が強いです。正しくは:訓練的アプローチの一つです。選びやすい理由:行動療法と訓練的アプローチを同一視しやすいかもしれません。混同注意:他の行動療法の手法と混同する可能性があります。
- 3. 認知行動療法は、患者自身が行動や思考のパターンを認識し、より適応的なものへと修正していくための具体的な課題や練習を伴う、非常に訓練的なアプローチです。正しくは:訓練的アプローチの一つです。選びやすい理由:精神療法であるため、訓練的ではないと誤解しやすいかもしれません。混同注意:広範な精神療法全般と混同し、訓練的側面を見落とすことがあります。
- 4. 系統的脱感作法は、不安や恐怖を段階的に解消するための具体的な手順(リラクセーションと不安階層の提示)を踏む行動療法であり、反復的な訓練によって効果を得ます。正しくは:訓練的アプローチの一つです。選びやすい理由:特定の治療法名に惑わされ、その訓練的側面を見過ごす可能性があります。混同注意:リラクセーション法と混同し、訓練の側面を軽視する可能性があります。
- 5. 正解。来談者中心療法は、クライエントの自己成長力を信じ、セラピストが無条件の肯定的関心、共感的理解、自己一致の態度で接することで、クライエント自身が問題を解決していくことを促す非指示的なアプローチです。特定の課題や行動の訓練を直接的に行うものではありません。正しくは:これは非指示的・非訓練的な精神療法です。選びやすい理由:すべての心理療法が何らかの訓練を含むと考える傾向がある場合、間違いやすいです。混同注意:他の指示的・訓練的な精神療法(例:認知行動療法、行動療法)と混同することがあります。
国試ポイント
この問題は、主要な精神療法の種類とそのアプローチの特性(特に指示的・非指示的、訓練的・非訓練的側面)を理解しているかを問うものです。個々の療法の具体的な手法だけでなく、その根底にある哲学や治療構造の違いを把握していることが重要です。
混同注意
森田療法、認知行動療法、行動療法(シェイピング、系統的脱感作法など)は、いずれも行動や思考の具体的な変容を目的とした訓練的・指示的側面が強いアプローチであり、来談者中心療法のような非指示的アプローチと混同しやすい点です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、各精神療法の中心的な概念、主要な技法、セラピストとクライエントの関係性(指示的か非指示的か)、および治療目標(洞察の獲得か、行動変容か、自己実現か)に着目して判断します。
関連知識
精神療法の分類(支持的精神療法、洞察志向的精神療法、行動療法、認知療法など)、各療法の提唱者、主要な技法と適応疾患。特に作業療法においては、訓練という言葉が具体的な身体機能訓練やADL訓練を想起させるため、精神科領域での訓練的アプローチの概念も理解しておく必要があります。