1,000名を対象に糖尿病とうつ症状のGeriatric Depression Scaleとの関連性を調査した。うつ症状について糖尿病のあり群となし群の比較を統計学的に検定する方法で最も適切なのはどれか。ただし、集積されたデータは正規分布に従う。
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出典:厚生労働省ホームページ(第59回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
2つの独立したグループ(糖尿病あり群と糖尿病なし群)の量的変数(うつ症状のGeriatric Depression Scaleスコア)の平均値を比較する場合で、データが正規分布に従うと明記されているため、パラメトリック検定であるt検定が最も適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。2つの独立したグループ(糖尿病あり群と糖尿病なし群)の平均値を比較し、かつデータが正規分布に従う量的変数である場合(本設問ではGDSのスコア)、t検定が最も適切なパラメトリック検定です。
- 2. カイ二乗検定は、2つ以上のカテゴリカル変数(名義尺度)間の関連性を分析する際に用いられます。本設問では、うつ症状のスコアという量的変数を扱っており、カテゴリカル変数ではないため不適切です。正しくは:カテゴリカル変数(例:うつ症状「あり」/「なし」の人数、糖尿病「あり」/「なし」の人数)の比率や分布の違いを比較する際に使用します。選びやすい理由:グループ間の「違い」を検定するという点では共通しているため、漠然と統計検定の種類が少ない学生は選びやすいかもしれません。混同注意:t検定が量的変数間の差をみるのに対し、カイ二乗検定はカテゴリカル変数間の関連をみる点で混同しやすい。
- 3. クラスカル・ウォリス検定は、3つ以上の独立したグループ間の中央値を比較するノンパラメトリック検定です。本設問では比較対象が2つのグループであり、かつデータが正規分布に従うと明記されているため不適切です。正しくは:3つ以上の独立したグループの中央値比較で、データが正規分布に従わない場合に適用します。選びやすい理由:グループ間の比較である点は共通していますが、グループ数と正規分布の条件が異なります。混同注意:3グループ以上の中央値比較(ノンパラメトリック)と、2グループの平均値比較(パラメトリック)を混同しやすい。
- 4. マン・ホイットニーのU検定は、2つの独立したグループの中央値を比較するノンパラメトリック検定です。本設問ではデータが正規分布に従うと明記されているため、パラメトリック検定であるt検定が優先されます。正しくは:2つの独立したグループの中央値比較で、データが正規分布に従わない場合に適用します。選びやすい理由:2つの独立したグループを比較するという点でt検定と似ていますが、「正規分布に従う」という条件を見落とすと選択肢として有力に見えてしまいます。混同注意:t検定(正規分布データに対する2群間の平均値比較)と、マン・ホイットニーのU検定(非正規分布データに対する2群間の中央値比較)を混同しやすい。
- 5. ウィルコクソンの符号付順位検定は、対応のある2つのグループ(例:介入前後の比較など)の中央値を比較するノンパラメトリック検定です。本設問では対応のない2つの独立したグループを比較しており、かつデータが正規分布に従うため不適切です。正しくは:対応のある2つのグループの中央値比較で、データが正規分布に従わない場合に適用します。選びやすい理由:2つのグループを比較するという点では共通していますが、対応の有無と正規分布の条件が異なります。混同注意:対応のあるグループの比較(例:前後比較)と対応のないグループの比較を混同しやすい。また、ノンパラメトリックである点も異なります。
国試ポイント
統計学的な検定方法について、比較するグループの数(2群か3群以上か)、グループが独立しているか対応しているか、データの種類(量的変数かカテゴリカル変数か)、データの分布(正規分布か非正規分布か)といった条件を正確に読み取り、適切な検定を選択できるかが問われます。特に、正規分布の仮定を満たすか否かが、パラメトリック検定とノンパラメトリック検定の選択の分かれ道となります。
混同注意
t検定(2群、独立、量的、正規分布)とマン・ホイットニーのU検定(2群、独立、量的、非正規分布)、ウィルコクソンの符号付順位検定(2群、対応あり、量的、非正規分布)。これらの違いを正確に理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
次にこの論点が出題されたら、まず「比較するグループ数」「グループの対応関係」「データの種類(尺度)」「データの分布(正規性)」の4点を確認し、それに合致する検定法を特定します。
関連知識
統計検定の選択フローチャート、パラメトリック検定(t検定、分散分析)、ノンパラメトリック検定(マン・ホイットニーのU検定、ウィルコクソンの符号付順位検定、クラスカル・ウォリス検定)、カイ二乗検定の適用条件。データの尺度(名義尺度、順序尺度、間隔尺度、比例尺度)の理解も重要です。