うつ病の回復初期の患者への対応で最も適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
うつ病の回復初期は、心身ともにエネルギーが枯渇している状態から少しずつ回復に向かう過渡期です。この時期は、まだ疲労が蓄積しやすく、集中力や持続力も不安定です。そのため、無理のない範囲で活動を促しつつも、疲れを感じる前に意図的に休息を取り入れることで、過度な負担を避け、症状の悪化や再燃を防ぐことが非常に重要です。早めの休息は、患者自身が自分の体調に目を向け、適切な自己管理を行う練習にもなります。
選択肢ごとの解説
- 1. 回復初期の段階では、まだ本格的な就労に耐えられるほどの心身のエネルギーや集中力が回復していないことが多いです。焦って就労を勧めると、患者に過度な負担をかけ、症状の悪化や再燃のリスクを高める可能性があります。正しくは:回復初期には、まずは休養を十分に確保し、規則正しい生活リズムの確立を支援します。就労再開については、心身の状態が安定し、医師や多職種チームとの連携のもと、段階的に検討すべきです。選びやすい理由:早く社会復帰させてあげたいという善意から選んでしまうかもしれませんが、時期尚早です。混同注意:回復初期の「活動レベルの調整」と、回復期の「社会復帰支援」の段階を混同しやすいです。
- 2. チームスポーツは、複雑なルール理解、協調性、他者とのコミュニケーション、身体的活動量を求められるため、回復初期のうつ病患者にとっては精神的・身体的な負担が大きすぎることが多いです。失敗体験が自己肯定感をさらに低下させる可能性もあります。正しくは:運動を取り入れる場合でも、回復初期には散歩などの軽度で、個人のペースで実施できるものが適しています。選びやすい理由:運動は気分転換になり良いというイメージから選びがちですが、回復初期の負荷としては高すぎます。混同注意:「適度な運動は有効」という一般的な理解と、「回復初期に適切な運動の種類」の区別がつきにくいです。
- 3. 正解。うつ病の回復初期では、まだ心身の疲労感が強く、集中力や持続力も低下しています。疲れを感じる前に意識的に休憩を取ることで、過度な疲労の蓄積を防ぎ、症状の悪化や再燃を予防し、活動を持続しやすくなります。自己管理能力の再獲得にも繋がります。正しくは:(正答のため修正不要)選びやすい理由:一見すると消極的な介入に見えるかもしれませんが、回復初期においては非常に重要かつ現実的な支援です。混同注意:他の選択肢が活動的で前向きに見えるため、より良い選択肢があるのではと迷うかもしれません。
- 4. うつ病の回復初期では、判断力や決断力がまだ十分に回復していないことが多く、大きな決断を迫られると混乱したり、不安感が増したりする可能性があります。自己肯定感が低いため、間違った判断をして自己嫌悪に陥るリスクもあります。正しくは:回復初期には、些細な判断は支援者が代行したり、選択肢を限定して患者が選びやすいように調整したりするなど、負担の少ない形で意思決定を支援します。段階的に判断の機会を増やしていくことが重要です。選びやすい理由:自律性を尊重する支援は重要ですが、回復初期にすべてを任せるのは時期尚早です。混同注意:「患者の自律性を尊重する」という原則と、「病状に応じた適切な支援のレベル」を混同しやすいです。
- 5. うつ病患者は、自責感が強く、失敗に対して非常に敏感です。行動の結果を「良い」「悪い」と明確に評価することは、患者を追い詰め、自己肯定感をさらに低下させ、回復への意欲を削ぐ可能性があります。特に「悪い」と判断される行動に対しては、患者が自己否定感を強めてしまうリスクが高いです。正しくは:結果の良し悪しを直接的に評価するのではなく、患者の努力やプロセスを認め、肯定的な側面に着目して具体的にフィードバックすることが重要です。必要であれば、改善点についても「どうすれば次回うまくいくか」という建設的な視点で共に考えます。選びやすい理由:目標設定やフィードバックはリハビリテーションで重要とされているため、選びたくなるかもしれません。混同注意:一般的な学習や行動変容における「フィードバックの重要性」と、「うつ病患者の特性に配慮したフィードバックの方法」を混同しやすいです。
国試ポイント
うつ病の病期ごとの症状の特性と、それに応じた適切な治療・支援方法を理解しているかが問われています。特に回復初期は、焦らず、患者のペースに合わせた無理のない支援が求められます。
混同注意
うつ病の回復段階(急性期、回復期、維持期など)によって、介入の内容は大きく異なります。回復初期に、回復期や維持期のような積極的な社会参加や自己決定を促す介入をしてしまうミスが多いです。
次に同じ論点が出たら
今後も、精神疾患や身体疾患のリハビリテーションにおいて、「病期に応じた適切な対応」が問われる可能性が高いです。特に、時期尚早な介入や、過度な負担をかける介入は避けるべき選択肢として頻出します。
関連知識
うつ病の段階別介入(例:急性期は休養が最優先、回復期は活動の段階的拡大と再発予防、維持期は社会復帰支援やストレスマネジメント)。リハビリテーションにおいては、患者のレディネス(準備性)を常に評価し、個別性を重視した介入計画を立てることが基本です。