右半球損傷による全般性注意障害の片麻痺患者に対する初期の基本動作支援について正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第52回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
全般性注意障害を持つ患者への初期の基本動作訓練では、環境からの刺激を最小限に抑え、患者が特定の課題に集中できる状況を整えることが最も重要です。外乱の少ない環境は、患者の注意資源が分散されるのを防ぎ、学習効果を高めます。
選択肢ごとの解説
- 1. 全般性注意障害の患者さんに対し、間違いのたびに繰り返し修正することは、混乱や集中力の低下を招きやすく、学習効果が上がりにくいです。特に初期段階では、注意を向ける範囲や持続時間が限られるため、情報量を抑え、成功体験を積ませる工夫が必要です。正しくは:成功しやすい簡単な動作から開始し、間違いを減らすような環境設定や介助を行う。情報量を少なくし、明確な指示で一つずつステップを追って指導する。選びやすい理由:一般的な学習方法として「繰り返し修正する」ことが有効と思われがちですが、注意障害を持つ患者さんには適さない場合があります。混同注意:健常者や他の種類の認知障害に対する学習支援方法と混同しやすい。
- 2. 全般性注意障害の患者さんにとって、多くの人が行き交うような「複数人とすれ違う環境」は、視覚的・聴覚的な刺激が多く、注意を散漫にさせ、転倒リスクを高める可能性があります。初期段階では、集中できる静かな環境から始めるべきです。正しくは:杖歩行の練習は、人や物の少ない静かな環境(例:廊下の端、広い部屋)から開始し、徐々に刺激の多い環境へ移行する。選びやすい理由:実際の生活環境に近い状況で練習することが効果的だと思われがちですが、初期段階では適切な配慮が必要です。混同注意:最終的な目標である「実生活での応用」と、初期段階の「学習環境設定」の区別が曖昧になりやすい。
- 3. 正解。全般性注意障害の患者さんにとって、注意を妨げる要素(外乱)が少ない環境で練習を開始することは非常に重要です。これにより、患者さんは目の前の動作に集中しやすくなり、新しいスキルを習得しやすくなります。正しくは:この選択肢は正しい記述です。
- 4. 全般性注意障害の患者さんは、口頭指示だけでは動作のペース調整が難しい場合があります。特に性急な動作は転倒や怪我のリスクを高めるため、視覚的な手がかりや触覚的なガイド、あるいはペースメーカーとしての指示(例:「ゆっくり、いち、にい、さん」)などを組み合わせる必要があります。正しくは:寝返りの性急な動作に対しては、口頭指示に加えて、視覚的な合図(例:ゆっくりと指で示す)や触覚的な誘導、またはリズムを刻むような指示(例:拍子を取りながら「ゆっくり」と声かけ)を用いる。選びやすい理由:口頭指示は基本的な指導方法の一つであるため、一見正しいように見えます。混同注意:軽度の注意障害や他のタイプの障害に対する指導方法と混同しやすい。
- 5. 全般性注意障害の患者さんにとって、一連の動作を一度に口頭で指導することは、情報量が多すぎて理解が困難になります。患者さんの注意容量に合わせて、動作を細かく分解し、一つずつ段階的に指導する必要があります。正しくは:起き上がり動作は、各ステップ(例:ベッドの端に座る、足を床につける、身体を起こす)に分解し、一つずつ明確に口頭指示やデモンストレーションを行い、理解と習得を促す。選びやすい理由:効率的な指導法として一連の流れを一度に説明することが有効な場面もありますが、注意障害患者には適しません。混同注意:記憶力や理解力に問題のない患者への指導方法と混同しやすい。
国試ポイント
この問題は、右半球損傷に伴う全般性注意障害の特性を理解し、その特性に合わせたリハビリテーション介入、特に初期段階の環境設定と指導方法の原則が問われています。注意障害患者への情報提供の量、環境調整の重要性、具体的な指導の工夫について知識が求められます。
混同注意
注意障害の中でも、特に全般性注意障害(持続性注意、選択的注意、転換性注意、分配性注意のいずれも障害される可能性)への対応が問われている点で、他の特定の注意障害(例:半側空間無視)との違いを意識する必要があります。また、運動麻痺のみの患者、あるいは他の認知機能障害を伴う患者への対応と混同しないように注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、全般性注意障害患者へのリハビリテーションでは、まず「環境調整(刺激の抑制)」が最も重要であり、次に「情報提示の仕方(シンプルに、段階的に)」、そして「成功体験を積ませる工夫」がポイントとなります。特に初期段階では、集中を促すための環境設定が優先される点を押さえておきましょう。
関連知識
注意障害の分類(持続性注意、選択的注意、転換性注意、分配性注意)、注意障害患者へのリハビリテーション介入の原則(環境調整、情報提示の工夫、キューイング、スキャニング練習など)、脳損傷部位と認知機能障害の関連(右半球損傷と注意障害・半側空間無視)。