疾患と作業種目の組合せで適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
筋萎縮性側索硬化症(ALS)では、身体機能が徐々に低下しますが、認知機能は比較的保たれるため、残存機能を活用したパソコン操作は、コミュニケーション、情報収集、余暇活動として非常に有用です。特に、身体の進行状況に合わせて入力デバイスを工夫することで、長期にわたってQOLを維持するのに貢献します。
選択肢ごとの解説
- 1. パーキンソン病の患者様は振戦や動作緩慢が見られることが多く、かぎ針編みのような細かい指先の協調性や集中力を要する作業は困難を伴う可能性が高いです。正しくは:パーキンソン病では、比較的粗大運動で繰り返しやリズムのある活動、または運動量を調整しやすい活動(例:ペダルこぎ、大きなブロック積み、色塗り)が適している場合があります。選びやすい理由:一見すると座ってできる作業なので適しているように思えるかもしれませんが、細かい手指の動きが要求される点で不適切です。混同注意:安静時振戦や固縮、動作緩慢などの症状が作業選択にどう影響するか理解が不足していると間違えやすいです。
- 2. 関節リウマチの患者様は手指の関節変形や疼痛、握力低下が特徴的です。タイルモザイクは、タイルの切断や接着、目地材の塗り込みなど、手指に大きな負担がかかる作業が多く、関節へのストレスを増大させるため不適切です。正しくは:関節リウマチでは、関節に負担をかけず、機能訓練にもつながるような活動(例:軽作業、リハビリ体操、簡単な塗り絵など)が推奨されます。選びやすい理由:創造的な活動であるため、気分転換にはなりそうですが、身体的な負担が大きすぎます。混同注意:関節保護の原則や疼痛管理の重要性を考慮せずに作業を選んでしまうと間違えやすいです。
- 3. 脊髄小脳変性症の患者様は、運動失調により協調運動障害や平衡機能障害、構音障害などが現れます。彫刻は、道具を正確に操作し、細かい力加減や安定した姿勢を維持する必要があるため、運動失調のある患者様には非常に困難であり、危険を伴う可能性もあります。正しくは:脊髄小脳変性症では、安全に配慮しつつ、残存機能に応じた活動(例:パソコンの音声入力、ウォーキング、大きなパズル)が適している場合があります。選びやすい理由:達成感のある作業ではありますが、症状の特性上、安全確保が難しいでしょう。混同注意:小脳失調の具体的な症状が作業遂行にどう影響するか理解が不足していると誤りやすいです。
- 4. 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者様は呼吸困難を抱えており、肺機能が低下しています。木工作業は、材料の運搬、切断、研磨など、身体的な労力が大きく、呼吸器系に大きな負担をかけるため不適切です。また、木くずや塗料の粉塵も呼吸器症状を悪化させる可能性があります。正しくは:COPDでは、呼吸を整えながらできる軽作業や、座位で無理なく行える活動(例:軽い手工芸、ボードゲーム、新聞を読む)が推奨されます。選びやすい理由:座ってできる作業が多いように思えるかもしれませんが、全体的な運動量が多く、粉塵の問題もあるため不適切です。混同注意:呼吸器疾患における活動の制限因子(労作性呼吸困難、粉塵など)を理解していないと誤りやすいです。
- 5. 正解。筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者様は、進行性の筋力低下を特徴としますが、初期から中期にかけては認知機能が比較的保たれることが多いです。そのため、パソコン操作は残存する指や眼球運動などを活用し、意思伝達や情報収集、娯楽を楽しむための重要な手段となります。進行に合わせて入力方法(キーボード、マウス、視線入力など)を工夫することで、長く継続できる活動です。
国試ポイント
疾患の特性(症状、進行度、認知機能の有無など)を正確に理解し、それに基づいて安全かつ効果的な作業活動を選択できるかどうかが問われています。特に、各疾患で制限される機能と残存する機能を把握し、QOL向上につながる活動を見極める視点が必要です。
混同注意
それぞれの疾患の具体的な症状が、どのような作業活動を阻害するのか、あるいは可能にするのかを混同しやすいです。例えば、振戦と失調の違い、関節炎による可動域制限と筋力低下による運動制限の違いなどが曖昧だと誤った選択につながります。
次に同じ論点が出たら
次に類似の問題が出た場合、まず疾患の主要な症状とそれによる機能障害を特定し、次に提示された作業活動がその機能障害にどう影響するか(阻害するか、代替手段となるか)を詳細に検討します。また、作業活動の特性(身体的労力、精密性、認知負荷など)と疾患の進行度も考慮する点が重要です。
関連知識
各疾患の病態生理、主な症状、ADL・IADLへの影響、作業療法の目的と目標設定、作業分析、環境調整、補助具・支援機器の活用。特にALSにおけるコミュニケーション支援やCOPDにおける呼吸リハビリテーションの視点。